更新日: 2021.10.20 14:54
スバル 2021全日本ラリー選手権第10戦ラリーハイランドマスターズ ラリーレポート
2021.10.17 - 全日本ラリー選手権第10戦 第48回M.C.S.C. ラリーハイランドマスターズ2021 Leg2
鎌田卓麻が4戦連続で3位表彰台
2021年の全日本ラリー選手権第10戦 第48回M.C.S.C. ラリーハイランドマスターズ2021 Leg2は、10月17日(日)の競技最終日を終え、SUBARU WRX STIの鎌田卓麻/松本優一が3位を獲得しました。また、新井敏弘/田中直哉は6位、新井大輝/小坂典嵩は7位で完走を果たしています。
■難コンディションのなか、力走見せたWRX STI
ラリー最終日はSS7~SS12、3つのステージを2度走行する計6SSという構成。SS走行距離は38.12kmで行われます。初日の夜から降り始めた雨は、朝を迎える頃には弱まっていたものの、オープニングのSS7 青屋上り(8.64km)では落ち葉や山肌の泥が大量にたまるなど、路面状況が悪化。これを受けて主催者はSS7をキャンセルし、残り5SSでの戦いとなりました。
鎌田はSS8で4番手に浮上、SS9ではセカンドベストタイムをたたき出す力走をみせ、3番手に順位を上げました。鎌田はその後もコンスタントに上位タイムを並べて3番手の座を堅持し、3位でフィニッシュ。第6戦モントレーから4戦連続で3位表彰台を獲得する速さを見せています。
一方、前日7番手の新井大輝は、この日終盤のSS11 大山線(4.55km)でSS2番手タイムをマーク、WRX STIのポテンシャルを示してみせました。新井敏弘はリズムに乗れず苦戦を強いられ、前日からふたつ順位を上げた6位でラリーを終えました。
なお、JN3クラスでは、鈴木尚/山岸典将のSUBARU BRZ(ZC6)が今季2勝目を挙げています。
■鎌田卓麻「クルマも安定していて、安心して乗れました」
3位表彰台を獲得した鎌田は、「今回はダンロップの新しいウエット用タイヤのおかげで、順位も上げられましたし、開発もずっと手伝ってきて、その結果が出たので、良かったです。いつもの悔しい3位というよりは、納得の3位です。クルマ的にも安定していて、安心して乗れました。序盤には少し苦戦をしてしまいましたが、チームと相談してさらにマシンをアップデートさせたいです」とコメント。シーズン終盤戦に向けて手応えを得たラリーとなりました。
新井敏弘は、「昨日はセットアップが合わず、今日はタイヤが路面コンディションに合わなくて、厳しい戦いになってしまいました。今後に向けて色々と対策を考えます」と、ラリーを振り返りました。
最終日にセカンドベストタイムをマークした新井大輝は「最終セクションはドライ路面向けのセッティングで走りましたが、ベストタイムを獲ることはできませんでした。最終戦までは2週間しかありませんが、今回得られたデータをベースに、わずかでも差を詰められればと思います」と、語っています。
■ディーラーメカニックコメント「普段の仕事では経験できない貴重なことができました」
・担当車両:WinmaX DLシムス WRX STI
・坂見直樹
・北陸スバル自動車株式会社金沢本店 メカニック
もともとモータースポーツに興味があったという坂見。SUBARUディーラーメカニックのモータースポーツ派遣という制度を使い、自分の今後の仕事に役立てたり、店舗の仕事にいい影響が出ればと思い応募したとのこと。TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZワンメイクレースのメカニックに参加したことはあるものの、ラリーへの参加は初めてだという。
今回、作業を担当したのは主にリヤセクションの足まわり。
「ワンメイクレースでも、もちろん不調やトラブルはあるんですけど、ラリーの壊れ方は圧倒的に違います。また、ラリーのサービスパークの現場の環境は、正直2日目までやりづらさを感じていて工夫が必要でした。ディーラーで行っている作業に比べて、ボルトやナットの締め付けなど力の掛け方、ジャッキでマシンを上げるなど作業効率がまったく違いました。特に、足まわり関係の確認と微調整を1日1回必ずやるというのは、今までまったく経験がなかったので予想外でした。サーキットでのレースに比べて路面コンディションも悪いので、帰ってきたマシンの車体が汚れていたり、天気やドライバーからのリクエストで、元々組んでいた作戦を変えていくのはラリーならではのことだと思い、普段の仕事では経験できない貴重なことができました」と、初めて体験したラリーの現場を振り返った。
今回のラリーは最終日に雨が降り、前日にウエット向けセッティングへの変更作業を経験。
「普段、ディーラーではお客様からセット変更のようなリクエストはありません。15分や20分という圧倒的に少ない作業時間で足まわりを全部変更するという発想は僕らにはなかったですし、プロのメカニックとの経験の差を感じました。ラリー期間中、プロのメカニックのアドバイスでやり方を工夫しました。その結果、整備スピードが上がったので、この経験をディーラーで活かしていきたいと思います」と、3日間を振り返った。
次戦は10月29日~31日に開催されるターマックラリー『久万高原ラリー』です。当初は5月に開催を予定していたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて10月に延期され、実質的な最終戦として開催されます。8SS、SS距離110.10kmが予定されています。シーズンを締めくくるSUBARU勢の戦いぶりにご期待ください。