更新日: 2021.11.09 11:56
WRCドライバー勝田貴元に聞くラリーの魅力「選手とファンの距離感が近いのでぜひ、現地に見に来てほしい」
――勝田選手はご自身でもGRヤリスの市販車にお乗りになっていますね。
勝田:横にある黒いクルマが僕のGRヤリスです。
――市販車のGRヤリスに競技車両からフィードバックされたところはどころですか?
勝田:基本的に、豊田章男社長もおっしゃっていると思うのですが、とくにGRヤリスに関しては逆転の発想で開発されています。競技車両から一般市販車を作っているので、そういう意味でも目に見えない部分でも、たとえば、ジオメトリーや重量配分だったり、屋根の形状だったり、そういったところは全部競技のために作られています。どこか部分部分でラリーからフィードバックがあるか、はなくて、「全部がラリーから来た」というイメージで考えてもらってもいいと思います。
勝田:エンジンも幅広くカスタマイズできます。購入されたお客さんのやりたいように、というか普段、軽くドライブするだけでもGRヤリスはすごく気持ちよく走れます。ダートコースなどへ行って、競技っぽいこと、練習走行をしたいなという人でもものすごく楽しめるクルマだと思います。そういった意味ではすごく幅広い層の方に楽しんでもらえると思います。
勝田:もちろん、モータースポーツ上級者の方も、これからモータースポーツをやってみたいという初心者の方にも間違いなく最適なクルマです。今後、こういったクルマがどんどん増えていったらいいな、と思います。個人的にもそう思っていますし、モリゾウさん、章男社長も「どんどんこういうクルマを!」とおっしゃっているので、僕は本当に良い時代に生まれたな、と思っています。
――これからのご自身の課題について、教えて下さい。
勝田:ラリードライバーとしてはまだまだ足りない部分も非常に多いですね。自分のスキル、ペースノートやドライビングはもちろん、ラリーにはいろんな要素があります。それを全部ひっくるめて言うと「経験」という言葉になるのですが、まずは経験値をしっかり上げて、自分に足りない部分を見極めることが大事だと思っています。
勝田:今シーズン前半戦、非常に調子よくていい流れだったのですが、後半になってガラッと流れが変わって、非常に厳しいシーズンをいま送っています。でも、逆にその経験が今後糧になると実感していますし、いまかなり苦しい状況下ですけど、本当にこれを乗り越えれば、かなりいいところへいけるという手応えを感じています。そういった意味で自分の課題はたくさんあるのですが、まずひとつひとつ洗い出して向上していこうと思います。
――勝田選手のお仕事は、ラリーマシンをより速くゴールまで運ぶということだと思いますが、ヤリスWRCはドライブして楽しいクルマですか?
勝田:ああ、もう最高に楽しいクルマです! WRカーだけじゃなくてラリーって公道を使用した競技です。モータースポーツのなかでも公道を使った競技は多くありませんが、そんななかで僕はいま本当に地元・愛知県でこうやって走っています。2年前のセントラルラリーもそうですが、10年くらい前に友だちと遊びに行くとき使っていた道をラリーカーで自分が走っているのは想像もできなかったですし、走っているときはすごく不思議な感覚で、とても感慨深かったというか……そういう感覚がありました。
勝田:多分こういう感覚って、僕だけじゃなくてたくさんの方が体験できるものだと思います。入門者向けのラリーチャレンジもそうですし、まだラリーやったことがない、でもやってみたいなという人に、どんどんラリーをやっていただければ、と思います。モータースポーツって間違いなくて交通安全にもつながっていくと思うので、本当に多くの方にラリーを知ってもらって参加してもらって、というふうに輪を拡げたいけたらな、と思っています。
――ラリージャパンは2年連続でコロナ禍の影響で中止になってしまいました。来シーズンの2022年、ラリージャパンは地元での開催となります。WRCの魅力、こういうところを見て欲しい、というのを教えてください。
勝田:まずひとつ、ラリージャパンが来る前にお話したいのは、ラリーってドライバー、選手とファンの人の距離感もものすごく近いのでぜひ、現地に見に来てほしいと思います。全開で走っている競技区間(SS)だけでなく、リエゾンという移動区間をゆっくり走っている区間があって、そういった道でラリーカーに遭遇する場合もたくさんあるんですね。
勝田:たとえば高速道路で走行車線を走っているときに右側からラリーカーが追い越していくこともありますし、逆ももちろんあります。そういうときに日本だとなかなか馴染みがないと思うのですが、ラリーカーに手を振っていただけるど、僕たちももちろん見ているので、そういうファンとの触れあいもあります。迫力のある走りも魅力で、普段皆さんが使っている公道を閉鎖してそこをものすごいスピードで、ものすごい音でラリーカーが走り抜けていく。これを現地でぜひ、生で見てほしいな、と思っています。