ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2023.07.26 13:00
更新日: 2023.07.26 20:51

三菱ラリーアートAXCR連覇への挑戦。新型トライトン投入で、ミツビシらしさの表現と技術の継承を体現


ラリー/WRC | 三菱ラリーアートAXCR連覇への挑戦。新型トライトン投入で、ミツビシらしさの表現と技術の継承を体現

 一方、出力向上を果たした新開発の2.4リットル・ディーゼルターボエンジンや6速マニュアル・ミッション、デフなどに関しては多くの量産パーツが流用された。とはいえ、事前に行われたタイでのテストでは、非常に過酷なラフロードを全速力で走りながらノントラブルで延べ2000kmを走破しており、耐久性と信頼性の高さを確認しているという。

 また、チームは今年度のラリーがアセアン地域の雨季にあたることを考慮し、マッディなコンディションに強いクルマづくりにも注力。現地の道路状況を加味して水深約100cmでも走れる防水対策がなされた。これも新型トライトンの大きな武器のひとつだ。昨年の“265”から“235”へとタイヤのトレッド幅が狭くなったヨコハマタイヤのマッドテレーンタイヤ『ジオランダー』を装着していることもこの取り組みのひとつで、タイヤの面圧を上げグリップを稼ぐ狙いがある。

 タイのタント・スポーツが運営し、ミツビシのエンジニアが技術支援を行うチーム三菱ラリーアートの総監督を務める増岡氏は、新型トライトンでのチャレンジに胸が高鳴っていると語った。

「すべてが一新され、全方位で進化した新型『トライトン』での参戦に、私自身、期待で胸が高鳴っています。ラリーカーは国内とタイで延べ2000kmを超える耐久試験を行い特段のトラブルもなく、フラットダートの高速ステージからマッディな低速ステージまで、あらゆるステージで昨年以上のパフォーマンスを発揮できることを確認しました」

「それぞれが優勝を狙える3台体制であり、必ず表彰台の真ん中を勝ち取り、連覇を果たしたいと思います」

 3台の新型トライトンをドライブするのは既報のとおり、前年大会の覇者チャヤポン・ヨーターと同5位入賞を果たしたリファット・サンガー、そして1999年と2010年のアジアパシフィックラリー選手権チャンピオンである田口勝彦の3名だ。増岡総監督と開発部門のエンジニアは現地のラリークルーとともに、特別装備が施された『ミツビシ・デリカD:5』のサポートカーでラリーの全行程に帯同し、競技区間での戦況分析や戦略立案からサービス拠点での技術支援などを行う。計4台のデリカD:5サポートカーは、新型『トライトン』のT1仕様車と同様に、湧き上がる溶岩のエネルギーをモチーフとしたレッドとブラックのカラーリングに彩られている。

計4台の『デリカD:5』サポートカーのうち、競技車が走るコースサイドまで視察して戦略策定する増岡総監督が乗りこむ車両には、JAOS製の前後サスペンションが装着され悪路走破性がより高められている。
計4台の『デリカD:5』サポートカーのうち、競技車が走るコースサイドまで視察して戦略策定する増岡総監督が乗りこむ車両には、JAOS製の前後サスペンションが装着され悪路走破性がより高められている。

■新型ミツビシ・トライトン AXCR2023参戦車両

全長×全幅 5320mm×1865mm
ホイールベース 3130mm
トレッド(前・後) 1570mm・1565mm
エンジン形式 4N16型4気筒MIVECターボディーゼル
燃料噴射装置 高圧コモンレール
排気量 2442㏄
ターボチャージャー 三菱重工エンジン&ターボチャージャー
最高出力 150kW(約203ps)
最大トルク 470N・m
変速機 6速マニュアル
4WDシステム スーパーセレクト4WD-II
フロント・リヤデフ CUSCO製 差動制限装置付
フロントサスペンション 独立懸架・ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
リヤサスペンション リーフスプリング式リジット
ショックアブソーバー CUSCO製 減衰力調整式ツインダンパー
バンプストッパー 油圧式
ステアリング形式 ラック&ピニオン(パワーステアリング)
ブレーキ ENDLESS製 4ポッドブレーキキャリパー、ベンチレーテッドディスク、パッド、
FORTEC製 ブレーキフルード
ホイール WORK製 アルミニウムホイール(17in×7J)
タイヤ 横浜ゴム製 GEOLANDAR M/T G003(235/80R17)
その他特長 カーボン製フード、前後ドアパネル、荷箱

新開発された2.4Lディーゼルターボエンジンは、フリクションロスの低減と軽量化を中心としたチューニングが施されるとともに、新しいターボチャージャーを搭載し全域で出力向上を実現した。
新開発された2.4Lディーゼルターボエンジンは、フリクションロスの低減と軽量化を中心としたチューニングが施されるとともに、新しいターボチャージャーを搭載し全域で出力向上を実現した。
トレッド幅を狭めタイヤの面圧を上げること狙い、2023年は235/80R17のジオランダーM/T G003を装着する。
トレッド幅を狭めタイヤの面圧を上げること狙い、2023年は235/80R17のジオランダーM/T G003を装着する。
軽さとクルマのコントロール性を活かして勝負することから「雨が降るとトライトンが有利」と見ている増岡浩総監督。ちなみに、総監督は“晴れ男”だそう。
軽さとクルマのコントロール性を活かして勝負することから「雨が降るとトライトンが有利」と見ている増岡浩総監督。ちなみに、総監督は“晴れ男”だそう。


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