更新日: 2021.06.11 23:49
未知なる戦場へ。トヨタの中嶋一貴&小林可夢偉が語る“不安要素”/WEC第2戦直前インタビュー
第2戦はハイパーカークラスのライバル、グリッケンハウス007 LMHのデビューレースともなる。走行前の取材機会ゆえ、「パフォーマンスは正直走ってみないと分からない」(一貴)状況ではあるが、同じ規定で参入するライバルを一貴は歓迎しているという。
「同じルールで一緒に走るライバルが増えるというのは、僕らにとっては歓迎したいことですし、レースを見ている方にとってもどれくらい彼らが走るのか、楽しみな部分だと思うので、僕らがどうこうというより、見ている人が少しでも楽しんでもらえる展開になればいいなと思います」と一貴。
「ライバルが増えるのはもちろん大変ではありますが、その中でできる限りの力を出して優勝できるようにするのが僕らの仕事だと思います」
グリッケンハウスについて可夢偉は「まだクルマを見てないんですよ。だから何とも言えないんですが」と前置きし、次のように語った。
「今回のレース直前に出たBoPを見ると、正直『そんなにパフォーマンスが出てないから、こちらが付き合わされたのかな』とも感じるところなのですが、そこは練習走行を走ってから。(最終的には)1レース終わってみないと、分からないですよね」
なお、WEC初開催となるポルティマオだが、TS050ハイブリッド時代にふたりともテストで走行した経験がある。GR010ハイブリッドのテストは昨年12月に行なわれたが、ふたりは国内レース参戦のため参加できていなかった。
「ここは何度かTSの時にテストでは来ていますが、その時とは路面の状況が(アスファルトが張り替えられているので)全然違うのではないかと思います」と一貴は言う。
「(GR010の)テストも冬だったので、路面のスムーズさとあいまって、あまりタイヤのデグラデーションが無かったという話を聞いていますが、今回は路温がまったく違う状況になるので、その時のことはあまりアテにならないかなと。これからトラックウォークなので、路面の状況を含めて、チェックしようと思います」
可夢偉は「このコースは結構バンプが激しかったので、そういうところで(張り替えられてスムーズになっていれば)クルマの信頼性という部分ではちょっと助かるかなと思います」と語る。さらに、コースレイアウトの影響ついて、次のように述べた。
「残念ながらLMP2とのタイム差が少なく、僕らの方が車重が重いので、LMP2の方がコーナリングは速いところがある。直線が少なくてコーナリングが多いサーキットだと、どこでLMP2を抜けるのか走ってみないと分からない。不安要素はそのあたりかな」
これについては一貴も「ほとんど同じ意見です」とし、次のように付け加える。
「トラフィックをどこでどう抜いていくのかっていうのは、テストでも経験がない部分ですし、GR010になって今までとは違うところもあるので、そこの難しさが一番大きな問題になるのかなと思っています」
「多少、(ポルティマオでの他カテゴリーの)過去のレース映像とかは見ていますけど、参考程度だと思うので、フリープラクティスを走っていくなかで少しでもいろいろな状況を経験し、レースに向けて活かしていくしかないかなと思います」
気温、タイヤ、コース特性、そして新たなライバルの存在など、未知なる要素が多い第2戦ポルティマオ。長丁場のレースは、多数のファクターが絡み合う、見どころ満載の戦いとなりそうだ。