更新日: 2022.02.18 22:31
【小林可夢偉&平川亮インタビュー】2022年の新要素とチーム変革の青写真。GR010の避けられない”残念感”とは?
新たにレギュラードライバーに加わる平川は、昨年6月のポルティマオ、9月のバルセロナ、そしてシーズン終了後のバーレーンに続き、年が明けてからもアラゴン、ポール・リカールとGR010のテストに参加し、マシンへの習熟を深めている。
ポール・リカールでのテストを終えた平川は「ある部分では他のレギュラードライバーと同じくらいで走れたりするのですが、いろいろな状況下ではまだまだ学ぶことがある」と自己分析を口にした。
「自分としてはまだクルマに100%慣れ切ていないという実感はありますが、走るにつれて、少しずつ自分が進歩しているのが分かっているところです。自分としては結構準備ができているとは思いますが、まだレースのシチュエーションが経験できていないので、トラフィックの部分など、まずは来月のセブリングのテスト(プロローグ)でしっかり学習して、クルマとチームに少しでも慣れていきたい」
今季WECが開催されるサーキットのうち、セブリングだけ走行経験がないという平川。来週にもシミュレーターテストが予定され、習熟を重ねるつもりだという。
「不備がないようにしないとマズイなと思っていて、可夢偉さんからも『しっかりとコースを覚えていけ』と言われています。シミュレーターでなるべくたくさん走ったり、ビデオをいっぱい見たりして、しっかり準備してきたいと思っています」
そんな8号車の新トリオに対して可夢偉チーム代表は、「全然、普通に戦うレベルにあると思いますよ」と語る。
「ただ今年は8号車は平川がルーキー、7号車はエンジニアがルーキーという部分で、それぞれに違うパートでやるべきことがある。僕ら(7号車)はエンジニアとまずはしっかりコミュニケーションをとって、いいクルマを作ることに集中しなければいけません」
「8号車は平川に早くレースの経験を積ませて、トラフィックの処理などを、ル・マンまでにペースを掴めるようにしてもらいたいと思っていて、チーム代表として僕からセブ(ブエミ)とブレンドンに『そういう部分をしっかり教えて、育ててほしい』とお願いしています」
また、2年目のシーズンに向けたGR010ハイブリッドの開発状況については、ホモロゲーションによって大きく制限がされることから、「煮詰め」がメインの作業になっていると可夢偉は語っている。
「BoP(性能調整)で抑えられたときにどうなるのか、みたいなシミュレーションもしながら、結構先のことまで想定して、テストはやっています」と可夢偉。
「(クルマは)大きく変えられないので、ドライバーがいかに乗りやすいかとか、BoPで抑えられたときにどうしたら結果的に勝てるクルマを作れるのか、ということをやっているので、フィーリング的にクルマが進化したかというと、LMP1みたいな進化はないですね、残念ながら。あのときの進化はハンパなかったので。だからちょっと、乗っていて“残念感”はありますね、正直」
昨年からテストに加わっている平川もこの点については同意しているが、「システムの最適化だったり、システムがフェイル(エラー)を起こしたときの対処法だったりが、常に進化していると感じる」と語る。
平川はまた、ここまでのテストでともに作業をしてきたチームの雰囲気について、勝利への貪欲な気持ちや「テストだけど、レースの緊張感がチームにあった」点が印象的だったと語った。
「まずはどちらかというと僕が(チームとクルマに)慣れるのに一生懸命なので、まだまだチームの雰囲気を味わっている感じ(余裕)はないですね」と平川。
なお、年明けからの2回のテストではなかなか自身のシートがうまく決まらず、何回も作り直しを強いられたという。「シートを作ってくれるメカニックとは、すごく仲良くなりましたけど」と平川は笑う。
チーム全体、そして7号車・8号車ともに個別にも新たな要素を抱え、変化と進化が求められる2022年のTGR。まずは世界屈指の“厳しい”トラックであるセブリングで、その現在地が露になりそうだ。