D’station Racing 2022WEC第5戦富士6時間 レースレポート
D’station Racing
Race Report – 2022.9.13
dstation-racing.jp
Instagram : @dstation_racing
Twitter : @dstation_racing
Facebook : @DstationRacing
2022 FIA World Endurance Championship
Round.5 6 Hours of Fuji (JPN)
September. 9 – 11 Qualify :13th / Race:3rd
初の母国レースで最後尾から追い上げ成就! 嬉しい3位表彰台
好ペースはありながらも、2戦続けてトラブルに見舞われレースを落としてしまっていたD’station Racing。2022年のWEC世界耐久選手権はヨーロッパでの戦いを経て、3年ぶりの開催となる富士スピードウェイでの第5戦を迎えた。2021年はコロナ禍のため開催されていなかった、D’station Racingのホームレース。事前に地元ならではのイベントを行ったり、メンテナンスを担うTF SPORTのスタッフがD’station Racingの御殿場工場を訪れたりと、忙しく過ごしながら9月9日(金)の走行初日を迎えた。
フリープラクティス1、2が行われたこの日は、曇り空のもと藤井誠暢からステアリングを握りコースへ。星野敏、初めての富士となるチャーリー・ファグと交代しながら走行し、FP1では2番手につける。セットアップのフィーリングは良好で、午後のフリープラクティス2でも同様に交代しながら、さまざまな作業を進めていった。
明けた9月10日(土)の走行2日目もやや雲が多かったが気温も上昇。午前11時からのフリープラクティス3もファグから走行を開始し、星野、藤井、ふたたびファグへと交代。午後2時40分からの予選を前にクルマを仕上げていった。
迎えた予選。ブロンズドライバーがアタッカーを務めるが、星野は2周をウォームアップに費やし3周目からアタックを開始。連続して1分40秒台を記録していくが、TF SPORTのチームメイト、ベン・キーティングは1分39秒台に突入していく。星野もあとわずかで1分39秒台に届きそうなところまでいくが、5周目も1分40秒台。ここまでか……と思った星野に、藤井から「もう1周いきましょう!」と無線が飛ぶ。5周を走りニュータイヤの良い部分は残っていないかとも思われたが、星野は6周目、自己ベストを更新。1分39秒710までタイムを縮めた。予選順位は4番手。今季最高位だけに、ピットで待ち受けたチーム、そして星野にも笑顔が生まれた。
ただ星野の目前でスピンからコースに復帰していた車両があり、イエローフラッグが出ていた。ここで減速しなかったとして、予選後星野の予選タイムがすべて抹消されてしまった。
晴天に恵まれた9月11日(日)の決勝レース。予選タイムが抹消されたことで、D’station Racingは最後尾からスタートすることになった。たくさんの応援団が見守るなか、これまでのWEC同様、藤井誠暢がスタートを務め6時間の決勝が始まった。藤井は1周目にいきなり6台を抜いてくる激走をみせると、次々と前をパス。トップを走る#98 アストンマーティンのミスを誘い、ついに首位に浮上。星野に交代する。
金曜からのペースの良さもあり、星野もオーバーテイクを展開しながらトップを快走するが、プロに交代したライバルたちが星野をかわしていった。ただ、ペースが非常に良好であることから、チームは星野のスティントを最大に引っ張りつつ、ダブルスティントを敢行。これが交代したファグのスティントに活きた。
ファグに交代した後の一度目のピットインで時間を短縮すると、D’station Racingは3番手に浮上する。ただ後方からは#54 フェラーリも迫っていた。そこで、最後のピットインではタイヤも交換。さらにプッシュを続け、ついに212周を走り切り3位表彰台を獲得してみせた。
2戦連続でトラブルに見舞われ、シーズンを通じて手ごたえが結果に繋がっていなかったが、チームの母国でついにそれが実った。たくさんの応援団の笑顔が弾け、星野は母国での快挙達成に胴上げされるシーンも。また今回のレースはセーフティカー等の波乱もなく、純粋に実力で表彰台を掴んだことが喜びを倍増させた。
星野と藤井が長年歩んできた努力が、この日富士で生まれた多くの笑顔とともにひとつ結実した。しかしD’station Racingの挑戦はまだまだ続く。この日の3位表彰台をきっかけに、チームはさらなる高みを目指していく。
COMMENTS:
Driver:Satoshi HOSHINO
「予選では4番手につけることができたのですが、ペナルティで最後尾になってしまいました。でもどん底から藤井選手があっという間にトップに立ってくれて、引き継ぐ方もプレッシャーがあったのですが、『これは頑張らなければ』と気合を入れていきました。ダブルスティントをこなしたのですが、どちらもフューエルランプが点くまで走っていたので、やり切った感じですね。走りとしては満足していますし、何より富士での抜き方、抜かれ方も分かっていますから。これは地の利ですよね。たくさんの応援団が来てくれて、予選の後には本当に申し訳ない気持ちや悔しさがあったのですが、まさかこんな結果が残せるとは思いませんでした。皆さんご声援ありがとうございました」
Driver:Tomonobu FUJII
「ホームの富士で3位表彰台を獲ることができて、本当に嬉しいですね。今回はいつも以上にファーストスティントでフルプッシュしましたし、序盤若手が駆るトップの車両についていってペースを上げることができました。また星野選手もとても速く安定したアベレージでしたし、ファグ選手もすごくペースが良かったです。戦略も含めてすべてが良かったことで、3位表彰台という結果に繋がったと思います。それに、昨年のモンツァはラッキーがあっての表彰台でしたが、今回はセーフティカーやフルコースイエローなどラッキーの要素がないレース。しかも最後尾スタートですからね。5位くらいに入れればと思っていましたが、実力でこの順位に入れたので、すごく嬉しいです」
Driver:Charles FAGG
「夢が叶ったね! 今年WECに出た時点で夢がひとつ叶っているんだけど、表彰台はいつも願っていた次の夢だった。僕たちはずっと良いペースがあったんだけれど、ル・マンでもモンツァでもトラブルが起きてしまった。今週は特に星野サンも藤井サンもペースが良くて、自分にとっての初めての表彰台を、チームのホームレースで飾れて本当に嬉しいよ。このスポーツには良いときも悪いときもあるけれど。今回は間違いなく良い時の方だ。特に今日は表彰台の下にたくさんの日本のファンがいて、そこからの眺めは本当に素晴らしかった。今回は初めての来日で、たくさんの良い経験をしたし、またこの場所に戻ってきたいね。D’station Racingの皆さんに感謝しているよ」
Team Director:Tom FERRIER
「ファンタスティックな一日になった。本当に最高だよ。D’station Racingはドライバー全員が信じられないくらい良い走りをしてくれて、素晴らしい速さをみせてくれた。スタートから藤井サンが大きくポジションを上げてくれたし、特に星野サンはパーフェクトな2スティントをこなしてくれたと思う。またチャーリーも若手ながら非常にタフなレースをしっかりと戦い抜いてくれた。TF SPORTとしてワン・スリー・フィニッシュを飾ることができてうれしく思っているし、D’station Racingのホームレースでそれを成し遂げることができ、最高の一日になったと思っているよ。また応援してくれた日本のファンにも感謝している」
Chief Engineer:Jonathan LYNN
「我々にとって本当に素晴らしいレースだった。今シーズンはずっと良いレースペースがあり、今回もそのペースを発揮することができたし、クルマもすごく強力だった。我々のドライバーもいつも素晴らしい走りをしてくれるのだが、今回の星野サンの走りはベストのものだったと言えるだろう。それが表彰台に繋がったと思っているよ。TF SPORTにとっても優勝、3位という結果を残すことができて素晴らしい気持ちだし、そんなレースをD’starion Racingのホームレースである日本で実現することができて、誇らしく思っているんだ。チャンピオンシップを考えても素晴らしい結果になったのではないだろうか」