代表を兼ねる可夢偉への敬意。“平川の次”の若手は「自覚と準備次第」【中嶋一貴TGR-E副会長インタビュー後編】
──では、この先のことについて伺います。いまWRCには勝田(貴元)選手が参戦していて、その次の世代の育成プログラムも進んでいます。耐久レースに関して、平川選手の『次』の日本人ドライバー育成については、どういうプランを描いていますか?
一貴副代表:日本にはこれだけ素晴らしいレースがあり、そのなかでちゃんと育ってきたドライバーで、コミュニケーションの面さえ問題がなければWECにも乗れるということを、いままさに平川が証明してくれています。そういった意味では、ドライバー自身の準備の問題も大きいのではないかと思っています。
もちろん、日本だけでレースしているとコミュニケーション、要は言葉の問題が一番のハードルなだけであって、技量的には全然問題がないということは証明されてきていますよね。
ですので、現状、誰かをヨーロッパに連れて来て準備させる……といった見える形で何かあるわけではないですが、日本で結果を出して、コミュニケーションの部分が準備できていれば、逆にいつでもチャンスがある状態だと思うので、そこはぜひいまの若いドライバーたちにも分かってもらいたいところです。
あとはそのドライバーが何をしたいのか、という部分がすごく大事なので、それをどんどんアピールしていってもらえれば、道筋は開ける。ドライバーの自覚と準備、そして結果を出すことが、一番のハードルなのではないかと、個人的には思っています。
──なるほど。では、一貴さんご自身としては今年は『第2の人生、1年目』かと思いますが、ここまでの総括と、今後のお仕事に関して何か見えているビジョンがあれば、最後に教えてください。
一貴副代表:そうですね……正直、目の前のことについていくのが精一杯で、今後のビジョンについて考える余裕はあまりないですが、自分の生活自体は落ち着いていて、ケルンでの生活も不自由なく過ごせていますので、そういう面では自分自身、いいスタートは切れていると思います。
これからいろいろなことを考え、動いていかなければなりませんが、明確な目標があることにも間違いはないので……まずは来年のル・マンというのが一番大きなターゲットであることは確かですが、その先にいくつも目標があります。それが何なのかは、ちょっといまはまだ言えませんけど(笑)。
そういったところに向けて自分なりに動いていきたいですし、WECチームとしても、TGR-Eという会社としても、それに対して前向きに動いていけるように、自分がその一助になれればなと思っています。