D’station Racing 2023 WEC世界耐久選手権第2戦ポルティマオ レースレポート
D’station Racing
Race Report – 2023.4.21
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2023 FIA World Endurance Championship
Round 2 6 Hours of Portimao (POR)
APR. 14 – 16 Qualify :11th / Race:Retired
ペースが掴めぬ週末に。エンジントラブルでリタイアを喫する
アメリカ、セブリングで3月に開幕した2023年のFIA WEC世界耐久選手権。戦いの舞台はヨーロッパに移り、ポルトガルのポルティマオにある、アルガルベ国際サーキットで第2戦を迎えた。比較的新しいレーシングコースだが、自然の起伏を活かしたアップダウンにあふれたレイアウトとなっている。非常にフラットなレイアウトだが、バンピーなコースのセブリングに比べると真逆の性格。コロナ禍の2021年以来のWECの開催だ。
D’station Racingは今回も星野敏/藤井誠暢/キャスパー・スティーブンソンのトリオでの参戦。4月14日(金)は晴天のもと、午前10時30分からフリープラクティス1回目がスタートし、藤井、星野、そしてスティーブンソンと交代しながら周回。午後3時30分からのフリープラクティス2回目では、星野、スティーブンソン、藤井と交代。さらにふたたび星野がドライブし、午前は12番手、午後は13番手で終えることになった。アストンマーティン・ヴァンテージAMR GTEのセットアップは良好で、順調にラップを重ねていったが、いかんせん第1戦セブリングと同様、他車に対し性能調整が厳しい。タイムの面でライバルに及ばない状況が続いていた。
とはいえ、厳しい状況のなかでもできることはある。着実に順位を上げポイントを得ることこそ長いシーズンを戦っていく上でも重要だ。そんな週末にするべく、チームは4月15日(土)の予選日を迎えた。この日も予選に向けて少しでもセットアップを進めるべく、藤井から星野、さらにスティーブンソンへと交代。ただここでも12番手と、なかなか順位が上がっていくこないまま予選を迎えることになった。
午後3時30分から行われた予選では、今回も星野がアタックを担当。タイヤをウォームアップさせアタックラップに入っていくと、5周目に1分43秒035というタイムを記録。これにより11番手という位置で予選を終えることになった。決してタイムとしてはベストではないかもしれないが、現状の性能調整のなかでは好アタックと言える予選となった。
着実に週末をこなしてきたD’station Racingだが、迎えた4月16日(日)の決勝レースでは、少しでもポジションを上げ入賞を果たしておきたい。今回、チームは星野をひさびさにスタートドライバーに据えてレースに臨むことになった。
星野はその期待に応え、序盤から少しずつポジションアップ。6周目には9番手につけていった。シングルポジションで堂々たる走りを披露していたが、10周目にはワンポジションダウン。後方からはさらに#57 フェラーリが近づいてきた。ドライブしているのは、同じく日本からWECに挑んでいる木村武史選手。負けられない戦いだ。
ただ、スタートから20分というところで、2台はまさかの接触を喫してしまう。星野は姿勢を乱しコースオフ。とはいえ、コース外側が広いアルガルベだけに、わずかなタイムロスでコースに復帰。その後はスタートから1時間01分のスティントをきっちりとこなしピットインし、藤井にステアリングを託した。
交代した藤井はアウトラップから2周を過ぎると、1分43秒156にタイムを上げ追い上げをスタートさせた。しかしその直後、藤井はエンジンから異変を感じ取り、42周を終えピットイン。トラブル原因の特定、さらに修復に入っていった。
ただこのトラブルはエンジン内部のもので、気筒がひとつ動かなくなってしまったような状態だった。サーキットでの修復は不可能で、残念ながらD’station Racingの第2戦は、スタートからわずか1時間32分で終わりを告げてしまった。
悔しい結果となった第2戦だが、今回得ていた好感触を第3戦スパ以降にしっかりと繋げていかなければならない。スパ、そしてシーズン最大のビッグイベントである第4戦ル・マンはもうすぐにやってくる。
COMMENTS:
Driver:Satoshi HOSHINO
ポルティマオ戦は残念ながらリタイアに終わってしまいました。フリープラクティスから予選、そして決勝レースを通じて、アストンマーティン勢にとっては性能調整が非常に厳しく、苦しいレースウイークとなってしまいました。セブリングから今回まで性能調整の変更はなかったので、ペースとしては苦しいものがありましたが、バランスとしては悪くなかったと思います。レースではひさびさにスタートを担当しましたが、途中少し接触が起きてしまったものの、自分のスティントはしっかり走り切ることができたと思います。結果的にエンジントラブルで完走することができませんでしたが、すぐに第3戦スパがやってきます。次戦挽回できるように頑張っていきたいと思います。
Driver:Tomonobu FUJII
2年ぶりにポルティマオでレースを戦いましたが、コースはアストンマーティン勢と決して相性が良いわけではなく、ある程度の苦戦は予想しており、フリープラクティスから予選、決勝を通じてタイムの面でやはり苦しいところがありました。そのなかでも少しでも上位に食い込み、ポイントを獲ることができるようレースを組み立てていきました。決勝では星野選手がスタートを担当してくれて、接触こそありましたが、素晴らしいレースだったのではないでしょうか。結果的にエンジンの内部に発生したトラブルにより完走することができませんでした。この先、スパ、ル・マンと続いていくので、スパでリズムを整え、ル・マンで良いレースができるように頑張っていきたいと思います。
Driver:Casper STEVENSON
第2戦ポルティマオは残念なかたちで終えることになってしまった。週末の始まりは強力なパフォーマンスがあって、フリープラクティスは良い形で終えることができた。それに予選でも、星野サンが素晴らしいアタックをしてくれたと思っている。レースでも良いスタートをすることができたけれど、アクシデントもあり、その後もトラブルが起きて修復のためにピットに入らざるを得なかった。すごく悔しい結果になってしまったけれど、今回良いフィーリングを得ることができている。次戦のスパ、それにル・マンに向けて自分自身もとても良い経験を積むことができたし、スパでの第3戦を楽しみにしているよ。次戦こそ良いレースウイークにしたいね。
Team Director:Tom FERRIER
今シーズン第2戦めのポルティマオでのレースを終えたが、アストンマーティン勢にとってはセブリングに続き性能調整が非常に厳しかった。昨年シリーズでワン・ツーを占めたことから仕方がない面もあるが、競争力としてはやはり苦しかっただろう。そんななかで、ドライバー、チームスタッフ全員がひとつでも上位にいけるように頑張ってくれた。ただ、結果的にはエンジントラブルで、今回はみんなの努力が繋がらずに終わってしまった。これからまたすぐに第3戦スパがやってくるし、シーズンはまだまだ長い。この先は継続して良い結果を残し続けることができるよう、トラブルの原因をしっかりと特定して第3戦に臨んでいきたいと思っている。
Chief Engineer:Jonathan LYNN
性能調整からしても、フリープラクティスからタイムの面では苦しい週末となってしまった。ただセットアップは2021年と同様のものをベースとしたもので、ドライバーたちのコメントも良く、いい状況にはあったと思う。ただペースとしてはずっとライバルたちの方が優れている状況だった。結果的にその状況が走り出しからずっと続いてしまい、かつトラブルによりリタイアということになってしまった。ドライバーは3人ともしっかり頑張ってくれたので、これがしっかりかみ合った時には良い結果が出せるだろうと確信している。次戦スパではもう一度トップ5が狙えるようなレースにしていきたいと思っている。