更新日: 2017.04.23 08:19
トムスを追い上げるライバル勢。SF予選の勢力図変化と2年目のヨコハマタイヤ
鈴鹿の予選ではトムスの好調ぶりが証明された一方、意外にもライバル陣営の急激な追い上げが見られた。ポールと0.09秒差で予選2番手となったしたP.MU / CERUMO · INGINGの国本は、金曜日の占有走行の時点ではトップの一貴とは0.7秒差もあった。国本のチームメイトの石浦宏明も予選ではトップと0.2秒差の4番手ながら、金曜日は0.8秒差。トムスとセルモには金曜の時点で大きなギャップがあることが明らかになったが、その差は予選では一気に縮小された。
「僕も追いつくとは思わなかった」と予選後に驚くのは、P.MU / CERUMO · INGINGの立川祐路監督。
「シーズンオフから今年のタイヤにセットアップが合っていなかった。今年のタイヤの変化が大きくて、シーズンオフから昨日まで、うまくアジャストしきれていない部分がありましたが、今日、やっとそれがうまく行き出したかな」と、セルモの追い上げの要因を話す。
予選3番手を獲得したTEAM MUGENの山本尚貴も、金曜日は11番手と低迷していた。だが、そこからセッションごとに順位を上げ、予選Q1ーQ2ーQ2を5番手ー4番手ー3番手と、順位どおりにセットをアップデートさせた。
山本車を担当する阿部和也エンジニアは「金曜の時点ではチームの誰もがそうは思っていなかったでしょうけど、実はセットアップに自信がありました(苦笑)。ドライバーが頑張ったのがいちばんですけど、セットアップをうまくコンディションに合わせられた」と話す。
昨年の山本車は開幕戦鈴鹿ではポール・トゥ・ウインを果たしたが、その後は低迷。山本と阿部エンジニアはセットアップの大幅な変更を決め、このオフにトライし、合同テストでは目立った成績は残せなかったものの、微かな手応えを感じていたという。昨年の開幕戦で勝ったときのクルマとの比較を聞くと、「全然違うクルマです」と阿部エンジニアが話すように、この1年で方向性は大きく異なっているようだ。
新しくなったタイヤへのアジャストが明暗を分けたようにも見える予選結果だが、じつは予選上位3台のチームはそれぞれ、クルマの進化を求めて新しいセットアップへ舵取りを変えたのが先だった。
「メカニカルグリップをどう動かすか」をテーマにベースセットを考え、サーキットでは「タイヤと路面のコンディションをどう読むか」。ドライバーとエンジニアの飽くなきトライの結実が、この開幕戦の予選結果に表れることになった。
日曜日の決勝は、タイヤ1本以上の交換義務があり、厳密には203kmというレース距離で行われる。203kmのレース距離ではわずかに無給油は難しく、数周分の給油が必要なようだ。タイヤ1本交換義務と合わせて、レースはスタート直後に2台体制のチームの片方、全体の約半分の車両がピットインする展開が予想される。
リスクを避けるために交換本数は1本、タイヤの温まりきっていないフロントタイヤ1本を交換するのがセオリーか。特に鈴鹿では荷重がかかりづらい右フロントタイヤが交換本命の1本だとみられる。
予想が難しいのが、レース中盤以降にタイヤ交換戦略を選んだ車両。温まりづらいフロントタイヤを変えることは考えづらく、グリップが落ちてきたリヤタイヤを交換するのがレース中盤以降戦略のセオリーか。その際は車両バランスを考えて、リヤ2本交換、またはユーズドでの交換となるものと推測される。