更新日: 2017.10.07 11:41
F1ドライバー&関係者、世界を知る7人が語るスーパーフォーミュラの可能性
■ルカ・バルディセッリ(ウイリアムズF1 ランス・ストロール コーチ)
ガスリーのようなF1を目指す若いドライバーが腕を磨く場として、ライバルチームながらスーパーフォーミュラの魅力に目を向けるのは元フェラーリのルカ・バルディセッリ氏だ。
バルディセッリ氏はフェラーリ時代のミハエル・シューマッハやキミ・ライコネンのエンジニアを務めた経歴を持ち、2017年シーズンはウイリアムズF1ドライバー、ランス・ストロールのコーチを務めている。バルディセッリ氏は、スーパーフォーミュラは行き場をなくしたF1を目指す若いドライバーにとって、とても重要な存在になりつつあると語る。
「かつてのGP2、現在のF2ではタイトルを獲得すると、その次の年は同じカテゴリーにエントリーできないルールになっています」
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「F1のシートには限りがあり、そう簡単にステップアップすることができないため、かつてGP2でタイトルを獲得しながらもその後行き場がなくて消えていったドライバーが何人もいました」
「昨年の(ストフェル・)バンドーンや(今年参戦中のピエール・)ガスリーはもしホンダのサポートがなかったら、1年間レースできていなかったでしょう」
ドライバーとして成長期である時期に1年間、レースに参戦できないというのは失うものが大きい。
「スーパーフォーミュラは、F2を卒業した後もF1を目指す若手にとって、(スーパーフォーミュラは)なくてはならない存在になりつつあります」
■クリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシング代表)
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レッドブル・レーシング代表のクリスチャン・ホーナー氏もバルディセッリ氏と同様に、F2からスーパーフォーミュラ、そしてF1という流れが今後も続くだろうと考えている。
「スーパーフォーミュラは、F1以上でもなく、F2以下でもない。F1とF2の隙間を埋めるカテゴリーとして、ちょうどいいレベルにあります。そういうフォーミュラはヨーロッパにはないので、ピエールのように、これからもヨーロッパから日本を目指すドライバーは出てくるでしょう」
■ジョニー・ハーバート(元F1ドライバー)
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では、元F1ドライバーはスーパーフォーミュラというシリーズをどう見ているのだろうか。1990年代には日本でもレース活動をしていた元F1ドライバー、ジョニー・ハーバートは「F2はパワフルなGP3であるのに対して、スーパーフォーミュラはアジア版F1だ」と語る。
ヨーロッパの下部カテゴリーでは基本的にシャシー、エンジン、タイヤなどがワンメイク。対してスーパーフォーミュラはエンジンはトヨタ、ホンダのコンペティティブだ。ハーバートは「こういうカテゴリーはほかの国では見られない」と言う。
「いまではスーパーフォーミュラもタイヤはワンメイクになったけど、それでもパフォーマンスは高くマシンの限界を引き出すことができる。車体はF2と同じダラーラ製だが、ダウンフォースはスーパーフォーミュラのほうがはるかに高い」
「昨年スーパーフォーミュラとF1の両方のレースを経験したストフェル(・バンドーン)は、『F1よりもスーパーフォーミュラのほうが肉体的にきつい』と言っていたほどだ」
■ストフェル・バンドーン(マクラーレン・ホンダ ドライバー)
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ハーバートによるとスーパーフォーミュラのマシンを操る難しさを語っていたというストフェル・バンドーン。バンドーンは2016年にはスーパーフォーミュラに参戦し1勝を挙げ、タイトル争いに加わっていた。成長中の若いドライバーであるバンドーンにとって、日本でのレース参戦は大きな経験になったのだという。
「(スーパーフォーミュラでは)言葉や文化が違うだけでなく、レースをやるうえでも違うチームに所属し、違うメンバーと一緒に仕事する。もちろん、セットアップの進め方もヨーロッパとは違う」
「スーパーフォーミュラには、日本でのレース経験が豊富なドライバーばかり。そういう人たちと一緒にレースをやるという環境はヨーロッパのジュニアフォーミュラにはないから、刺激にもなった。日本のすべてのサーキットを熟知している彼らと戦うのは、とてもタフだったよ」
世界を知る男たちが評価するスーパーフォーミュラ。注目のチャンピオン争いも最終戦を残すのみとなった。全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦『第16回JAF鈴鹿グランプリ』は10月21〜22日、鈴鹿サーキットで開催される。世界の中でもハイレベルと評されるレースをぜひ現地で感じてほしい。