スーパーフォーミュラ実力者ふたりに聞くSF19の印象。2度の王者石浦は「“はまっている”ところ」
SF14時代にはタイヤがヨコハマに変わった際、マシントータルの性格的にフロントがそれまでよりは入りにくい方向にいったそうだが、SF19へのチェンジで、イメージ的にはブリヂストンタイヤを履いていた時のSF14に戻ったような感じなのだろうか?
「そういう感じもしますけど、またそれとも違うんですよ。とにかく、今回は多くを語れるほどいいタイムが出ていないんで(苦笑)。バランスを取るのとグリップを出すのはまた違って、そのへんがSF14ではうまくいっていたんですけどね」
今回は“泣き”の印象の石浦。だが、「SF14の時もウチは冬(~春先)のテストですごく速かった印象はあまりなくて、開幕戦くらいまでそうなんですよね」と、シーズンが本格化する季節を睨んだ見解も語れるあたり、さすがの余裕を感じる。「新人のつもりでがんばります」という石浦の開幕に向けての挽回、実に興味深いところだ。
関口にも2日目終了後、去り際にインプレッションを明かした。その内容は次のようなものであった。
「コーナー中間のアンダーステアが減って、進入はピーキーになった印象ですね、今のところは。ただ、タイム自体は(SF14と)似たようなものですし、僕はレースしていないですけどスウィフト(から変わった時)みたいなことはないようですよ」
「SF14からの正常進化マシン? そのあたりも(現段階ではまだ)わからないですね。たとえば今日、SF14で同じ(フロントワイド)タイヤを履いて走ったら、(熟成されたSF14と新車SF19の)どちらが速いかはわからないと思いますし。タイヤがワイドになったことのストレート速度への影響とかも、まだちょっと把握できていないです」
「(SF14とSF19、現状でどちらが好み?)どっちでもいいです、速く走れれば(笑)」

石浦ほど“はまっている”印象はない関口だが、やはりマシンに大きな変化を感じているわけでないことは共通しているといってよさそうだ。
そして、これは新車導入時やタイヤ銘柄変更時には大なり小なり必ずあるものだが、前のマシン状態で高実績を残している選手や陣営ほど、新しいハードの初期感触がもうひとつしっくりこない、あるいはしっくりきていないように見える、そういった状況は今回もある程度、発生しているようである。
そこが新ハード導入におけるシリーズ側のひとつの狙いであり、選手やスタッフには申し訳ないが、だからまた面白くもなるのだ。
ちなみにSF19はリヤウイング左右の上部に、荒天時の後方車からの視認用ランプがあるが、これについてはモースポフェスの雨中の集団走行をした時の印象として、関口、石浦とも「見えませんでした」とのこと。「すごく近くまでいけば違うかな、とも思いますけど、(レースで)そんなに近くにはいかないと思うので」(関口)。ただ、ふたりは決して不満だと言っているのではなく、「タイヤとディフューザーがある限り、(水煙の軽減は)難しいもの」(石浦)という冷静な見解を述べている。
シーズン前1回目のテストを終えた各陣営のSF19。残された走行機会は3月26~27日に富士スピードウェイで開催される公式テストのみ。石浦、関口と昨年までのSF14時代に主役を務めたドライバー、そして環境を変えて臨むライバル、ルーキーたちは、マシンをどこまで手懐けることができるだろうか。