投稿日: 2019.09.05 13:00
更新日: 2019.09.05 16:32

国内トップクラスのTOM’S東條力エンジニアが語るレースエンジニア「決めることが仕事」【サーキットのお仕事紹介】


スーパーフォーミュラ | 国内トップクラスのTOM’S東條力エンジニアが語るレースエンジニア「決めることが仕事」【サーキットのお仕事紹介】

 こう語る東條エンジニアは、レースウイーク中、各セッションでこなす仕事は「ほぼ確認作業」と表現。持ち込みセットアップの準備など、事前の準備が重要であることを強調した。

「次のレースウイーク、どういう風に走らせようかな、どのタイヤを使おうかな、というのはある程度決めておきます。それを全部できるわけではないですけどね」

「人によってやり方は違うと思うけど、僕はセットアップを机の上で考える感じではない。スーパーGTも担当しているので、ずっと考え続けていますよ。例えばスーパーフォーミュラの金曜日は余裕があるから、スーパーフォーミュラのことも考えるし、スーパーGTのこともずっと考えている。終わったタイ戦のことや、次の富士(スーパーGT第5戦)はどうしようかなと考えていますよ」

「セットアップシートを書いたり、前回行ったテストの状況や、去年の状況などを見てふり返る時間はありますよ。時間にしたら1~2日のことかもしれないけど。TOM’Sも普通の会社なので、部品の発注もしないといけなかったり、勤務状況を管理しないといけなかったり。そういう仕事もあるから、(セットアップの思案を)ずっとやっているわけではないです」

 レースエンジニアとして20年以上のキャリアを積み上げてきた国内トップクラスの東條エンジニア。気になる年収については「僕は会社員だから。フリーランスだったらもっと稼げている。たぶんだけど、耕太郎さん(田中耕太郎エンジニア)が一番貰ってるんじゃないかな」とのこと。

 最後にエンジニアを志す場合、必要な素質のひとつを「(血液型は)B型。B型以外ダメだよ(笑)」と独特の表現で示した。

「切り替えの早さとか、とことん追求するところとか。ずっと自分の思ったとおりにいくことは絶対になくて、あるところで急に発想を変えたりしなきゃいけない。だけど、人はなかなか(発想や意見を)変えられない。失敗して責められるのは嫌だなとか考えてしまうから」

「ある程度、そこはズバズバと決めていかないと成功しない。特にレースは状況がどんどんと変わっていくから固執してたらダメなんですよ。諦めが早いという言い方はおかしいけど、変わり身の早さは、すごく大事です」

中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)
中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)

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 前回取り上げた杉崎エンジニアとは違い、メカニックからエンジニアへと、ある意味で正統派の道を歩んできた東條エンジニア。歩んできた道が違うふたりが、ともにレースエンジニアの役目を「決めること」と表現し、事前のセットアップづくりに重きを置いている点は、見逃せない。

 この2回の連載を通して、レースエンジニアという仕事に少しでも興味を持ってもらえれば幸いだ。


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