更新日: 2022.04.11 11:50
トヨタ 2022スーパーフォーミュラ第1戦/第2戦富士 レースレポート
スーパーフォーミュラ 2022年 第1戦/第2戦富士
平川亮が第1戦で優勝、第2戦2位
第1戦でS.フェネストラズが3位、第2戦宮田莉朋が3位表彰台獲得
2022年のスーパーフォーミュラが開幕。第1戦、第2戦が富士スピードウェイで行われ、第1戦では平川亮(carenex TEAM IMPUL)が圧巻の走りで勝利を飾りました。平川は第2戦も最後まで首位を追い2位フィニッシュ。また、第1戦ではサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)が3位、第2戦では宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)が3位で表彰台を獲得しました。
スーパーフォーミュラの第1戦、第2戦が4月9日(土)、10日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。
日本のトップフォーミュラが全日本F2000時代より数えて50年目を迎えるこの2022年、スーパーフォーミュラはSUPER FORMULA NEXT 50(スーパーフォーミュラ・ネクストゴー)というプロジェクトで、サスティナブルなモータースポーツ業界づくりを目指し、様々な取り組みを進めることとなりました。
今季の同シリーズでの大きな変更点としては、一部の大会で、日曜日に加えて土曜日にも決勝レースを行う1大会2レース制を導入。今季は全7大会10レースで、全レースのポイントの合計でチャンピオンシップが争われます。
トヨタは今季も、この国内トップフォーミュラカテゴリーに参戦する6チーム11台にエンジンを供給。Kuo VANTELIN TEAM TOM’Sの36号車は、昨年限りでドライバーを勇退した中嶋一貴に代わり、昨年スポット参戦ながら1勝を挙げたジュリアーノ・アレジがレギュラーとしてフル参戦します。その他のチーム、ドライバーには変更なく、2019年以来のドライバーズタイトル奪還を目指します。
イベント広場では今年新たな取り組みとして、JRP、ホンダ、トヨタが合同でイベントブースを展開すると共に、参加全チームもブースを出展し、お客様にとってレース観戦がより楽しくなるような環境がスタートしました。
■第1戦予選
今大会は1大会2レース制で土日それぞれ予選と決勝が行われるため、8日(金)にフリー走行が行われ、各車この1時間半の走行で翌日からの激戦に備えました。
9日(土)午前9時半より、ノックアウト方式の予選が行われました。昨年まではQ3まで行われていた予選ですが、今季よりQ2までの2セッションでグリッドが決定されることとなりました。2組に分けてQ1を行い、それぞれ上位6台がQ2へ進出。12台で争われるQ2で決勝の上位12グリッドが決定されます。
コースを見守る富士山は真っ白な雪に覆われているものの、桜の見頃を迎えた富士スピードウェイは好天に恵まれ、朝から気温16度、路面温度26度と絶好のコンディションで今季最初の予選セッションが開始されました。
10分間で行われたQ1のA組では、まずレギュラー参戦初シーズンのアレジが1分22秒フラットの好タイムをマーク。2020年にここ富士での勝利を挙げている坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)が1分21秒台へ入れてきました。
関口雄飛(carenex TEAM IMPUL)は1分22秒250ながら辛うじて進出ラインの6番手。前日のフリー走行で上位に付けていた山下健太(KONDO RACING)はタイムが伸びず8番手、国本雄資(KCMG)も10番手となり、この2台がQ1敗退。坪井が3番手、アレジが4番手、関口が6番手でQ2への進出を決めました。
Q1のB組では、今季WEC(FIA世界耐久選手権)レギュラードライバーとの兼任となった平川が1分21秒896でトップタイムをマーク。これを前日のフリー走行3番手と好調なフェネストラズが1分21秒744で塗り替えました。前日のフリー走行でトップタイムをマークした宮田は1分22秒035で5番手タイム。フェネストラズ、平川、宮田の3台がQ2へ進出。
阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)は8番手、大嶋和也(docomo business ROOKIE)が9番手、小林 可夢偉(KCMG)は10番手に終わり、Q2進出はなりませんでした。
開始時よりもさらに気温、路面温度ともに上昇したQ2(7分間)では、フェネストラズ以外のトヨタ勢はややコースインを遅らせてアタック開始。トヨタ勢の最高タイムをマークしたのは1分21秒708の平川。僅差で宮田、フェネストラズが続き、平川が3番手、宮田が4番手で2列目に並び、フェネストラズが5番手。関口は8番手、アレジが9番手、坪井は走路外走行違反で最速タイムを抹消され、12番手グリッドとなりました。
■第1戦決勝
予選の後、幾つかの併催レースを経て、午後2時30分、気温23度、路面温度30度、かなり風の強いコンディションで、41周で争われる第1戦決勝レースのスタートが切られました。 ポールポジションの車両がエンジンストールで止まってしまい、その真後ろにいた平川は好判断でこれをかわしトップに立ちました。
5番手グリッドのフェネストラズもこの混乱を上手くかわして平川の後方2番手へと浮上。その後にはやはり8番手からジャンプアップした関口、4番手グリッドの宮田と続き、トヨタエンジン勢がトップ4を占めて序盤戦に突入しました。
フェネストラズは前を行く平川を果敢に攻め、6周目のストレートでオーバーテイクシステムも使ってパス。フェネストラズが首位を奪いました。しかし、抜かれた平川も離されることなく2台が首位争いを展開。
先頭が10周目を終え、義務づけられているタイヤ交換のためのピットインが可能になると、5番手以下の車両が早めのピットに向かう作戦を採りました。
首位を争うフェネストラズと平川はピットに入らず、14周目にはオーバーテイクシステムを使った平川がTGRコーナー(1コーナー)進入でフェネストラズをパス。フェネストラズも負けじと再逆転を狙いましたが、平川がこれを抑え、その後はフェネストラズとの差を広げていきました。
首位に立った平川でしたが、先にピットインしていた車両が、新しいタイヤの優位性を活かしてハイペースで周回を重ね、平川とのタイム差を縮める見えない首位争いとなりました。
19周目を終えたところで、4番手を走行していた宮田がピットイン。翌周には3番手の関口、21周終了時には2番手のフェネストラズもピットへと向かいました。24周目には、ピット作業を終え、タイヤも暖まった宮田と関口がふたたびホイール・トゥ・ホイールの激しいバトルを展開。関口が意地を見せてこのバトルは守り切りました。
レース折り返しを過ぎてもピットを引っ張る平川は、24周目に自己ベストタイムを更新し、25周終了時でピットイン。この時点でライバルとは約40秒差。平川は、チームの迅速なピット作業にも助けられ、ライバルのすぐ後、実質的な2番手でコースへと復帰しました。
26周目を終えたところで、ライバルと2.4秒差につけていた平川は、タイヤが暖まると猛プッシュ。ライバルを1秒近く上回るペースで追い上げ、30周目にはストレートで並びかけました。
2台はお互いにまったく譲らず、TGRコーナーを抜け、続くコカ・コーラコーナーでもサイド・バイ・サイドのまま。その先で一旦は引いた平川でしたが、コース後半、テクニカルな上りのダンロップコーナーからGRスープラコーナー(13コーナー)で一気にインをつき、見事首位を奪還しました。
首位に立った平川は手綱を緩めることなく、その後はどんどん後続との差を広げて独走状態に。3番手のフェネストラズが2番手を攻める展開となりました。平川は、一時は2番手に6秒以上の大差をつけ独走でのトップチェッカー。2020年の開幕戦もてぎ以来、自身通算3勝目を飾りました。富士では初勝利。
フェネストラズは最後まで2番手争いを繰り広げましたが惜しくも逆転には至らず、3位でフィニッシュ。それでも昨年終盤2戦しか参戦できなかったフェネストラズにとっては、うれしいデビュー戦(2020年)以来となる3位表彰台を獲得しました。関口が4位、宮田が5位、坪井が8位でポイント獲得を果たしました。
■コメント
●carenex TEAM IMPUL 20号車 平川亮(第1戦終了時コメント)
「疲れました。41周は長かったです。最初サッシャに抜かれて、ちょっと厳しいかなと思ったんですが、諦めずに戦って抜き返せましたし、ピット作業も良くて、野尻選手のすぐ後でコースに戻ることができました」
「その後もペースは良く、野尻選手とのバトルは、抜ける場所は他にもあったと思いますが、あれを逃すとこちらもタイヤが厳しくなる、そういうタイミングでした。昨年は最高位が2位で悔しいシーズンだったんですが、今季は初戦から優勝できて良かったです」
「WECのテストでポルトガルから木曜日の夜に帰ってきたばかりで、時差ボケもあり結構大変でしたが、勝てて本当にうれしいです」
●KONDO RACING 4号車 サッシャ・フェネストラズ(第1戦終了時コメント)
「良いレースでした。スタートで上位勢の混乱があったこともあり、勝利を争える位置に上がることができました。一旦は首位にも立てましたが、リヤタイヤの摩耗が想像より早く、ピットインまでポジションを守るだけのペースを保つことができませんでした」
「とはいえ、我々のチームは昨年苦戦してきましたし、私自身がなかなかレースに出ることができない状態だったことも考えると、今季開幕戦で表彰台に立てるとはまったく予想していませんでしたし、とてもうれしいです」
「もちろん、リタイアの多かった一昨年、入国できなかった昨年のこともあって、まだまだ学習しているところです。今日は序盤ちょっと攻めすぎてしまい、タイヤを思った以上に酷使してしまいましたが、タイヤ交換したあとは良いペースで走れたと思いますし、今後に向けて良い経験になったと思います」