ThreeBond Drago CORSE 2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO レースレポート
初ポイント獲得
2022年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第4大会(第5戦)が、6月18日(土)〜19日(日)にかけて宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。
全長3.6km弱とシリーズでは最も短く、しかもアップダウンに富むコースレイアウトを考慮し、チームは走行中の姿勢変化に伴う空力特性を安定させる方向でリヤのダンパーを中心にこれまでとは異なるアプローチでセッティングを見直し、サーキットへ持ち込んだ。
公式予選
東北地方は6月15日に梅雨入り宣言していたが、公式予選が行われる土曜日のスポーツランドSUGOは晴天となり、気温が上昇した。
午前中のフリー走行を走り出したドライバーの福住仁嶺選手(以下、福住選手)はマシンの感触に手応えを感じ、ピットインを繰り返しセッティングの微調整を重ねて午後2時15分から10分間の公式予選に備えた。
公式予選Q1B組に出走した福住選手は2周をかけてタイヤをウォームアップしタイムアタックに入ると、1分5秒075を記録。その時点で出走11台中5番手につけた。その後、順位は6番手に繰り下がったものの無事にQ2進出を果たした。
ノックアウト予選形式が3ステージ制だった昨年は、シリーズ第3戦で塚越広大選手がQ2進出を果たし、スターティンググリッドを9番手につけているが、予選形式が今年から2ステージ制へ変更されてからは初めてのQ2進出となった。
午後2時40分から公式予選Q2を前に上空には薄い雲が広がった。福住選手は7分間のセッションが終わる直前にタイムアタックに入ると、1分4秒913を記録。Q2出走12台中6位につけて最終的にスターティンググリッドは21台中6番手となった。
6番手スタートは2019年のチーム創設以来の最上位という結果にチームも歓喜した。
決勝レース
6月19日(日)午後2時30分、決勝レースのスタートが切られた。
6番手グリッドの福住選手は一瞬加速が鈍ったが、後方車両も同様にスタート加速が鈍ったことにも助けられ、6番手ポジションを守ったまま第1コーナーに飛び込んだ。
その直後、後方でアクシデントが発生したためセーフティーカーが導入され隊列走行が6周目終了時点まで続いた。しかしレース再開直後に再びアクシデントが発生して再びセーフティーカーがコースイン、隊列走行が再度始まった。
この隊列走行は、規則上タイヤ交換義務を果たすためのピットストップが可能になる10周目完了時点まで続きそうな状況だったことから、ここで各チームの戦略が別れることになった。
上位陣は10周完了時点でピットインしタイヤ交換を行い、残りの周回数をそのまま駆け抜けるオーソドックスな戦略を選んだが、中団以降のチームはここではピットインせずタイヤ交換を遅らせる、いわゆるステイアウト戦略を選んだ。
福住選手は10周終了時点でピットイン、タイヤ交換を行ってコースに復帰した。この時点でステイアウト勢は前方へ繰り上がり、福住選手の見かけ上の順位は12番手へと後退した。
その後、セーフティーカーは14周完了時点で退き、レースが再開された。
レース再開後の福住選手はステイアウト勢にタイムの計算上、前へ行かれないようペースを上げなければならなかったが、ペース維持に集中する走りとなり、見かけ上、前方車両、後方車両との間隔が1秒から2秒へ開いて膠着状態となった。
レース終盤、ステイアウトしていた9番手スタートの牧野任祐選手が福住選手の前でコースに復帰、さらに16番手スタートの平川亮選手が最終ラップとなる49周目の1コーナーで福住選手に追いついてオーバーテイクしたので、福住選手のポジションは結局8番手へ下がった。
レースは当初53周の予定だったが、2回のセーフティーカー先導走行のため規定のレース最長時間を超えてしまい49周で打ち切られることになった。
結果、福住選手は49周を走りきって8位でチェッカーフラッグを受けた。
チーム創設以来最上位の8位入賞を果たした福住選手はシリーズポイントの3点を獲得、ドライバーランキング16番手につけてレースを終えた。
■コメント
福住仁嶺
「今回は、今まであまり手を出してこなかったところにも変更を加えて前回と大きく変えたクルマを持ち込んだので、走り出しからある程度手応えがありました。土曜日のフリー走行では、まだもう少し欲しいという状況だったので、そこでまた考えて予選に向けて少しずつアジャストしたことがうまく働いて6番手グリッドを獲得出来たのだと思います」
「ただ、決勝レースでは序盤からグリップ感があまりなくペースとしては苦しいレースになり、前を抜けるような状況ではなかったので、ポジションをキープするために少しでもタイムロスをしないよう1周1周大事に走りました。チームとして初めてのポイントは素直に喜んでもいいとは思うし、自分でもとても嬉しいです。でもまだまだライバルとの差を見せつけられている状況なので、もっと前に行けるように、次回富士でのレースに向けて準備を進めたいと思っています」
道上龍監督
「チーム3年目でようやく初ポイントを獲得することができました。予選順位があそこまで上がったのは間違いなくパフォーマンスが上がったと言うことだと思います。ただ、ポイントを獲れたのは良かったのですが、スタート順位からポジションを落としてしまったので、それを考えると、やはりまだレースペースが足りていないなと痛感すると共に監督として反省しています」
「平川選手のペースで走れることを考えると、今の我々にはまだ改善が必要です。セーフティーカーがいつまで続くかわからなかったので早めにピットインした作戦は間違っていなかったと思います。次戦富士の第6戦でどんなパフォーマンスを見せられるか、今回やってきたことが富士で良い方向へ行くかどうか、今回のSUGOは特殊なコースだっただけに、次戦に向けてレースをもう一度振り返って、チームでミーティングをして慎重に準備を進めたいと思っています」
伊与木仁チーフエンジニア
「正直なところ、3ポイントを獲るのにこんなに苦労するとは思いませんでした。今回はレース中、一時的に太陽が陰って温度が下がったときのペースが上げきれなかったためポジションを落としてしまったのだと分析しています」
「予選ポジションが上がったとはいえ、速く走らせる方向性が100%見えたとは言えない状況です。結局はデータや外部情報を組み立てた結果であって、決して自分の頭の中で全て納得して作ったクルマではないからです」
「去年、一昨年には塚越選手に乗ってもらってQ2へ進出したりもしていますし、ポイントが獲れそうなレースもありましたが、今シーズン前の方を走っているチームは、当時のレベルからもう1歩進歩していて、そこになんとか追いつかなければなりません。今回見えた方向をうまく伸ばす方向で、富士でのレースに備えます」