更新日: 2022.08.21 21:51
手に汗握ったファイナルラップの名バトル。関口雄飛VS平川亮、それぞれのOTS戦略/SF第8戦決勝
一方、7番グリッドからスタートして、平川とは対照的に10周目のタイミングでタイヤ交換を済ませる戦略を採った関口。本来なら、ピットアウト直後の周囲がクリアな場所でペースを上げていく狙いがあったが、ピットストップを終えていない後方集団が目の前に現れ、オーバーテイクしながらペースを上げていく展開を強いられた。
「これは作戦失敗だなと思った」という関口だが、ピットストップ直後でタイヤが新しかったこともあり、ペースの差でオーバーテイクを決めていった。
「自分の方が速くて、思ったよりも(相手と)ペースの差があったから抜けた感じでした。OTSも使いながら抜いていったんですけど、そこで少し使いすぎて、平川選手との直接対決では残りの秒数が少ない状態でした」
そう話すとおり、こちらも『SFgo』のアプリで確認したところ、ファイナルラップに入る時点で、関口のOTS残量は43秒だった。これをメインストレートに入ったところで使用し、5コーナーでのバトルに備えたのだが、結果的に失敗だったという。
「結果論ですけど、あれは(押したタイミングが)ちょっと早かったです。バックストレートに入った時点で僕は弾切れ(残量0)になってしまっていて、平川選手は90度コーナーまで使えている状態でした」
「僕は5コーナーで仕掛けてくると思ったいたので、本当なら3コーナーの立ち上がりで押せば大丈夫だったんですが、その前で押してしまいました。(平川選手のOTSが)僕より10秒多く残っているのは聞いていたので、逆算しておしたつもりだったんですけど……あれは失敗でした」
実際には、ファーストアンダーブリッジを過ぎたあたりで、残量0となった関口は、OTSが使えている状態の平川を90度コーナーで迎え討つことになるのだが、抑え込む自信はあったと語る。
「(OTSがなくても)相手を抑え込むのは得意でしたし、向こうの方がタイヤは良い状態でしたけど、ブレーキングもとことん付き合っていこうと決めていました。ただで順位を明け渡すようなことはしたくなかったです。ブレーキング勝負で止まれたらラッキーですし、もし止まれなかったとしても、それは仕方ないかなと思います。それは、どんな状況でも心に決めていました」
ピットストップのタイミングだけでなく、オーバーテイクシステムの使用タイミングまで駆使して、バトルを繰り広げたふたりだったが、最後は意地と意地のぶつかり合いとなり、関口がわずかに上回って、勝利を収める結果となった。
いつもは、オーバーテイクの機会が少なく“抜けないコース”と言われがちなもてぎだが、タイヤのピークグリップやOTSをうまく活用することで、多くのファンを魅了するバトルが展開されたことは間違いないだろう。