更新日: 2023.04.06 14:02
【松田次生×石浦宏明】勢力図は『中の、ちょっと上』が大混戦? オーバーテイクシステム運用変更もカギに
──サステナブル素材が使われた新しいタイヤの影響はいかがでしょう。石浦監督は、開発ドライバーとして昨年ずっと開発を続けてきていましたよね。
石浦:サステナブル素材が含まれているのに、(従来のタイヤと同等の)一発が出るというのは開発テストでも驚きましたけど、今回のテストでもドライバーからそういうコメントがあるし、実際にタイムも出ているので、そこは狙いどおり。あとは若干、落ちも大きいかなと開発中も体感はしていたのですが、「ペースやレース距離を考えても、落ちがほんの少し多めでもレースは面白いんじゃないですか」というようなことは僕もミーティングで話させてもらっていたので、それがどう出るか。レースになると熱の入り方とか内圧とかは全然違うし、内圧規制もあってレース中は結構高めの内圧で走ることになるので。
次生:だから本当、ドライバーは大変だと思う。タレたタイヤでどれだけ生き残れるか、ということになりそうですね。タイヤの使い方がうまいドライバーが上位に行くのかな。
石浦:この企画の結論を言うと、「(勢力図は)開幕戦が終わるまで、関係者でも分からない!」ってことになりますね(笑)。予選が終わった段階でも、まだ分からないと思います。
次生:もしかしたら、富士の予選ではトップから最後尾まで、1秒以内に入るかもしれない。
石浦:そうですね。なのに、決勝始まったらもう、順位がガラガラ変わる状況、みたいな。
──その状況で、SF23導入でターゲットにされている”接近戦”が実現するなら、さらにスリリングな展開となりそうです。
石浦:ウイング角が減っているので、その部分は間違いなく良くなるとは思いますが、集団での(開発)テストはしていないのでレースをやってみないと分からないところもありますね。ただ、こうやってテストが始まってみると、データ上も(ダウンフォースが)そんなには減っていないという話もあるので、そこは(昨年の)開発テストとは違った結果が出てくる可能性はあるかな、と思います。
次生:そうだね、1対1なら争うことができるかもしれないけど、集団になったときにどうなるか。(スライドしてしまって)リヤタイヤが持ちません! みたいな可能性もあるかもしれないね。
■2台体制の監督は大変!
石浦:あと今年はOTSのランプが光らなくなるので、そうなると決勝ペースが良ければ、(ライバルとしては防御が難しいので)結構上がっていけちゃう気がしますね。OTSが使えない時間もコースによっては長くなるし、そうすると例えば富士なんかだと(OTSを使う)タイミングをずらせば、いけちゃいますもんね。
次生:いままでは僕ら監督も「(ライバルは)いま、OTS使ってるよ!」と無線で伝えることができたけど、もう何も言えなくなるしね。
──『SFgo』アプリ上では見られるんですよね?
次生:そうなんですけど、『SFgo』では10〜20秒くらいタイムラグがあるので、(ドライバーに)伝えた頃には「もう抜かれちゃったよ!」ということになりかねない(笑)。実質、その部分はピット側でサポートできなくなるでしょうね。
──なるほど。ところで石浦さんは2台体制のセルモから移籍した形ですが、1台体制のチームはいかがですか。
石浦:もう、全然違いますね。2台体制ならデータを重ねて見ることができますけど、それができないというのが大きい。自分のデータしか見られないって、相当大変なんですよ。ただ、2台になったらなったで、1台は調子いいけどもう1台が調子悪いときに「なんでだろう?」といった大変さや難しさも出てくるんですけどね。
次生:KCMGも可夢偉選手1台の時は人数少なくて、そのときは結果が出ていた部分もあったけど、2台になったら人も物も増えるし“迷い”も出てくるし、そもそも全体をまとめるのが大変。そういう意味では1台の方がいい部分もある。本当に半々というか、どちらがいいとも言えないかな。
石浦:去年までは2台分の無線を聞いていましたけど、今年は1台分しかないので、めっちゃ集中して聞けますよ(笑)。
次生:それは僕も本当に大変(笑)。なので今年は田中哲也さん(※レースマネージャーに就任。主に可夢偉車の監督的立場)に来てもらって、すごく助かっていますね。
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