更新日: 2018.09.16 20:17
これぞ元F1チャンピオンの適応力。穏やかな前半から一転した後半の波乱を乗り越え山本&バトンがスーパーGT初優勝
81周のレースは中盤を迎え、1号車KeePer TOM’S LC500が28周目にピットへと向かったのを皮切りに、翌周には17号車、6号車WAKO’S 4CR LC500と立て続けにドライバーチェンジ。続く32周目には4番手走行中だったMOTUL MUGEN NSX-GTもボックスへと向かいモニター画面で36秒9の作業時間で送り出し、気温の下がる時間帯からの逆襲に向け後半ロングスティント勝負の動きを見せる。
レースディスタンス半分の40周を前に、2番手RAYBRIG NSX-GTが35周目に39秒6のピット滞在時間でジェンソン・バトンにスイッチ。一方、首位を走るカルソニックGT-Rは39周目まで引っ張って佐々木大樹にステアリングを託すと、43秒8の作業時間が響いたかアウトラップでウォームアップのままならないGT-Rの背後から走行4周目のバトンが猛然と襲いかかり、シケイン〜ハイポイントと追走してレインボーでインを差し一気に先頭へと躍り出た。
これでGT300の処理のみに集中する環境が整ったバトンは、トラフィックの中で1分15秒台の安定したラップを刻んでいく。すると、ラップごとにギャップが広がっていたカルソニックGT-Rは45周目の最終コーナーの進入でワイドとなりマーブルに乗ったか、痛恨のコースオフ。ランオフエリアでたくさんの草を拾った状態でコースに戻り、ホームストレートへの加速で大きくロスし、首位との差が一気に9秒7にまで広がってしまう。
この時点で路面温度は30周時点の38度から34度まで下がり、50周を越えヨコハマタイヤ同士の5番手争いを繰り広げるMOTUL MUGEN NSX-GTとフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rがウェービングを見せるシーンもあり、タイヤ温度かピックアップか、いずれにしてもタイヤのグリップ管理に難しさを感じさせる。
さらに佐々木のカルソニックGT-Rはグラスエリアをカットして草を拾った影響でクーリングに問題を抱えたか、ラップタイムペースが安定せず54周目には100号車バトンとのギャップが16秒にまで拡大。佐々木の背後にはSUGOの前年度ポールシッター、野尻智紀のARTAが迫ってくる。テール・トゥ・ノーズの状態でディフェンスを続けた佐々木だが、57周目に力尽き3番手へと後退。NSX-GTは再びのワン・ツー体制となる。
しかしここでも”SUGOの魔物”が初参戦で首位快走の元F1ドライバーに試練を与え、最終コーナーでGT300トラフィックをかわそうとしてアウトへとマシンを振ったバトンの100号車はコース外へ膨らんでしまい、RAYBRIG NSX-GTはカルソニックGT-Rのリプレイを見るかのようにランオフエリアを滑走。これで2番手野尻とのギャップは12秒にまで縮まってくる。
100号車、12号車ともにその後ラップタイムを戻しマシンダメージなく周回を重ねて終盤へと向かっていたレースは、67周目にSPインで発生したGT300バトルの余波を受け、数周はFROでマシン回収処理を模索したものの70周目にセーフティカー導入が決定。これで優勝争いは最後のスプリント勝負に。