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投稿日: 2015.04.06 19:58
更新日: 2016.09.01 21:59

ZENT RC F、一時8番手まで後退も3位表彰台獲得


スーパーGT | ZENT RC F、一時8番手まで後退も3位表彰台獲得

2015 SUPER GT Race Report ZENT CERUMO RC F
#38立川祐路/石浦宏明
第1戦 岡山国際サーキット OKAYAMA GT 300km RACE

◆4月5日 (日) Race
決勝総合結果 3位

【決勝】天候:曇りのち雨 |コース状況:ウエット
 前日に行われた公式予選では、惜しくもポールポジションには届かなかったものの、3番グリッドという好位置を手にしたLEXUS TEAM ZENT CERUMO。今季開幕戦だけにスタートダッシュを決めたいところだが、生憎前日の予報が的中し、この日の岡山国際サーキットは朝から雨もよう。時折激しく雨が吹き付ける中、午前9時から30分間のフリー走行が行われたが、同様の難しいコンディションが想定される決勝に向けて#38 ZENT CERUMO RC Fは精力的に周回を重ねべくコースインしていった。

 セッション開始と同時に立川がステアリングを握ってコースイン、すぐさまピットインして石浦に交代するシミュレーションをこなした#38 ZENT CERUMO RC Fは石浦のドライブで連続周回に入ったが、その直後の午前9時06分にモスSの手前でGT300車両がコントロールを失ってバリアにクラッシュ。強い雨が降り続く、難コンディションとあって、早々に赤旗中断となってしまう。
 セッションは午前9時20分に再開、5分間延長されたことで残り15分となったフリー走行。#38 ZENT CERUMO RC Fは石浦に代わって立川がコクピットへ。立川はすぐさま1分55秒549で11番手、1分44秒286で5番手に。徐々にコース上の水の量が減って来たのか周囲のラップタイムも上がり始め、翌周に1分41秒331をマークもポジションは下がる状況もあったが、立川はさらに1分36秒669へと大幅にタイムアップし、再び#38 ZENT CERUMO RC Fを2番手に押し上げる。

 残り5分を切り、さらにタイムが上がって行く中、#38 ZENT CERUMO RC Fは一旦ポジションを下げるものの、8周目に立川は1分35秒253をマークし再び2番手に。結局この2番手というポジションのままフリー走行を終えた#38 ZENT CERUMO RC Fは、いよいよ今季初戦を迎えることとなった。

 82周、300km先のゴールを目指す決勝レースは、午後2時30分にフォーメイションがスタート。この頃には雨もほぼ上がっているものの、路面はじっとりと黒く濡れたセミウエット状態とあって、ギリギリのタイミングまでタイヤ選択を悩んだものの、LEXUS TEAM ZENT CERUMOはレインタイヤでのスタートを選択。スタートドライバーを務める立川に#38 ZENT CERUMO RC Fのステアリングを委ねる。
 岡山県警の白バイとパトカー先導による1周のパレードラップに続いて、セーフティーカー先導のフォーメイションラップが行われた後、いよいよ午後2時37分に今季スーパーGTの開幕戦がスタートした。

 立川は鋭い加速を見せると、巧にポジションをキープして1コーナーをクリア。オープニングラップから前を行く#6 ENEOS SUSTINA RC Fにプレッシャーを掛けて行く。しかし、簡単にポジションを明け渡すはずもなく、背後に#1 MOTUL AUTECH GT-Rが接近する中、序盤#38 ZENT CERUMO RC Fは3番手のまま、三つ巴の攻防を展開する。

 4周目のヘアピンでついに#6 ENEOS SUSTINA RC Fを捉えた立川だったが、よりペースの上回る#1 MOTUL AUTECH GT-Rも#6 ENEOS SUSTINA RC Fを同時にかわして立川の背後に着くと、翌5周目のヘアピンで#38 ZENT CERUMO RC Fのインを急襲。アウト側で立川も粘ったものの、ここでは#1 MOTUL AUTECH GT-Rの先行を許すことに。

 ここで再び3番手に戻った立川だったが、コンディションとタイヤのマッチングが悪くトップ2台のペースには届かず苦しいペースでの周回が続いてしまう。このため、14周目にひとつ、15周目にはふたつとポジションを下げるなど、じりじりと8番手まで後退した立川だったが、徐々に路面が乾いてくると状況が好転。1分33秒台前半にペースを上げた#38 ZENT CERUMO RC Fは、30周目に7番手にポジションを上げると、翌31周目にはベストラップとなる1分32秒785をマークするなど復調の兆しを見せる。

 しかし、この直後から再び雨が降り始めてしまう。さらなる逆転を狙ってスティントを引っ張り、ライバル陣営のピットインの間にトップにまでポジションを上げていた#38 ZENT CERUMO RC Fだったが、次第に雨が強まったことで、粘り強く走行を続けていた立川を43周目にピットに呼び寄せ、後半を石浦に託すこととなった。

 石浦は6~7番手付近でレースに復帰。他車のピットインもあってすぐさま5番手に浮上、33秒台の安定したペースで周回を始めたものの、またしても不安定な雨量の影響でペースが上げられず54周目に#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTにオーバーテイクを許して6番手に。
 苦しいペースのまま、じりじりと前とのギャップが拡大していった石浦だったが、残り15周のあたりから再び雨脚が強まり始めると終盤の強い雨の中でライバル勢が大きくペーすを落とす中、1周あたり数秒以上上回るハイペースで力強いラップを刻んで行く。74周目に#12 カルソニック IMPUL GT-Rをパスし5番手とした石浦は、さらに前を行く#8 ARTA NSX CONCEPT-GTと#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTを追走。78周目の1コーナーで#8 ARTA NSX CONCEPT-GTがコースオフし4番手に浮上した石浦は、その勢いのままアトウッドカーブで#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTを豪快にオーバーテイク、ついに3番手に躍進を果たす。

 最後は2位まであと1秒6にまで迫った石浦だったが、惜しくも届かず#38 ZENT CERUMO RC Fは3位でチェッカー。しかし、一時は難しいコンディションの中で8番手あたりまで後退を余儀なくされていた状況からの、起死回生とも言うべき3位表彰台の獲得に、LEXUS TEAM ZENT CERUMOは次戦富士への大きな手応えを感じ今季開幕戦を終えることとなった。

ドライバー/立川 祐路
「予想していたよりも路面が乾いてしまったことから、かなり序盤は苦しい戦いを強いられましたね。僕たちよりも硬めのタイヤを選んだマシンが速く、耐え忍ぶ展開になりました。ただ、タイヤが摩耗し切って溝が少なくなると逆にペースが上げられるようになって少し巻き返したんですが、そこからまた雨が降ってしまって。しかし、一時は上位入賞は難しいかと思って、私服に着替えていたんですが、残り数周で状況が一変したので、そこからもう一度レーシングスーツに着替え直して。今年はクルマも充分戦える状態で開幕を迎えているので、もう一度タイトルを狙って行きたいですね」

ドライバー/石浦 宏明
「僕のスティントでも、途中までは立川さんとまったく同じ状況でオーバーステアが酷くてペースが上げられず苦しんだんですが、終盤雨が降って来たら急に周囲のマシンが遅くなって。あとは追いついたときにミスしないように抜いていくことだけに集中していきました。何度もコースアウトしそうになったり、周回遅れと接触しそうになったりしましたが、それだけは絶対ダメだと自分に言い聞かせながらチェッカーまで走りました。もう1周あったら、楽に2位に届いていたとは思います。こういうレースを落とさずきっちり取って行くことも重要ですし、勝てる手応えを充分感じていますから、早く1勝して最終的にはチャンピオンを獲れるよう頑張ります」

監督/高木虎之介
「スタートの段階で微妙な天候だったので、本当にタイヤ選択の難しい状況でしたが、序盤予想よりも路面が乾いてしまったことでペース的に苦しくなってしまいました。第2スティントについては逆に雨が再び降ってくるような状況でしたが、あのまま乾いて行っていたらポジションを挽回するのは無理だったと思いますね。今回については、表彰台に届いているので最終的にはタイヤ選択は悪くなかったとは思いますが、多分に運も味方してくれたように感じます。立川も辛い状況の中頑張ってくれましたし、新規加入の石浦もミスなくチャンスを結果につなげてくれました。シーズンを通じて、今回のようにノーミスでやってくれれば。次の富士は500kmですし、またノーミスで戦えれば、必ず表彰台に立てると期待しています」


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