更新日: 2018.10.20 22:21
GT500予選《あと読み》:ARTA NSX-GTポール獲得の“決め手”。そしてライバルは決勝の逆襲に虎視眈々
もちろんKeePer TOM’S LC500も決勝に向け、NSX勢を攻略するためにも、まだまだやらなければならないことはあるという。だがふたりの表情に暗さはない。
「決勝は、タイヤの落ちでもっとアンダーステアになることを予想しているので、もうちょっとケアしてあげなきゃいけない」とは平川の言葉。
「ただ、レースはもう少し戦えると思います。朝、セットアップに取り組んでいる間にタイヤ(のパフォーマンス)が落ちて、ロングランまではできなかったですし、いつもレースに向けて不安はありますよ」
「タイヤももつのはもつんですけど、(パフォーマンスの)落ちがちょっと怖いですし、ピックアップの懸念もあります。ただ、僕たちが落ちれば、ホンダ勢はもっと落ちると思うので、もっと不安だと思いますね」
キャシディも「ホンダ勢は僕たちより柔らかいタイヤを選んでいる。だから、僕たちは硬めのタイヤでのアドバンテージを決勝で活かせればいいなって思っているよ。明日の決勝も晴れて、今日よりも暖かくなれば、僕らにとってはより良い状況になると思う」と展望を語った。
「そういうコンディションになれば、タイヤのグレイニングも問題ないしね。開幕戦の岡山と状況は似ていると思うよ。予選ではNSXが上位を独占して、僕たちは予選9番手だった。だけど、最初のスティントが終わる頃には、僕らがトップまで浮上できていたんだから、それと同じような状況になったらいいなと期待を持っているんだ」

さて、その一方、今回の予選で4台揃ってQ1敗退という結果になってしまったのがニッサン勢だ。過去、オートポリスを得意としていたGT-Rに何があったのか。ニッサン系チームのエンジニアに話を聞くと、朝から抱えていたアンダーステアが予選でも解決できなかったと言う。
また、ミシュランユーザーのCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rについては、チームの宮田雅史エンジニアによればQ1でアタッカーを務めた千代勝正はアタックラップの1コーナーでブレーキロックし、タイヤにダメージを負ってしまったことも失速の要因という。
ただ同じミシュランを履くMOTUL AUTECH GT-Rも下位に沈んだことを考えると、予選日の気温が想定外に冷え込み、タイヤの温度レンジから外れてしまった可能性は高そうだ。
「メーカーテストの時の状況だと、MOTUL AUTECH GT-Rもカルソニック IMPUL GT-Rもそんなに悪くなかったんですよね。だから、なぜこんなにフィーリングが良くなくなってしまったのかというのは、ちょっと分からないですね」と田中利和ニッサン系チーム総監督は振り返る。
「正直、ホンダ勢が速いのは予想していましたけど、この差は想定していませんでした。ウチは全車が同じように、それぞれアンダーステアと言っていますが、同じ傾向のものとそうじゃないものがあります」
「だから、なかなか難しいですね。原因がわかっていれば、対策ができるんですが。ただ、ダウンフォースのバランスだとか、そういうことがひとつあるのかなという感じはします」
一方で先にも述べたようにニッサンGT-Rは、2017年に4~5位を獲得するなど、このオートポリスは得意としているサーキットのひとつ。明日の決勝では、後方からGT-Rがゴボウ抜きで上がってくるというような展開もあるのか。いずれにしても、一筋縄ではいかない一戦となりそうだ。