更新日: 2020.08.24 17:07
大波乱のGT300。スーパーGT第3戦鈴鹿のあれこれ一気掲載《第3戦GT300決勝あと読み》
3回目のセーフティカー導入のきっかけとなったのは、ピットインを終え争っていたたかのこの湯 RC F GT3とHitotsuyama Audi R8 LMSのバトルからのHitotsuyama Audi R8 LMSのストップだ。「タイヤが温まってきて、前を追おうと思いましたが、ストレートに向けてアウディにスリップに入られてしまいました。インに入られましたが、アウトで粘れると思っていました」というのは、たかのこの湯 RC F GT3の久保凛太郎。
「1コーナーのクリップ立ち上がりくらいまで粘っていましたが、一度接触があり縁石の方まで押し出され、コースに戻りたいのでステアリングを右に切ったタイミングと向こうが寄せたタイミングが重なってしまったかもしれませんね。あそこで接触しているようではダメです」と久保。「戻り方が急だったようです」とペナルティが課されてしまった。
一方川端は「ピットに入って2〜3周後くらいですが、RC Fと近いまま1周走り、ストレートでスリップに入りインに入っていきました。映像でも僕の方が少し前にいましたが、ずっと『来てるな』と思いながら、そのまま……という感じでした」という。
「(久保も)テンションが上がっていたと思いますし、僕も熱くはなっていましたけど、逆の立場なら引いていたかな………という気持ちもあります。残念ではありますね。UPGARAGE NSX GT3の前にはいたので」
どちらも好走をみせていただけに、悔しい結果になってしまったのは間違いない。また両ドライバーとも今季チームに加わっていただけに、結果が何より欲しかったはずだ。最終的に久保のペナルティにはなったが、次戦の両者の巻き返しを期待したい。
■オリベイラが必死の奮闘も、結果は残らず
終盤、激しいドッグファイトが展開されたのが、リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rを駆るジョアオ・パオロ・デ・オリベイラを先頭としたバトルだ。21周を終え交代したリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rは、GAINER TANAX GT-Rに次ぐ2番手を走っていたが、終盤GAINERに離されていってしまう。
「残り10周くらいは、完全にリヤがなくなっていて、本当に苦しかった。オーバーステアでバイブレーションもあったし、なんとか順位を守りフィニッシュしようと思っていたんだ」とオリベイラ。
そんななか、ペースに優るARTA NSX GT3の大湯都史樹、さらにUPGARAGE NSX GT3の松浦孝亮がオリベイラに急接近し、3台のバトルが展開された。しかし、デグナーで大湯がオリベイラにヒット。2台はコースを外れてしまった。
「後方からペースが速いARTA NSX GT3が近づいてきたけど、デグナーのひとつめでヒットされてしまったんだ。大湯選手はレース後謝りにきてくれたけれど、あれからさらにオーバーステアがひどくなった」とオリベイラは状況を語る。
一方大湯は「トップ2台のGT-Rよりペースは良かったのですが、前に出られてしまうとダウンフォースが減ってしまい、なかなか抜けなかったです。最後、2位までは届きそうだったのですが、オリベイラ選手の巧みな駆け引きで抜くのが困難だったのと、僕も無理してしまったところがありました。反省が多いレースになってしまいました」と悔しがった。大湯にはレース後ペナルティも課されている。
さらに、今度はSUBARU BRZ R&D SPORT、LEON PYRAMID AMGがオリベイラの背後に迫る。3台はダンロップカーブで三つ巴となるが、そのなかで蒲生尚弥のLEON PYRAMID AMGがスピンを喫する。
「セーフティカーで詰まったぶん、前にいくことができました。GT-Rがペースが鈍っていて、61号車とどこで抜くか……という状況でしたが、僕のミスです。スライドしてしまって、61号車に当たってしまいました」と蒲生。
「完走できたのが奇跡みたいな状況でしたね。エンジン等はまったく大丈夫でしたが……。ポイントを獲れたのが不幸中の幸いなので、切り替えて頑張ります」
一方オリベイラは、残り2周でSUBARU BRZ R&D SPORTや後方からハイペースで追い上げてきたシンティアム・アップル・ロータスの先行を許したものの、なんとかチェッカーを受けたかと思われた。しかしなんらかの行き違いがあったようで、「もう1周あるよ!」と無線が飛ぶ。なんとかプッシュしたものの、最後はTANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-Rと接触し、ストップしてしまう。
「表彰台でレースを終えたかったし、最低でもフィニッシュしたかった。でもこれもレースだよ」とオリベイラは寂しげな表情を浮かべた。
■松浦らしいレース運び。ベテランの読み光る
そんな2番手争いを勝ち抜き、2位でフィニッシュしたのは小林崇志/松浦孝亮組UPGARAGE NSX GT3だ。ホンダNSX GT3にスイッチして初めてとなる嬉しい表彰台を獲得した。
「今日は楽しかったです。ピットのタイミングも最高でしたし、ピット作業がもうメチャクチャ速くて! メカニックのみんなが最高の仕事をしてくれました」と松浦。
「その後のペースも、タイヤが活きているうちは少し負けていましたが、後半タレなかったのがすごく良かったです。きちんとペースをコントロールして、残り10周でプッシュしたときが速かったですね」
また松浦は、こうしてチーム体制を構築してくれたTEAM UPGARAGEの石田誠監督に感謝を述べた。「僕と小林が乗るので石田監督がNSX GT3にスイッチしてくれましたし、ARTAの鈴木亜久里代表が、チャンピオンエンジニアの一瀬俊浩エンジニアが移籍するのを許してくれた。結果を出したかったし、今回の2位で亜久里さんも喜んでくれました。いろんな人に感謝です」
そして最後にしっかり結果をもっていくのは、これまでのレースを振り返ってもなんとも松浦らしい。「ごっつぁん大将ですよ(笑)」と笑顔をみせた。「“ごっつぁん”でいかないと、JP(オリベイラ)を相手にするのはメチャクチャ難しいですよ。想定して走ってました」という。
ちなみに、今回スルスルと抜けだした松浦も、同じくバトルを利用し3位に入ったシンティアム・アップル・ロータスの柳田真孝も、同じ1979年生まれ。ベテランならではのレースの展開、相手を読む戦いが功を奏した結果だろう。
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