更新日: 2021.08.25 14:44
Max Racing 2021スーパーGT第3戦鈴鹿 レースレポート
3番手からのローリングスタートで、グリーンのタイミングにうまく合わせてコントロールラインから1コーナーまでに5号車に並びかけることに成功した三宅は、そのまま1コーナーのインをとって2番手に浮上します。前をいく61号車との距離は一度開いたものの、2周目1.4秒差、3周目1.2秒、4周目にはコンマ7秒様で縮まってきました。GT500車両のアクシデントにより5周目にFCY(フルコースイエロー)が導入され、その後、SC(セーフティカーラン)に切り替わり、11周終了時点でリスタート、13周目のダンロップコーナー入口で61号車をとらえました。
「西コースでは離されてS字で追いつく展開だったので、ここしかないなと狙いを定めました。レース映像をみても、GTはここでのオーバーテイクが多かったので」(三宅)。
S字コーナーの速さを活かして逆バンク立ち上がりダンロップコーナーへの進入のインを突くことに成功。ついにラップリーダーとなりました。オーバーテイクの間隙をついて9号車も61号車を抜き、一度は背後に迫りましたが、三宅のペースが勝り、20周目には約6秒差。24周終了時点でピットイン。三宅は課された任務を完璧にこなしました。
「抜いた後は、SCの時間が長かったこともあり、GT500の集団が来るのも遅く、単独で先頭を走れたので、いつものレースよりむしろ気楽なくらいでした」(三宅)。
ピットも三宅の好走に応えて、ミスなく4輪交換と給油をこなして優威を送り出します。アウトラップの1~2コーナーでは、タイヤ無交換の5号車がオーバーテイクを仕掛けてきました。しかしコールドタイヤの優威に抵抗できる力はありません。
この時点でルーティンピットを終えた実質トップは5号車。タイヤ無交換だけに終盤にペースが厳しくなるのは明白で、時間をかけても確実にオーバーテイクすれば優勝がみえてきます。しかし、優威にも試練が待っていました。
「7秒差あったのに、どんどんミラーに大きく映るようになって、小暮卓史さんが真後ろに迫って、5号車に仕掛けようにも仕掛けられなくなりました。相手にプレッシャーを与えながらガマンするしかありませんでした」
優威は5号車に迫ったものの、背後につけると武器であるコーナーリングスピードが活かせずストレートで並ぶことができません。そのバトルに88号車が加わり、さらに西コースから小雨がコースを濡らしはじめて状況を難しくします。突破口を開こうと優威が動いたのは37周目です。ヘアピンのブレーキングで5号車のインに飛び込みます。
「ボクらの方がブレーキングでいける感じがあり、相手がちょっとデグナーでミスをしたので、ヘアピンでインに入って合わせてスプーンまで並走しようと思ったのですが、粘られてしまいました」優威。しかしこの仕掛けが効いたのか、次の周のデグナーでチャンスが巡ってきた。
「5号車がひとつ目イン側の縁石に乗って少し跳ねて失速したので、ここしかないとデグナーふたつ目のインから抜きました。少し当たったかもしれません」優威。
トップに立ってしまえば自分のペースで走れるので88号車に脅かされることはありませんでした。あとは安全にゴールまでマシンを運ぶだけ。しかし46周目に再び危機がやってきました。「ちょうど哲也さんと無線で話していたんです。『GT500がくるぞ』『了解です。見えています』と言った直後にぶつかりました」優威。
S字コーナーの入口。ステアリングを切り始めたところにGT500車両がインへ飛び込んできた。
「彼とは仲がいいんですけど苦笑。お互いよけようとしましたが当たってしまった」優威。緊急回避でまっすぐにS字のグラベルを突っ切ることでスピンもスタックも免れてタイムロスなくコース復帰に成功した。「あそこで埋まっていたらチームに戻れなかったですね。本当に無事でよかったです」優威。
49周を終えてトップチェッカー。Max RacingスーパーGT挑戦2年目の初表彰は優勝。それもこの優 勝でポイントリーダーとなりました。
「上を目指してやる以上、プレッシャーのかかる状況でしっかり仕事をこなさなければダメ。そうレース前に言っていたことが、しっかり達成できました。三宅は予選の失敗を取り返してくれたし、優威も難しい状況のなか、いけるところでいってチャンスをつくり勝ち取ってくれました。メカニックもノーミスで送り出してくれて、よくやってくれた。やっぱり勝った、負けたのプレッシャーが掛かるなかで、ミスなくできれば自信につながります。若いドライバーふたりにとって勝つことはとても大きな意味があります」哲也監督
8戦のスーパーGTシリーズは4戦を消化。その折返しを最高の形で迎えることになりました。「プレッシャーに打ち勝って結果を残す」哲也監督がドライバーに求める才能を磨く最高の環境が整いました。
三宅敦詞のコメント
「鈴鹿に来る前は、天気も不安定で読めないような状況で、こんなレースを予想はしていませんでした。もちろん、いつも優勝を目指して走っていますが、参戦2年目で優勝できるとは思っていませんでした。去年はノーポイントで、今年もスープラ3台のなかでボクたちだけが表彰台に上がっていない厳しい状況でした。ボク自身もチームもこれで自信が得られたと思います」
「ポイントランキングは頭になくて、表彰台の下に集まり待っている時に、中継映像が流れてポイント表をみると、『あれトップ、ウソ』と優威クンとふたりで驚いていました。サクセスウエイトを100kg積むので、ここからクルマのバランス面でも厳しい戦いになると思うんですけど、哲也さんや武士さんの経験値に頼りながら、ボクらが落ち着いてできることをやっていけばいい方向にいくと考えています」
堤優威のコメント
「ボクたちはポイントランキングではなく優勝を目指して戦ってきたので、ポイントリーダーになっていることは知らなかったというか、そこには興味がありませんでした。結果的にはとりこぼさずやってきたのが実ったと思います。とてもいいレースウイークでした」
「シーズン折返しでポイントリーダーということでチャンピオンを狙うのは当たり前というか、チャンピオンを視野に入れて勝負していくんですけど、ウェイトも厳しくなりますし、その重い時にいかにポイントを稼げるかが勝負だと思うので、ミスなくドライブすることが最低限やるべきことになります。ここから少しでも前にいけるように努力します」