更新日: 2021.09.13 22:49
ホンダ 2021スーパーGT第5戦SUGO レースレポート
#1 STANLEY NSX-GTと#17 Astemo NSX-GTが2、3位表彰台獲得
9月11日(土)・12日(日)、スポーツランドSUGO(宮城県)で2021年度スーパーGTシリーズ第5戦が開催され、GT500クラスに5台のNSX-GT、GT300クラスに3台のNSX GT3が出走しました。昨年は新型コロナウイルス感染拡大を受けてSUGOラウンドが開催されなかったため、FR化したクラス1規定の新しいNSX-GTがスポーツランドSUGOを走るのは初めてのことです。また、開発陣は規則で許されている今季2基目の『スペック2エンジン』を、このレースより3台の車両に投入しました。
公式予選が行われる土曜日は曇天となり、ドライコンディションではありましたが快晴だった前日に比較して気温、路温ともに低下しました。午後2時30分からの公式予選に臨んだNSX-GT勢は、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京)、#64 Modulo NSX-GT(大津弘樹)、#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀)、#17 Astemo NSX-GT(塚越広大)がQ1セッションを突破しQ2へ進出しました。シリーズポイントランキングでトップに立ち、出走車中最大のサクセスウエイトを課せられている#1 STANLEY NSX-GT(牧野任祐)は、公式練習の走り始めに感じた違和感を解消するため、ほとんど練習走行ができなかったこともあり、Q2セッションに進むことはできませんでした。
Q2セッションでは#8 ARTA NSX-GT(福住仁嶺)がポールポジションを獲得、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(大湯都史樹)が2番手に続き、NSX-GTがフロントロウを独占しました。#17 Astemo NSX-GT(ベルトラン・バゲット)は4番手、#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也)は6番手からスタートすることとなりました。
日曜日は前日とは一転、太陽が照りつけて気温、路温とも上昇し、午後1時30分に決勝レースのフォーメーションが始まり、スタート合図とともに#8 ARTA NSX-GT(野尻)がトップに立って後続を引き離し始めました。一方、4番手からスタートした#17 Astemo NSX-GT(バゲット)は順位を上げて、一時は#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(大湯)のすぐ後ろにつけ、NSX-GTは1-2-3体制でレースをリードしました。
ところが、#8 ARTA NSX-GT(野尻)が快調に首位を独走するのに対して、2番手の#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(大湯)はペースが上がらず、2番手以降は混戦となりました。レースの1/3を消化しドライバー交代のピット作業が始まる段階でNSX-GTの1-2-3体制は崩れ、12号車が2番手となりました。
後方の混戦をよそに独走のままドライバー交代を終えた#8 ARTA NSX-GT(福住)は2番手に10秒以上の差をつけて首位を守りレース後半に突入しました。また、10番手からスタートした#1 STANLEY NSX-GT(牧野)は、サクセスウエイトによる燃料リストリクター絞り込みの結果、ペースが上がらず苦しい走りを強いられたものの、燃料消費をおさえながらレース前半を走りきり、給油ピットストップのロスタイムを最小限に抑えたことで、マシンを引き継いだ#1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴)は一気に順位を4番手へ上げることに成功しました。
一方、#8 ARTA NSX-GT(福住)はピット作業中にタイヤ交換の手順にミスがあり痛恨のドライブスルーペナルティーが科され、この時点で大きく順位を落とすことが確定してしまいました。そのペナルティーが掲示された直後には、コース上で火災事故が発生しセーフティカーが導入。レース中盤以降にトップに立ったのは12号車で、これを#17 Astemo NSX-GT(塚越)と#1 STANLEY NSX-GT(山本)が追いかける展開となりました。
レース終盤、14号車が1コーナー手前でストップしたために、フルコースイエロー(FCY)が発動されました。このFCYが解除となったタイミングで、加速が鈍かった#17 Astemo NSX-GT(塚越)を#1 STANLEY NSX-GT(山本)がかわして順位を入れ替えると、そのままレースを走りきってチェッカーフラッグを受け、それぞれ2位と3位の表彰台に上がりました。その他NSX-GTも全車が選手権ポイントを獲得してレースを完走しました。この結果、山本はドライバーランキングトップ、牧野はランキング2番手のポジションを守って3番手を引き離し、シリーズ終盤戦を迎えることとなりました。
■コメント
佐伯昌浩 Honda R&D Co., Ltd. Honda GT Project Leader
「いろいろな波乱があったレースでした。8号車が圧倒的な速さでトップを走っていたのに痛恨のピット作業違反で勝てなかったのはとても残念です。一方で、1号車が燃費のいい走りをしてピット作業でアンダーカットに成功、2位でフィニッシュしたのは大きな収穫でした。これでシーズン残り3レースに向けてかなり優位に立てました。サクセスウエイトが重いマシンで2位に入賞できたのは、ドライバーとチームがマシン本来のパフォーマンスをすべて引き出してくれた結果だとうれしく思います。残り3レース、全力で戦いますので応援をよろしくお願いします」
山本尚貴 TEAM KUNIMITSU
「誰もこんな順位でレースを終えるとは思っていなかったでしょうね。僕らの調子がよかったばかりではなくて、周囲のペースが上がらなかったことにも助けられたように思います。前半のスティントを見る限り、やはり厳しいレースになると覚悟していたのですが、給油も短時間で終わって順位を上げられたし、タイヤのウォームアップがいい感触だったので、ピットアウトした瞬間から思いきりプッシュしました。(牧野)任祐と同じタイヤだったのですが、気温が10度くらい下がったことがいい方向に働いたのだと思います。セーフティカーやFCYにも助けられましたし、17号車とはチャンピオンシップを争っている相手でもありますから前に出ようと思いました。ランキングトップの座を守るだけではなく差を広げることができたので、いいレースができたと思います」
牧野任祐 TEAM KUNIMITSU
「昨日の公式練習は走り出しで少し問題があって、うまくいかなかったのですが、なんとかチームに立て直してもらって、GT500クラスの専有走行セッションでようやく走れてクルマの状態を確かめることができました。予選ではQ1で落ちてしまったのは残念でしたが、マシンがきちんと走るようになったことには安心していました。決勝ではスタートでポジションをひとつ上げて、燃費のことを考えながら走りました。さすがにGT300の集団のなかではサクセスウエイトの影響が出てしまい、タイヤもピックアップを拾ってしまってペースが上がらなくなり難しいレースではありましたが、ミニマム周回数でピットに入るというのは最初から決めていた作戦だったので、それをきちんとこなせたのでよかったと思います。これからも厳しいレースが続くと思いますが、しっかり耐えて戦うつもりです」