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投稿日: 2021.10.29 12:52

Max Racing 2021スーパーGT第6戦オートポリス レースレポート


スーパーGT | Max Racing 2021スーパーGT第6戦オートポリス レースレポート

Max Racing
レース結果報告書
2021 SUPER GT Rd.6 オートポリス

日時 2021年10月23~24日
■車両名 たかのこの湯 GR supra GT
■場所 鈴鹿サーキット
■ゼッケン 244
■監督 田中哲也
■ドライバー 三宅淳詞/堤優威
■チーム Max Racing
■リザルト 予選25位/決勝17位

強いチームになるための試練

 エリートコースからは少しそれたけども、根性で上を目指す若手ドライバーを応援するMax Racingのプロジェクト。スーパーGT挑戦2年目の今年、チームを任されている田中哲也監督のイメージ通りの成長曲線を描いて、第6戦オートポリスを迎えました。

 今季4戦目である第3戦鈴鹿で初優勝を遂げ、この勝利によって大きな自信を得たチームとドライバーである三宅淳詞と堤優威にとって、この第6戦も試練が待っていることは覚悟していました。

 第3戦終了の時点で、優勝によりポイントリーダーに浮上して、それと同時にサクセスウエイトは規則で最大値と定められた100kgに到達しました。その厳しい状況下で迎えた第5戦SUGOでは耐え抜いて9位入賞を果たし、チャンピオン争いに向けて貴重な2点を得ることができました。

 続く第6戦も最大値のサクサスウエイトは変わらず、しかもシリーズ開催サーキットのなかで最も路面からタイヤへの攻撃性が高いオートポリスが舞台です。SUGO以上に厳しい戦いが待っていることが予想されました。さらにつけ加えるならば、これまでの戦いで大きな力を発揮してくれたヨコハマタイヤは、比較的高気温下の環境が得意。10月後半、しかも高地での開催で気温低下が想定され、ライバルのタイヤメーカーにアドバンテージが予想されました。

 標高の問題は車両にも影響を及ぼします。GRスープラはNAエンジンを搭載しているため、空気密度が下がる高地においてパワーダウンは免れません。しかしライバルのターボ車はその影響が少なく、むしろ気温低下のアドバンテージもありそうです。

 こうした条件を念頭に苦戦を予想していましたが、現実はそれを上回るものでした。サクセスウエイトはストレートスピードを鈍らせるだけでなく、遠心力によってコーナーリング速度も奪います。さらに持ち込んだタイヤも、レースウイークの路面に対して狙いとは少しずれていたようです。いつものように公式練習はセッション序盤で優威が2種類の持ち込みタイヤを試し、その2種類の中古を三宅が同じように試します。セットアップにより前後バランスを変えてはみたものの、タイム改善にはつながらず、公式練習は1分45秒441のタイムで26番手でした。

 予選はQ1担当とQ2担当を基本的にラウンドごとふたりのドライバーが交互に担当すると哲也監督が決めており、今回はQ1を三宅が担当。午前からタイム更新したものの、1分44秒919でAグループ13位。Q2進出は叶いませんでした。

 決勝を迎える前に哲也監督は語ります。「結果的には昨日も今日もドライなので、関係ないですが、ウエットだったオートポリスでのタイヤメーカーテストでは三宅が飛び出してコース復帰しようとしたところでバックギヤに入れたら、ギヤが割れてしまいそこで走行中止となり、予定していたメニューがこなせませんでした。もてぎでのタイヤメーカーテストもあり、そこでタイヤを選んで持ち込みましたが、流れはちょっと悪いかもしれません」

「公式練習では、赤旗のタイミングもあっていいリズムがつかめなかったこともありますが、それがなくても難しかったと思います。セットアップしてバランスは変わりましたが、限界は変わらなかったという感じですね」

「ただGT500でも通用するようなドライバーを育てたいというチームオーナーGo Maxさんの思いを託されているプロジェクトなので、あんまり簡単にいかない方がむしろ本人たちのためとも思います。今日の朝も、彼らにあえて厳しく言いました。『鈴鹿のあのレースは誰でも勝てる。今回のような厳しい時にどれだけのことができるかがドライバーの力だよ』と。スーパーGT 2年目のボクらのチームでいろんな成功、いろんな失敗があることでレベルアップしていく。力強い、本物のチームになっていきたいと思っています。ここを耐えられるかどうかがものすごく大事です」

 コース上の速さがないところをドライバーのがんばりとチームの戦略で何とか対抗する。それがドライバーとチームの実力アップにつながる。その考え方を決勝では実践しました。

2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)

 迎えた決勝は、序盤から荒れた展開となりました。スタートを担当した三宅の目の前で2度のクラッシュが発生。そのたびにフルコースイエロー、セーフティカー導入となりました。クラッシュはかなり危ういタイミングでしたが三宅は冷静に回避。さらにこのタイミングでチームは給油をしました。セーフティカー中のピットインでは作業はできるものの、ドライバー交代はできません。1度ピットインが増えてしまいますが、下位走行の場合にはロスは最小で、ルーティンピットでの給油時間を短縮できます。三宅はタイヤが厳しい状況を耐えてなんとかピットインを遅らせて30周目に6番手に浮上したところでピットイン。堤に交代しました。

 この時4輪をタイヤ交換。周回数がGT300の場合にはGT500との周回数差で不確定のため安全を見越して2秒分だけ給油を実施して堤をコースに送り出しました。ノーミスで作業を終えてなおかつ給油時間が最小だったこともあり、タイトル争いのライバルである56号車の前に出ることに成功。しかし、標高や気温に起因するストレートスピードの差はなんとも埋めがたくコース上で抵抗するだけの力はなく堤は56号車のオーバーテイクを許して17位でゴールしました。チームもドライバーもノーミスで戦ったものの、ポイント獲得はなりませんでした。

「流れが変えられなかった、の一言です。そのなかでドライバーもチームもみんながんばってくれたので、状況さえ整えば戦える。そのいいシミュレーションになりました。いろいろな作戦を考えていたなかで、給油を先に済ませておき、56号車にあわせてピットに入って前に出ることに成功しました。全くペースが違って抜かれてしまいましたが、この先同じようなシチュエーションが生まれるかもしれませんし、そこでライバルと同じ速さがあったら勝てるかもしれません。ドライバーふたりも、タイヤをもたせることを最優先に考えながら、本当にがまんしながら走っているのが伝わってきました。余計なピットインをせずにタイヤ交換はルーティンピットの一度だけ終えることをかなり意識していたと思います。チャンピオンを獲ろうと思ったらシーズンを通してコンスタントに戦わなければいけないし、とりこぼしていたらダメです。61号車には前にいかれてしまいましたけど、最後まで諦めずに残り2戦全力で戦っていきます」(哲也監督)

 シリーズも残り2戦、次の第7戦もてぎでは獲得ポイント×1にサクセスウエイトがほぼ半減の54kgになります。もてぎは第4戦で予選2位、決勝4位とチームが上昇機運をつかんだ場所でもあります。強豪を相手にスーパーGT経験の浅いふたりのドライバーがどのようなチャンピオン争いを繰り広げることができるのか、ここからが見どころです。引き続きMax Racingへの応援よろしくお願いいたします。

三宅淳詞のコメント
「スタートを担当させていただいて、昨日の状況をみてもタイヤが厳しそうだったのでペースコントロールしていこうと思っていました。序盤、ボクのまわりでクラッシュがありセーフティカーが出てタイヤライフの面では助けられました。ボクらはそこで給油して、優威選手への交代のときに給油を短くできたので、そういう作戦もよかったですし、ポイントは採れなかったですけど、チームとしてミスなくレースができたのでよかったと思います。正直、ウエイトと高地であることで全体に厳しくいいところありませんでしたが、次のもてぎに向けていいデータが採れたと思います。しっかり戦えば結果が出ると思うので、今回だめだった部分をおさらいして対策したいと思います」

「ボク自身は、スーパーGTで初めてピックアップを体験しました。どういう状況になるのか経験し、どうやったらタイヤに付着したゴムが取れるのか勉強できました」

堤優威のコメント
「土曜日の走り出しからボクらが予想していたよりもだいぶ苦しいスタートでした。いろいろチームが考えてセットアップしてくれましたが、タイムの面ではいい方向にはいきませんでした。次戦もてぎは前回の予選2番手を獲ったセットもあるので、過去のデータを元にチャンピオン獲得に向けてがんばっていきたいと思います。決勝では、もともとクルマの特性として直線が速くないのに加えて、コーナーでのスピードも上げられないので、他車から抜き切られてしまうことが多くきつかったです。ピットアウトした直後はタイヤもよかったのですが、集団の後ろについてペースが上げられなくなるとタイヤにピックアップが起きたり、ささくれ摩耗が起きて単独でもペースを上げられなくなりました。このあと原因究明してもらい、どう攻略していくかしっかり考えてがんばりたいと思います」

2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)


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