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投稿日: 2022.03.15 11:50
更新日: 2022.03.15 12:35

LMcorsa 2022スーパーGT岡山公式テスト テストレポート


スーパーGT | LMcorsa 2022スーパーGT岡山公式テスト テストレポート

S-GT2022 OFFICIAL TEST1 Okayama
LMcorsa REPORT
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT

 2022年シーズンの幕開けとなる公式テストが岡山国際サーキットで実施された。2年目のシーズンとなるSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTはトラブルなく周回を重ねるが、厳しい性能調整を課されたことで、昨年のようなパフォーマンスが発揮できず。

 昨シーズンはGR Supra GTを導入した初年度にもかかわらず第2戦と第8戦の2大会で優勝を果たし、シリーズランキングは過去最上位となる3位を獲得。ドライバーやエンジニア、メカニックなどすべてのチームスタッフが最大限のパフォーマンスを発揮したことで得られた最高の結果だった。

 ポイントランキングを見るとこれまでにない成果となったが、振り返ると8戦中4戦がノーポイントで取りこぼしも多いシーズンだった。シーズンオフに入るとチームはニューマシンの性能向上を図ることとなった。LMcorsaが使用するGR Supra GTはGT300規定に沿ってレーシングコンストラクターが作りあげたマシンで、各自動車メーカーが市販しているGT3とは異なる生い立ちを持つ。

 GT3はチームごとの独自のアップデートができないのに対して、GT300マシンは規定内だがチーム独自の改良が許されている。LMcorsaでは2021年シーズンの戦いを振り返り、より安定した成績を残せるマシンを求めた。足まわりやボディ形状、シャシーなどあらゆるところの改善を検討し、実際に複数箇所の改良を行った。

 2022年2月には今季を戦うチームメンバーが発表され、飯田章監督、吉本大樹選手、河野駿佑選手を含めたすべてのスタッフが2021年シーズンから継続となった。多岐にわたる改良を施したGR Supra GTは2月末にサーキットでの走行テストを開始した。そして、2022年シーズンの幕開けとなる公式テストが3月12日(土)、13日(日)の2日間に渡って岡山国際サーキットで実施された。

 2月は全国的に寒い日が続き大雪のニュースなども報じられてきた。だが公式テストの週末は春を思わせるような陽気で、最高気温は20℃に迫るほど上昇。また、岡山県は3月6日にまん延防止等重点措置が解除され、公式テストには新型コロナウイルスの感染防止対策を施したうえで観客の入場が可能となった。そのためコースサイドにはスーパーGTのマシンを眺めるファンの姿が見受けられた。

 2日間の公式テストは2時間のセッションが4回設けられていて、計8時間の走行テストとなった。12日のセッション1は10時から12時までで実施され、終了後にはFCY(フルコースイエロー)のテストが設けられていた。まずSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTのステアリングを握ったのは吉本大樹選手で、5周ほど周回するとピットに戻り持ち込まれたタイヤの確認などを行っていく。走行開始から1時間ほど経過したところで河野駿佑選手にドライバーチェンジ。

 河野選手は約10周刻みでピットインを繰り返し、12時のチェッカーまで走行テストを続けた。セッション1はふたりのドライバーが合計で54周を走行。1分27秒382がベストタイムとなり、結果はGT300の25台中19番手となった。続くセッション2は吉本選手が中心となりテストプログラムを消化していく。2時間のセッションの最終盤になると10分間のGT300専有走行枠が設けられていて、この専有走行枠は河野選手が担当。セッション2では50周を走行し、1分27秒571のベストタイムで21番手となった。

 昨シーズンは8戦中4戦でSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTと同様のGT300規定のマシンが優勝を飾った。そのため、今季はGT300マシンのBoP(性能調整)が厳しくなることが予想されたが、想定を超える状況だという。BoPによりリストリクター径が絞られたことで、エンジンへの吸入空気量が減らされた。ふたりのドライバーはアクセルを全開にしても明らかに遅く、コーナーの立ち上がりでかなりのロスが生じているという。決められたBoPなのでこの状態を受け入れるしかないが、公式テスト初日から厳しい結果を突きつけられた。

 公式テスト2日目となった13日も初日と同様の好天で、2日間ともにドライコンディションでの走行となった。セッション3は9時から11時までで行われ、吉本選手がSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗り込んだ。1時間ほどの走行の間に4回のピットインを行い、セットアップを変更するなどしてマシンのポテンシャルを引き出していく。セッション後半には河野選手もステアリングを握り、合計で50周を走行。タイムは1分27秒469で、GT300クラスの25台中18番手の結果となった。

 セッション3の終了後にはFCYやセーフティーカーの練習が30分間に渡って実施され、河野選手が周回を重ねた。14時からスタートしたセッション4は、河野選手が乗り込みテストを開始する。1時間ほど走行すると吉本選手にバトンタッチし25周を周回。最後は再び河野選手がステアリングを握って、2日間の公式テストを終えた。セッション4は吉本選手がマークした1分27秒601がベストタイムで、13番手という結果となった。公式テストで持っているポテンシャルをすべてさらけ出すチームは少ないが、そのなかでもライバル勢に遅れをとっている状況が判明した。

 リストリクターが絞られたことで本来の性能が発揮できず順調とはいえない内容となり、多くの課題が見つかった。それでも開幕戦までは時間は残っていて、チーム全体で改善点を見つけだし、パフォーマンスを引き上げることが急務といえる。

■コメント
飯田章監督

「2日間に渡り行われたシーズン初の公式テストは、トラブルなく走ることができました。しかし、今季の性能調整がマシンに及ぼす影響が想像以上に大きく課題の多いテストとなってしまいました。厳しい状況のなかでも改善点を見つけて、サプライヤーともしっかりとコミュニケーションを取って、マシンのポテンシャルを引き出す作業が必要だと思います。開幕戦までは1カ月ほどと、まだ時間はあるので、今回のテスト結果を検証して昨シーズンのような結果を残せるように準備を進めていきたいです」

吉本大樹選手

「走行テストはできませんでしたが、オフシーズンもマシンの開発を進めてきました。外装やシャシーの改良などを行い、2月の末にシェイクダウンテストを実施。そして、今回の公式テストがシーズン2回目の走行となりました。2日間走れたことでデータは取れましたが、順調なテストとは言えない内容でした。性能調整でリストリクターが絞られたことでかなり加速が鈍い状況です。ライバル勢とともにテストしたことでパワーバランスが確認でき、足りない部分が見えてきました。開幕戦までの1カ月間で、パフォーマンスを上げていかないと厳しいシーズンとなってしまいそうです」

河野駿佑選手

「10日ほど前に岡山国際サーキットでシェイクダウンテストを実施したのですが、そのときと今回の公式テストの印象が異なり困惑しています。2日間ともに周回数を重ねられたことは良かったですが、ライバル勢に遅れをとっている印象です。性能調整によってアクセルを開けても加速せず、タイムも確実に失っています。厳しい状況ですが、タイヤメーカーやサプライヤーを含めて打開策を見つけていきたいです。開幕戦までの間に富士スピードウェイの公式テストがあるので、少しでもポテンシャルを引き上げることに全力をつくします」

2022スーパーGT岡山公式テスト SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)
2022スーパーGT岡山公式テスト SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)


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