更新日: 2024.03.25 19:52
LMcorsa 2024スーパーGT富士公式テストレポート
SUPER GT 2024 OFFICIAL TEST2 FSW
LMcorsa REPORT
#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT
ウエットとドライの両コンディションともに充実した走行を重ね、どのセッションでも中団から上位のタイムを記録し、開幕戦に弾みをつける
1週間前の3月16〜17日に岡山国際サーキットで開催された第1回の公式テストによって、AUTOBACS SUPER GT 2024 SERIESの公式プログラムがスタート。テストらしく、まだ正式なカーリバリーで走っていないマシンもあったが、GT500クラスの15台とGT300クラスの25台が多くのファンのもとで2日間にわたる走行を行った。
LMcorsaは今季もGT300規定で製作されているGR Supra GTで参戦し、監督は飯田章氏、ドライバーは吉本大樹選手と河野駿佑選手という不動のコンビで8戦のシリーズを競うことになる。第1回の公式テストでは、オフシーズンの間に丁寧にメンテナンスと改良を加えてきたマシンの完成度も確かめられ、ドライとウエットコンディションともに手応えを得られた。
そして、開幕戦前の最後の走行機会となる第2回の公式テストが3月23日〜24日に富士スピードウェイで開催された。前週の公式テストからインターバルなく実施されたため車両のアップデートはなく、基本的には岡山国際サーキットと同じ仕様での走行となった。
23日(土)は朝から雨が降り、気温も5度ほどと3月後半にしては肌寒いコンディションでのテスト初日だった。9時~12時までの3時間の予定でセッション1が始まるが、断続して雨が降っていたためレインタイヤでの走行となる。
チームは路面温度が低く雨量が多いことから、まずはピット内でコンディションの回復を待った。セッション開始から20分が経過すると、SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに吉本選手が乗り込んでコースイン。LMcorsaが使用するダンロップタイヤはレインとスリックの両方とも新モデルを投入していて、特性をつかむために走行を重ねた。
吉本選手は14周を周回するとピットに戻り、続けて河野選手がステアリングを握る。河野選手は3~5周を走行するとピットに戻り、想定していたメニューを消化していく。セッション1の開始から2時間が経過したところで、GT300のマシンがコースオフしてタイヤバリアと接触。天候の回復も見込まれなかったため、セッション1はこのクラッシュによって終了となった。
2時間の休息を挟んで実施されたセッション2は、今季から変更される予選を想定したシミュレーションとなった。午前中から雨は止むことなく、コースには水が溜まるほどのウエットコンディションとなる。チームは雨量が多く、トラブルの可能性もあるとして走行せず、2日目の準備を行った。
迎えた24日(日)の公式テスト2日目は曇空だったが、前日の雨がコースの一部に残ったハーフウエットの状態。そのため9時からスタートしたセッション3は、ウエット宣言が出されてのスタートとなった。
まずは吉本選手がSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗り込みコースイン。セッション序盤にはFCY(フルコースイエロー)の練習が設けられ、9時15分に各チームのテスト走行が始まった。吉本選手はセットアップを変えたり、パーツの比較などを繰り返し、11時まで走行を続けた。
セッション3の残りが1時間となったところで河野選手にバトンタッチすると、決勝レースを想定したロングランのテストに移る。トラブルなく3時間の走行を終え、ふたりのドライバーは合計で71周を走行した。結果として吉本選手が記録した1分37秒424がベストタイムで、GT300クラスの26台中12番手となった。
天候不順となった第2回目の公式テストの最後となるセッション4も、開始前から雨が降ってしまいウエットコンディションでの走行。セッション4は当初、14時から2時間30分の予定だったがセッション1が短縮されたため、17時までの3時間に延長された。
まずはセーフティカーの訓練が設けられていて、手順に沿って両クラスのマシンが隊列を整えセーフティカーランが実施された。このセッションは河野選手がスタートからSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに乗って走行を重ねていく。
レインタイヤを履いての周回だが、できる限りのセットアップ変更やパーツのチェックも行い、ピットインとアウトを繰り返す。河野選手は33周を走行すると、ウエットの状態では試すメニューがなくなり、セッションの途中だったが16時前にテストを切り上げた。
2回目の公式テストはあいにくの天候となったが、それでもセッション3ではドライコンディションでの走行ができ、コースの特性が異なる岡山国際サーキットとの比較もできた。4月13〜14日の開幕戦まで走行テストの機会はないが、2回のテストで得られたデータを検証し、3週間後の初戦に備える。
飯田章監督
「あいにくの天候でドライコンディションでの走行は限られましたが、ウエットで走り込めたことは良かったと感じています。ドライは岡山国際サーキットのテストでも調子が良さそうだったので、今季に向けて新しいタイヤを開発してもらったダンロップの特性を活かせているようです」
「まだ公式テストなので、ライバル勢がどのような内容で走っているのか分かりませんが、充実した2回の公式テストになりました。3週間後の開幕戦は予選で上位に入って、決勝レースでも好結果を出せるように準備していきます」
吉本大樹選手
「2回の公式テストでスリックもレインもニューモデルを試すことができ、長所と短所が分かりました。ドライコンディションとなったセッション3では、前回とは異なるパーツやセットアップが試せ、ロングランができたのも良かったです」
「路面温度が低くシーズン中とは比較できませんが、課題も見えました。ライバル勢と一緒に走ることがで、今季のマシンのポテンシャルも分かり、改善点もはっきりしています」
「今季からタイヤの使用本数がより制限されたり、予選方法が変わるので予想は難しいですが、持っているものをすべて出し切って戦います」
河野駿佑選手
「公式テストを含めた岡山国際サーキットでの4日間と今回の2日間の計6日間のテストでしたが、ドライもウエットコンディションも走れ、現在の状態が明確になってきました。タイヤはともにニューモデルとなっていて、進化を感じ取れています」
「富士スピードウェイでのテストはウエットが多くなりましたが、パーツの確認やセットアップの変更など想定していたメニューはこなせています」
「ドライコンディションでは課題がありましたが、路面状況に影響されたはずです。6日間の走行で得られたデータを見直して、万全の状態で開幕戦に挑みたいです」