更新日: 2024.09.19 16:29
T by Two CABANA Racing TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2024 第2戦レースレポート
Rd.2 AUTO POLIS
Qualifying
2024.6.16 SUN
♯7/6th/2’07.201(R)
♯700/23th/2’08.018
♯707/7th/2’13.179
●路面コンディション:ドライ
●気温:21度、路面温度:25度
予選は堤がブリヂストン勢で2番手となる6番手、地頭所は23番手
クラブマンの箕輪はシフトミスによって7番手となる
今年で3年目を迎えた『TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup』は、5月11日-12日にスポーツランドSUGOで開幕戦が行なわれ新シーズンがスタート。第2戦の舞台は大分県のオートポリスで、今回は6月16日(日)の午前中に予選、午後から決勝レースが行われるワンデイでの開催となる。
前身となる86/BRZ Raceが発足した当初から参戦を始めたCABANA Racing は、およそ10年にわたり激戦のプロフェッショナルシリーズに挑戦してきた。今年は、昨年に引き続きプロフェッショナルシリーズにはチームのエースドライバーである堤優威選手と、地頭所光選手を起用。この2名に加えて今年は、近年チームのテーマとしている“若手ドライバーの育成プログラム”の一環として、チームの母体となる株式会社東名に勤務し、社員ドライバーとしてステップアップを目指す箕輪卓也選手が、707号車のドライバーとしてクラブマンシリーズにフル参戦する。
今戦のオートポリスは、舗装が特殊でタイヤへの攻撃性が高いコースとして知られている。GR86/BRZ Cupは予選から決勝レースまでを、1セットのタイヤで走り切らないといけない。いかにタイヤのグリップ性能を落さず、決勝レースまで戦い抜くかが勝敗をわける鍵となる。
チームは6月13日(木)から走行を開始。各マシンはまずユーズドタイヤでコースインし、堤選手は3本、地頭所選手と箕輪選手は2本の走行枠を使用し、路面状況や持ち込みセットアップの確認を行った。レースウィーク2日目となった14日(金)は、朝から太陽が照りつけ気温も30度近くまで上昇する中での走行となる。
この日は4本のスポーツ走行枠を使いテストを続けた。各車ともセットアップを進め、決勝レースや予選を想定したシミュレーションも実施。15日(土)は朝から薄い雲が空を覆い時より太陽が顔を出すものの、前日ほどの気温にはならず過ごしやすい気候のなか、午前にクラス別の特別スポーツ走行が2本、午後にはタイム計測が行われる専有走行が設けられた。
今戦は16日の午前中に予選が行なわれるため、午後の専有走行ではニュータイヤを使わず、午前中に予選シミュレーションを実施した。14時15分から始まったクラブマンシリーズの専有走行は、箕輪選手が2分16秒228を記録し15番手。15時からはプロフェッショナルシリーズの専有走行が開始され、堤選手は2分09秒421で19番手、地頭所選手は2分09秒763で23番手となった。
16日(日)は3日間の練習走行を経て、いよいよワンデイレースの火蓋が切られた。前日と同じく曇天だったが気温はレースウィークでもっとも下がり、早朝は肌寒いほどだった。クラブマンシリーズの予選は9時30分から始まり、箕輪選手はコースオープンとともにピットを離れる。アウトラップ後の計測1周目に先頭でアタックし2分13秒179をマーク。第2ヘアピン後にシフトミスがあり翌周もアタックを続けたが、2分13秒795とタイムアップは図れず7番手となった。
15分のインターバルを経たプロフェッショナルシリーズの予選は、7号車700号車が揃ってコースイン。堤選手は従来のコースレコードを更新する2分07秒201を記録し、ブリヂストン勢では2番手となるタイムであったが、全体の6番手。堤選手に続いてアタックに入った地頭所選手は、大きなミスはなかったが2分08秒018とタイムが伸びず23番手からレースをスタートすることとなった。
Final
2024.6.16 SUN
♯7/2nd/21’46.453
♯700/19th/22’11.107
♯707/9th/22’56.286
●路面コンディション:ドライ
●気温:25度、路面温度:35度
予選6番手の堤が、スタート直後の加速で一気に2番手に上がりトップとコンマ5秒差の2位で今季初の表彰台に登る
午前中に顔を出し始めた太陽を再び雲が覆い、少し涼しくなった12時40分からクラブマンシリーズのスタート進行が始まり、10周の決勝レースは予定通りの13時00分にスタート。
7番グリッドから順調な蹴り出しで加速した箕輪選手は、直後の1コーナーで外からオーバーテイクを試みるも、立ち上がりで車体がダートにはみ出しハーフスピンを喫する。体勢は整えたものの、この瞬間に4つポジションを落としてしまう。すぐに立て直して2周目にひとつ順位を上げ10番手、4周目には1コーナーでもうひとつポジションをアップして9番手に浮上。チームはレースの後半が勝負になると想定し、タイヤの内圧を調整していた。中盤以降は、後続のマシンとの差を付け、8番手のマシンにテール・トゥ・ノーズで迫る。8周目になると6番手争いの接近戦に追いつき、後方からチャンスを伺うが抜けずに9位でレースを終えた。
クラブマンシリーズの決勝レースが終了した約10分後の13時40分から、プロフェッショナルシリーズの車両がコースインを開始する。すると太陽が再び出てきて気温が上昇していった。
予定通りの14時00分に10周で争われる決勝レースが始まる。6番手からスタートした堤選手は絶妙なスタートを決めると、1コーナーまでのストレートで1台をパス。さらに4台並んで進入した1コーナーではもっともイン側のラインを取り、3コーナーまでに2番手まで浮上する。その後も2番手争いが熾烈だったため、ポールポジションからスタートした#10菅波選手が後続に1.5秒以上の差をつけて1周目のコントロールラインを通過。
堤選手は2周目にファステストラップと0.002秒の差の2分09秒325を記録すると、好ペースを維持してトップを追いかける。トップを走行する菅波選手はダンロップタイヤで、堤選手が履くブリヂストンタイヤとは特性が異なる。レース後半が勝負となり、7周目にはトップとの差が1秒を切る。8周目以降はコンマ5秒前後でのトップ争いとなるが、オーバーテイクできるほどのペース差がなく、惜しくも2位でチェッカーを受けた。
予選で23番手となった地頭所選手は、中団で接近戦の多い厳しいレース展開となるが、他車との接触を避ける堅実なレース運びを行なう。序盤はポジションキープとなったが、7周目には22番手に浮上。その後も無理せずに10周目に22番手でチェッカーを受けた。正式結果では、先着したマシンにペナルティや失格の処分が与えられたことで19位となった。
第2戦の舞台となったオートポリスは、これまで好レースを展開することが少なくチームとして苦手意識のあるコースだった。しかしチームの懸命な作業で、堤選手がチームのベストリザルトとなる2位を獲得。地頭所選手と箕輪選手は不本意な内容となったが、改善すべきポイントは見つかっている。7月13日-14日に富士スピードウェイで開催される第3戦は、プロフェッショナルが連戦のダブルヘッダーとなる。シリーズを争ううえで重要な一戦となるので、引き続き最善の準備を進めていく。
Team Staff&Drivers Comment
安藤宏 チームオーナー
「オートポリスはチームにとって鬼門となるサーキットでしたが、今大会は例年以上にさまざまな対策を実施し、新たなトライも行ないました。そのお陰もあり、ベストではないですが良い傾向が見られたレースウィークでした。まず、オートポリスでの初レースとなった箕輪は、15日の予選想定の走行でトラブルが起きて、予選がぶっつけ本番となり難しい展開となりました。決勝レースでも1コーナーのミスから焦りがみえ、本人も不本意な結果だったと思います」
「落ち着いて走れる環境を用意できなかったことが、チームとしての反省点です。堤は走り出しから徐々にパフォーマンスを上げ、決勝レースでは巧みさやクレバーさを存分に発揮してくれました。地頭所は後方のスタートでしたが、課題をクリアして走り切りました。毎年、悔しさを感じていたオートポリスですが、今回は良いデータが持ち帰れたと思います」
堤優威 #7 CABANA BS GR86
「開幕戦のスポーツランドSUGOは悔しい結果だったので、今回は表彰台に登れて良かったです。オートポリスはチームとして良い印象がなく、走り出しでは上位に入るほどのパフォーマンスがありませんでした。それでもチームがいろいろと対策を考えてくれ、専有走行前には上位争いができる状態となりました」
「予選はブリヂストンタイヤを履く選手のなかで2番手となり、コンディション次第では表彰台を狙えると考えていました。決勝レースはスタートが決まって、1周目に2番手に上がり、その後はトップを狙いましたが2位でフィニッシュでした。ランキングを考えると良い内容のレースだったと思います」
地頭所光 #700 DTS WRF/カバナ GR86
「オートポリスは決勝レースの結果こそ悪かったのですが、昨年の専有走行では3番手になっていて、自信のあるサーキットです。レースウィークは走り出しからそれほど悪い状態ではなく、堤選手との差も少なくブリヂストン勢の上位を狙えると感じていました。ただ、予選ではミスなくまとめたのですがワーストに近い23番手でした」
「練習走行と同じ走りができたのですがコーナーを攻め切れず、細かいロスの積み重ねがこの結果となりました。決勝レースでは不要なバトルをせず、マシンを戻すことを優先して走りました。無理をしない走りをするなかで、パッシングできたことは新たな発見です。ただ不本意なレースで、次戦はもっと上位で争えるように準備をしていきます」
箕輪卓也 #707 ミノワファクトリー/カバナ GR86
「オートポリスは走行経験が少ないサーキットだったので、いかに早くコースに慣れ、マシンのポテンシャルを発揮させられるかが課題でした。練習走行では順調にセットアップを詰められ、トップグループで戦えるタイムが出せました。15日は初めてニュータイヤを履き予選シミュレーションを行ないましたが、その際にガス欠の症状が出てマシンを止めました」
「予選は実質的に初のニュータイヤでのアタックでしたが、セットアップは良く途中まで上位と遜色ないたタイムでした。ただ、コース中盤のシフトミスにより7番手となりました。決勝レースはうまくスタートが決まり、1コーナーをアウト側から進入したのですが、想像以上にグリップがなくコース外に飛び出してしまいました。予選と決勝レースともにメンタルの未熟さが出てしまい、この状況をしっかり受け止めて次戦に挑みます」
山崎登 チーフエンジニア
「まず、オートポリスの走行経験が少ない箕輪選手ですが、練習走行ではしっかりと課題をクリアして上位陣と争える状況でした。ただ予選では、緊張感から操作が雑になっていたように感じます。決勝レースでも場の雰囲気に飲まれていたので、経験を積む必要があります。次戦は走り慣れた富士スピードウェイなので、上位に入ってくれると思っています」
「地頭所選手は、練習走行から大きなセットアップの変更もなく順調にメニューを消化していました。予選では箕輪選手と同じく力みがあり、本来のポテンシャルを引き出せていません。実力はあるドライバーなので、チームとして打開策を考えます。堤選手はオートポリスとの相性が悪いと感じているようで、不安を消すようにさまざまな作業を行ないました。結果としてチームの努力が実り、持っているポテンシャルを存分に出せたレースでした」