更新日: 2024.11.08 23:57
【SF引退記念まとめ】奇跡の大逆転は語り草。現役最多の3冠チャンピオン、鈴鹿で無類の強さを見せた山本尚貴
現役最多、3度のシリーズチャンピオンである山本尚貴が、11月8~10日に鈴鹿サーキットで開催される第8戦&第9戦を最後に、全日本スーパーフォーミュラ選手権を引退する。ここでは15年間にわたって国内トップフォーミュラを戦ってきた山本の軌跡を振り返るべく、2010年から2024年までにオートスポーツwebが扱った山本に関連する記事をピックアップした。
36歳となった山本の国内トップフォーミュラデビューは2010年だった。カート出身の山本は、鈴鹿サーキットレーシングスクール(現ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿)を受講し、2006年にスカラシップを獲得。翌年はフォーミュラチャレンジ・ジャパンを戦い、2008年には全日本F3選手権に参戦すると翌09年に同選手権Nクラスでシリーズチャンピオンを獲得した。そしてフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ/SF)へのステップアップを果たすこととなる。
NAKAJIMA RACINGからの参戦となった初年度は、シリーズ7位でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。2年目はTEAM 無限に移籍し、開幕戦鈴鹿でFN初ポールを記録。いまにして思えば、これが鈴鹿で無類の強さを発揮する“伝説”の始まりだったのかもしれない。参戦4年目の2013年、山本の才能が開花する。第2戦オートポリスでの3位を皮切りに表彰台の常連となった山本は、タイトル候補に名乗りを上げる。そしてダブルヘッダー開催となった最終戦鈴鹿で、自身初優勝と奇跡の大逆転チャンピオンを決めてみせた。
■FNデビューから4年でSF初代王者に輝く
シャシーとエンジンが変更された2014年は、2戦でポールポジションこそ奪うも表彰台が遠くシリーズ9位に終わる。その後も2017年まで苦しい時期が続いたが、この間も得意の鈴鹿では2度のポール・トゥ・ウインを達成。未勝利に終わった2017年も2位表彰台を獲得している。
復活のときは2018年だった。山本は開幕戦鈴鹿でポール・トゥ・ウインを飾るとSUGOで2勝目をマークする。そして、最終戦鈴鹿でふたたびポール・トゥ・ウインを決め、逆転でタイトルを掴んだ。なお、この年はジェンソン・バトンとのコンビでスーパーGT GT500クラスでも王座を獲得したため、国内ダブルチャンピオンとなった。
■TEAM MUGENとともに2度目のチャンピオン獲得
このパフォーマンスが認められ、2019年にはF1日本GPでフリー走行への出走を果たしたが、その後のF1参戦には繋がらず。SFではDOCOMO TEAM DANDELION RACINGに移籍して連覇を目指すも、最終戦で逆転を許しシリーズ2位に終わる。前年は歓喜の場となった鈴鹿で悔し涙を流した。
コロナ禍のもとで開催された2020年は、鈴鹿でのポール・トゥ・ウインを含む中盤3戦で連続表彰台を獲得。最後は富士で自身3度目の戴冠を決めた。奇しくも2018年と同様にスーパーGTとのダブルタイトルとなっている。2021年は古巣であるNAKAJIMA RACINGに復帰した山本だったが、翌年の第7戦もてぎでポール・トゥ・ウインを飾るまで表彰台に恵まれない、苦しい期間が続くことに。また、2023年にはスーパーGTで大クラッシュに見舞われ一部レースの欠場を余儀なくされた。
迎えた今季2024年、山本は鈴鹿での開幕戦で“復活”を印象付ける3位表彰台を獲得し、続くオートポリスで4位、地元もてぎでふたたび4位に入り、調子の上向きを感じさせていた。しかし最終戦を前に本人から発表があったとおり、今週末の鈴鹿ラウンドをもってスーパーフォーミュラから退くこととなった。8日の記者会見前に行われたフリー走行では堂々のトップタイムを記録してみせた山本が、愛し愛される鈴鹿での“SFラストラン”をどんなかたちで締めくくるのか。今週末の山本から目が離せない。
■移籍し自身3度目の戴冠、そして古巣で引退
■山本尚貴のFN/SFキャリア(2010~2024年)
全日本選手権フォーミュラ・ニッポン | |||
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2010年 | #31 NAKAJIMA RACING | 優勝0回/PP 0回 | シリーズ7位 ルーキー・オブ・ザ・イヤー |
2011年 | #16 TEAM 無限 | 優勝0回/PP 0回 | シリーズ11位 |
2012年 | #16 TEAM 無限 | 優勝0回/PP 0回 | シリーズ11位 |
全日本選手権スーパーフォーミュラ | |||
2013年 | #16 TEAM 無限 | 優勝1回/PP 2回 | シリーズチャンピオン |
2014年 | #1 TEAM 無限 | 優勝0回/PP 2回 | シリーズ9位 |
2015年 | #16 TEAM 無限 | 優勝1回/PP 2回 | シリーズ5位 |
全日本スーパーフォーミュラ選手権 | |||
2016年 | #16 TEAM 無限 | 優勝1回/PP 1回 | シリーズ7位 |
2017年 | #16 TEAM 無限 | 優勝0回/PP 0回 | シリーズ9位 |
2018年 | #16 TEAM 無限 | 優勝3回/PP 2回 | シリーズチャンピオン |
2019年 | #1 DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 優勝1回/PP 1回 | シリーズ2位 |
2020年 | #5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 優勝1回/PP 1回 | シリーズチャンピオン |
2021年 | #1 TCS NAKAJIMA RACING | 優勝0回/PP 0回 | シリーズ13位 |
2022年 | #64 TCS NAKAJIMA RACING | 優勝1回/PP 1回 | シリーズ10位 |
2023年 | #64 TCS NAKAJIMA RACING | 優勝0回/PP 0回 | シリーズ13位 |
2024年 | #64 TCS NAKAJIMA RACING | 優勝0回/PP 0回 | ―― |