更新日: 2018.10.17 19:55
ロッシらMotoGPライダーが登場のヤマハ・ヤマハ発動機合同イベント開催。ザルコが驚きのピアノの腕前を披露
また、レース前やレース中の心境について話が及ぶと、ロッシは「グリッドでは嵐の前の静けさのような感じなんだ。レース中はいいレースをしているときとそうでないときで違うね。いいレースをしているときはポジティブな感情を抱くけれど、その反対の場合はそうはいかないんだ」と明かす。
中須賀もレース中の集中について、その難しさを語った。「レースは40分から45分にわたります。こんなに長い時間、普通は集中力が持たないです。僕は(レース中)集中するときと、抜くときを分けていますね」
また、ロッシは自身が駆るMotoGPマシンYZR-M1の役割をピアノという“機器”に絡めて説明。それはただの“機器”ではなく、関係性を築いていくことが大事だと言う。
「ピアノとバイク、物は違うけれど“機器”との関係は大事だよね。バイクはただの金属の塊ではないと僕は思っている。そのなかの魂が延々と引き継がれていくものなんだ。バイクとコンタクトすることが大事なんだよ。“機器”から引き出していくんだ」
イベントでは、ピアニストのトリスターノ氏がMotoGPのレースからインスピレーションを受けたという新曲『Time Grid(タイム・グリッド)』を披露。グランドピアノとシンセサイザーという複数の鍵盤楽器を用いたアナログと電子音のコラボレーションに、MotoGPライダーはもちろん、会場中がその音色に聞き入った。
さらに趣味でピアノを弾くというザルコも、トリスターノ氏に続いてピアノの腕前を披露。「トリスターノさんのすばらしい演奏の後で、僕が弾くのはやりづらいよ」と苦笑を浮かべていたザルコだったが、いざ演奏が始まるとその腕前はかなりのもの。演奏後にはトリスターノ氏同様に、会場からは長く温かい拍手が贈られていた。
ヤマハ発動機とヤマハによる異色のコラボレーションイベントは、MotoGPライダーとピアニストというまったく違う分野の才能たちが混じりあうもの。それはどのような分野であろうと、頂点を極める者たちには感じ合う共通点があることを感じさせるものだった。
壇上でロッシは笑顔でトリスターノ氏と言葉を交わし、詰めかけたファンたちも終始、大きな興味をもって壇上のMotoGPライダーとピアニストの交流を見つめていた。