ヤマハ、転ばないバイクの開発へ。3輪スクーター『トリシティ300』に搭載されるLMWテクノロジーとは?
現在、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により社会や人々が新しい生活様式にシフトしていくなかで、2輪コミューターの機動性、手軽さ、経済性などが見直されている。ヤマハは“密”を避けて公共交通機関による通勤と通学の代替手段として、トリシティ300は確かな性能と機能で応えしていけるモデルだと確信しているという。
メインターゲットは40代から50代で、郊外の自宅から都市部のオフィスまでクルマに変わる賢い移動を求める方などを想定。4輪の経験しかない方でも2輪車を操る楽しさを体感することができ、日本ではトリシティ125、トリシティ155ユーザーのステップアップを見込んでいるという。
そんなトリシティ300はツーリングにも使用できるモデルであり、交通の流れに乗って高速に駆け抜ける幹線道路や、低速での安定感が求められる市街地や路地まで刻々と変わる道路環境にも対応。それぞれのシーンで高い価値を示す性能と機能を搭載しているようで、その機能のひとつにヤマハの市販モデルとしては初採用となるスタンディングアシストが搭載されている。
スタンディングアシストは、完全に自立させる機能ではないが自立をサポートすることができる。一定の条件を満たした状態のライダーがスイッチ操作を行うことで、車両を軽く支えるだけで停車が可能となる。また、アクセルを開けるとスタンディングアシストは自動解除されるため、再発進もスムーズに行うことができる。
車体が傾く機構のみをロックして、サスペンション伸縮機能は維持しているため、信号待ちなどの停車時だけでなく押し歩き時の段差の乗り越え、狭い場所での切り返しなどの車体バランスをとりづらいシーンでの使いやすさも高められている。
トリシティ300には上述のLMWテクノロジーの搭載はもちろん、NIKENで実績のあるLMWアッカーマン・ジオメトリーが専用設計されて採用された。操舵軸とリーン軸をセットするヤマハ独自の設計となり、自然なハンドリングや快適で質感のある乗り心地に大きく貢献する。
LMWアッカーマン・ジオメトリーは旋回時にリーンしている状況でもフロント2輪が向く方向をコントロールできるようにするため、内外輪差のうまれるフロント2輪が常に旋回方向を向く設計を成立。それにより同心円を描くなめらかな旋回が可能となり、快適な乗り心地を実現した。
これらの技術が搭載されたトリシティ300は、NIKENで熟成された技術を応用することでトリシティシリーズの上位機種にふさわしい進化を遂げたということだ。2020年9月30日に発売が開始されるトリシティ300の国内モデルの販売計画台数は年間400台、メーカー希望小売価格は95万7000円(税込)となっている。