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投稿日: 2021.06.02 08:00
更新日: 2021.06.04 22:56

【レースフォーカス】予選でM.マルケスが採った“後追い作戦”が物語る現状/MotoGP第6戦イタリアGP


MotoGP | 【レースフォーカス】予選でM.マルケスが採った“後追い作戦”が物語る現状/MotoGP第6戦イタリアGP

 さて、いったん予選でのマルケスの行為に話を戻したい。あの“作戦”は、確かにフェアなやり方ではなかったかもしれないが、一方で、そうしなければならないマルケスの現状を表している、とも捉えられる。イタリアGPのセッションが始まる前日の木曜日、マルケスはこう明かしていた。

「ヘレス(スペインGP)の後、もう一度レース参戦をストップするか、ということをドクターと話して、よく考えた。でも、ドクターはMotoGPバイクに乗るレースの生活に復帰するのがいいと言ったんだ。(MotoGPとは)違うバイクに乗ることはできても、最終的にはレーサーに乗る必要があるんだ」

 そして、体の状態についても語っていた。マルケスが2020年のスペインGPで負った怪我は右上腕骨の骨折だが、今は状態が肩にもかかわっている。右肩は2019年11月に手術を受けた。神経にダメージがあったために、まだそれが完治していない箇所だった。

「今、まだ回復の最中だ。肩はものすごく悪いわけじゃない。確かに、正常に機能していないところはある。そして、レースウイークの間に、痛みが増えるのかを理解しようとしている。家でもそうだ。リラックスしているだけなのに、いつも痛みがある」

「でも、ドクターは腕を骨折したあとこれは通常のことだと言っていた。肩やひじに影響する、と。今回の場合、肩にそれがきているんだ。それが自分の走りを邪魔している。でも、この先にどう状況をよくするかを考えようとしている」

 こうした状態は、マルケスの走りに影響していた。5月25日に600ccのバイクを走らせ、自身がバイクに乗ったときのポジションを確認したという。

「MotoGPバイクでは、うまくポジションがとれない。ベストなポジションを理解するために、この(600ccの)バイクを選んだ。でも、今、僕はいいポジションで走れないってことがすぐにわかったよ。いい体勢で走ろうとすると、肩の痛みがひどくなるから」

 マルケスは初日を終えて「肩がより安定しているのは確かで、先月はもっと(動きに)制限があった」と100パーセントに向かっている途中であるとも語った。

「ただ今は、我慢すること。できる走りをする」

 ちなみに予選後には、肩だけではなく首といった肩まわりの筋肉にも痛みが出ていた、とも言う。現状として、右腕は筋力を含めて左腕と同じ状態ではなく、その負荷が肩やその周辺に出ているのだろう。

 昨年に復帰を急いだ結果、怪我を長引かせた教訓がある。マルケスは今、体調の範囲でできる最大の努力を尽くしながら、堅実に進んでいる。


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