更新日: 2019.06.04 13:51
ポルシェジャパンジュニアドライバー、笹原右京の活躍に注目【ポルシェ カレラカップ ジャパン 2019 インサイドレポート2】
笹原が語るように、ポルシェは各国で開催するカップカーのシーズン終了後、ドイツ本国でポルシェワークスドライバーの養成プログラムに関するドライバーオーディションを実施している。育成プログラムでは、国際格式のGTレースにおけるヤングプロフェッショナル支援、ポルシェジュニアとしてF1と同時開催されるポルシェ・モービル1スーパーカップに参戦してプロのレーシングドライバートレーニングを行っている。
世界広しといえども、このようにメーカーがワールドワイドのオーディションを実施して未来のワークスドライバー育成に力を注いでいるのはポルシェだけだろう。
このような制度をポルシェが実現できているのは、共通のカップカーによるワンメイクレースを世界各国で開催しているからである。このプログラムからワークスに抜擢され、近年大活躍しているのがアール・バンバーだ。
彼は2013年にポルシェカレラカップアジア(PCCA)でチャンピオンを獲得し、その年のオーディションに合格。翌2014年にはポルシェ・モービル1スーパーカップでも王者となりワークスドライバー契約を結ぶ。そして2015年には、ル・マン24時間でワークスマシンの919ハイブリッドをドライブして優勝し、2017年にも同じく919ハイブリッドでル・マン2勝目を飾った。
日本人もこれまでオーディションに参加しているが、速さはあるも英語力などの問題で、残念ながらワークスドライバーに抜擢されたことはない。そこで今年、注目されているのがヨーロッパのレースで活躍し、速さと英語力を兼ね備えている笹原なのだ。
「今の目標は、ドイツで行われるポルシェのオーディションに合格することです。それで将来は、ポルシェが来年から参戦するフォーミュラEのワークスドライバーとして世界中を転戦したいですね。そのためにも、まずはPCCJでチャンピオンを獲得したいです」と、笹原は語る。
PCCJは現在、第6戦まで終了しており、笹原は3勝を挙げてランキングトップに立っている。しかも、第5戦の予選では鈴鹿サーキットのニューコースレコードをマークし、ポール・トゥ・ウインで優勝と速さを証明している。まさに、チャンピオン獲得に向けて着実に成長を見せているのだ。
そして笹原は、「日本人初のポルシェワークスドライバー起用という道を、自分の実力で切り開きたいと思います」と、力強く宣言している。彼の速さと実力を知るものは、これが夢物語ではないことを十分に承知しているはずだ。