更新日: 2021.04.23 15:58
ORC ROOKIE Racing 2021スーパー耐久シリーズ第2戦SUGO レースレポート
そんななか、スタートから43分ほどというところで、ST-5クラスの車両がSPコーナーでクラッシュしたことから、セーフティカーが導入される。ただ、これはORC ROOKIE Racing GR YARISにとっては少し早すぎるセーフティカーとなってしまった。というのも、本来予定していた佐々木のスティントはもう少し長いものだったからだ。しかしここでピットインしなければタイムロスが大きすぎる。
本来、ORC ROOKIE Racing GR YARISは佐々木からモリゾウ、井口と繋ぐスケジュールを組んでいたが、これで佐々木のスティントが短くなると、後半の展開が読めなくなる。そこで佐々木から急遽井口卓人に交代することに。このセーフティカーランの後、井口はペースを上げていった。
ORC ROOKIE Racing GR YARISはST-2クラスのトップこそ守っていくものの、2番手以下とのギャップは思ったように広がっていかない。そして、「タイヤの摩耗の状況が分からず、最後の方はグリップを失う苦しい展開になりました。モリゾウさんにもっとギャップを作りたかったのですが……」という井口のペースは少しずつ落ちはじめてしまう。
予定とは大幅に変わり、井口をピットに戻さなければいけない状況になってしまったが、モリゾウはまだ残り48分もレース時間が残っているにも関わらず、ORC ROOKIE Racing GR YARISに乗り込んだ。ただ乗車時、無線のコードが引っかかってしまい、モリゾウからの発信は聞こえるが、ピットからの指示が聞こえない状況となってしまった。
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「周回数もぜんぜん分からない」という状況だったが、「知らなかった方が幸せだったかもしれないですね(笑)」とモリゾウは振り返った。順位や他車とのギャップを気にしていたら、焦りから「飛んでいったかもしれない」からだ。
モリゾウいわく「孤独な50分」のスティントとなったが、逆にORC ROOKIE Racing GR YARISとの対話に集中しながら、1分35〜36秒台のラップを淡々と刻み、後方の#59 WRX STIとの差を広げていく。プロドライバーとは当然差はあるが、かなり優れたラップタイムだった。
しかし、終盤になると#59 WRX STIをかわしてきた#7 ランサーが、1周2秒近いペースでORC ROOKIE Racing GR YARIS とのギャップを縮めてきた。チェッカーまでの時間は、刻一刻と短くなっていく。モリゾウがフィニッシュするのが先か、それとも#7 ランサーがモリゾウの背後に来るのが先か……。
ピットではチーム全員が、モリゾウに熱い声援を送った。しかし迎えたファイナルラップでモリゾウの背後に#7 ランサーが接近。モリゾウも抵抗をみせるが、#7 ランサーに先行されてしまいチェッカー。ORC ROOKIE Racing GR YARISは4位でフィニッシュした。
表彰台を逃す結果となってはしまったが、それでもひとりのドライバーとして戦ってきたモリゾウの表情も、そしてピットで迎えたチームの表情も明るかった。
「モリゾウ選手にとっては今まででいちばん長いくらいのスティントでしたが、すごく速いペースで走ってくれました。単に順位だけを見たら残念ですが、すごくレースを“戦っている”雰囲気がありましたし、僕たちにとっては楽しい、良い内容のレースでした。次戦以降がまた楽しみになりましたね」とピットで見守った佐々木は振り返った。スーパー耐久らしい、プロとアマチュアが競うレースの精神を体現したレースとなった。
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#28 決勝レース
4月18日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ
ST-2 クラスのORC ROOKIE Racing GR YARIS の激しいレース展開で盛り上がりをみせた後、午後1時55分、ORC ROOKIE Racing GR Supraが出走するグループ1の決勝レースのときを迎えた。午前に続き天候は晴天だが、非常に風が強く寒さが応えるなか、13番手からスタートを切ったのは、初めてのスタートドライバーの大役を務めた小倉康宏だ。
今回、ORC ROOKIE Racing GR Supraのレースには狙いがあった。次戦の富士SUPERTEC 24時間レースに向けて、不測の事態にも対応するべく、ふだんはルーティンが決まっていたドライバー交代の順番を変えることにしたのだ。今回は小倉から蒲生尚弥、そして豊田大輔に繋ぎ、山下健太が控えるかたちとなっていた。
また富士でタイヤをダブルスティントこなしたらどうなるか、またその際に電子制御はどう作動するのか、また小倉はスタートを、大輔はスティント中にいかに安定したラップを刻むかなど、さまざまな課題を試す機会となっていたのだ。
「今までスタートはイヤだと言っていたんですが(笑)」という小倉だが、周囲にプロドライバーがひしめくなか、「走り方からプロの圧力を感じながら走りましたが、邪魔になりすぎないように、神経を使いながら走りました」と接触等なくレースを進めていく。
「SUGO はもともと好きなコースですからね。そのなかで気温や路面温度等に合わせながら、自分の引き出しを増やせるように勉強していきました」としっかりと自らの課題に取り組みながらスティントを果たし、38周という長丁場をこなした。
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この後、予定では蒲生がドライブする予定だったが、レース終盤に天候が悪化していく可能性も出てきたことから、急遽大輔が第2スティントを担当することになった。レースはすでに中盤戦で、各車の間隔も開きつつあるなかでのレース運びとなった大輔は、「今回、ロングランでタイヤが摩耗したときに、いかに安定したラップを刻むことができるか」という課題に挑んでいった。
そんななか、スティントを進めているとアンダーステアが強くなりはじめてくる。コクピットの大輔は、「前に荷重を残して曲げたり、ブレーキングを手前にしたり、リヤをうまく使いながら回ったりと、いろんなことを試しつつタイムの落ちを少なくしながら、タイヤの残っている部分をうまく使う走りができたかな、と思っています」とさまざまな試行錯誤を繰り返しながらのレースを進めた。
大輔本人は「いちばん考えながら走れましたが、まだまだ課題はある」と言いつつも、レース後のラップタイムデータを見ると、他車との関係などがあるにせよ、スティント後半はきれいに1分31秒台から32秒台のラップが並んでおり、大輔のトライが実を結んでいることを感じさせた。
そして37周を走った大輔は、レースも残り1時間というところでピットイン。第3スティントを担当する蒲生にORC ROOKIE Racing GR Supraのステアリングを託した。今回蒲生が担っていたのは、ダブルスティントを同じタイヤでこなしたらどうなるかを見ることだった。タイヤ無交換でコースに戻った蒲生は、苦しい状況ながら持ち前の巧さで周回を重ねていく。
ただ、代わってから13周ほどを走ったところで、レースはセーフティカーランとなってしまう。難所のSPコーナー出口で、ST-X クラスの車両とST-Zクラスの車両がクラッシュ。破片と液体がコース上に出てしまい、その処理のためにセーフティカーから一時赤旗中断となったのだ。
2戦連続の赤旗に一時はレース再開がどうなるかの判断が注目されたが、レースは午後4時43分にセーフティカーで再開された。上位陣では激しい争いが展開されるなか、蒲生は冷静にORC ROOKIE Racing GR Supraをチェッカーまで運び、総合15位でフィニッシュ。タイヤのダブルスティントのトライは、中断もありすべてを試すことができたわけではないが、「誰もミスなく最後まで走りきることができ、次戦に向けた課題もしっかり取り組め、有意義なレースになりました」と蒲生は振り返った。
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