2023年はANEST IWATA Racing with ArnageからスーパーGT GT300クラスに、FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAXから全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦するイゴール・オオムラ・フラガ。グランツーリスモ世界王者など、eモータースポーツのイメージが強いフラガですが、実はリアルレースの経験も豊富。今回は生まれ故郷である日本でのレースキャリアをスタートさせたフラガが、5月19~21日に大分県のオートポリスで開催された2023年全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第1大会について語ります。
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みなさん、こんにちは。イゴール・大村・フラガです。スーパーGT第2戦につづいて、大分県のオートポリスで開催されたスーパーフォーミュラ・ライツ(SFL)開幕大会に参加しました。
僕の生活は、去年の今頃には考えもしなかったような忙しさになっています。それでも、めちゃくちゃ楽しいです。ヨーロッパでFIA F3をたたかった2020年以来、まるまる2年間何もやってこなかったので、そのぶんを今取り返しているような気分がします。ですので、もう乗れるだけ乗っちゃうぞ!という勢いで暮らしています。
SFLに初めて乗ったのは去年の終わり頃ですが、そのときはまだ2023年シーズンにエントリーできるかどうかがわからない、という状態でのテストでした。その後は何回かテストに参加しましたが、天候にもめぐまれず、納得いくまで走ることができないまま本番を迎えることとなってしまいました。
はじめてSFLに乗ったときには、楽しいクルマだなと感じました。ダウンフォースがバリバリに効いている一方で、エンジンパワー自体はFIA F3と比べて半分ほどしかなく、その点はすこし特殊な感覚がしました。
ニュータイヤを履いているときはFIA F3と似たような感触ですが、FIA F3で使用するタイヤは摩耗が激しいため、決勝レースではいかにタイヤをケアしながらたたかうかが問われます。また、FIA F3のマシンにはDRSがついていますので、よりオーバーテイクがしやすく、レースでは順位が結構変動します。
対してSFLのマシンは、ダウンフォースが大きくなりコーナリングスピードがはるかに速くなります。ですがその反面、ダウンフォースが大きいためにダーティエアによる後続車への影響も大きくなります。
そのため、レースで前を走るのマシンうしろにつくと、なかなかオーバーテイクができません。なので、予選でどれだけ前のグリッドに並ぶか、そしてそこからどれだけ良いスタートを切れるか、といった点で決勝レースの結果は9割方決まってくると思います。
なので、予選の結果はとても重要です。僕は予選1発の速さには自信があるんですが、それには走らせているクルマを知り尽くしている必要があります。ですが正直なところ、SFLについてはまだまだ自分のものにできていません。そこに大きな課題があります。
さらに、僕はこれまでにオートポリスをまともに走ったこともなく、そもそもドライコンディションでSFLマシンの走り込みをしたこともない状態でしたので、今回の予選はまさしく『ぶっつけ本番』のタイムアタックとなってしまいました。
ですが、頭で考えていてもしかたがないので、『何も考えずに走ろう』と開き直った結果、第1戦で2番手、第2戦で4番手のスターティンググリッドを獲得することができました。とても嬉しい結果でした。