更新日: 2017.06.05 18:05
スペインモータースポーツ事情:母国で大きな反響を呼んだ英雄アロンソのインディ500挑戦
しかし、私はこのニュースを聞いて子どものように興奮せずにはいられなかった。エマーソン・フィッティパルディ以降初めてF1のタイトルを2度獲得した男がインディ500に挑もうとしていただけでなく、前年度このレースを制しインディ屈指の名門であるアンドレッティ・オートスポーツと手を組もうとしていたからだ。
スペインメディアはこれに対し、インディ500の伝説に新たな1ページが加わるのではないかと騒ぎ立てた。スペイン史上最高のレーサーが再び頂点に立てるかもしれないという希望にジャーナリストたちは胸を高鳴らせた。
スペイン国内ではF1の新ルールや技術規定によって、ここ最近はF1への興奮をかき消していたからだ。そのためアロンソのインディ500参戦はスペインでは大ニュースとして扱われた。また、2000年からインディカー参戦しているスペイン人としてオリオール・セルビアがいるが、彼は過去17年スペイン国内で人気のドライバーだ。
インディ500がスペイン国内でどれほど影響力のあるかと言うと、インディアナポリスで取材をしているスペイン人ジャーナリストの数は、F1が開催されたモナコにいるスペイン人ジャーナリストの5倍もいたのだ。
実際に、普段F1を追っているスペイン人ジャーナリストのほとんどがインディアナポリスに飛んだほどで、スペインの関心はインディアナポリスに注がれていた。
アロンソは最初のテストから速かった。予選ではファスト9に入り、スペインでもF1時代の走りが有名な琢磨の後ろである5位につけた。アグレッシブで情熱的、そして温かい心の持ち主。それがヨーロッパにおける琢磨のイメージだ。だがヨーロッパの多くの人は彼が競争力のあるマシンでレースをしているシーンを見たことがなかった。