更新日: 2017.10.04 13:22
F1 Topic:中止となったアロンソの渋谷イベント。警察との間に入って交渉した記者が事の顛末を語る
ところが、すでにアロンソのマネージャーであるアルベルトはアロンソが待機している場所へ向かい、ここにはいない。しかも、アロンソに「記念撮影はなんとかできる」と説明しているはず。
つまり、このままでは警察官とアロンソ側が衝突する恐れがあったため、筆者はアルベルトの携帯に電話して「アロンソを連れて来ないで、あなたが一人で来るように」と告げた。
数分後にカメラマンとやってきたアルベルトは、群衆を見て、「わかった。みんなとの集合写真もやらない。でも、こういう事態になってしまったことを本人から謝罪させてほしい」と最後のお願いを行なったが、警察官はすでに200人以上に膨れ上がった群衆を指差して、「すでに危険な状況です。すぐに解散させなさい」と命令。
それでも、マネージャーが「ひと言だけでも」と食い下がると、警察官は「もし、われわれ命令を無視して本人を連れて来た場合は、連行も辞さない」と告げて来たため、私はこれ以上の交渉はだれのメリットにもならないと、マネージャーにアロンソの登場を断念させ、アロンソに代わって2人で謝罪に行くことを提案。警察官も拡声器を貸してくれ、なんとか大事にならずに済んだ。
残念な結末に終わったが、2つだけ救われたことがある。ひとつは、ファンが非常に冷静で、かつ温かい対応を行ってくれたことだ。よくドライバーたちが「鈴鹿のファンは世界一だ」と言うが、鈴鹿だけでなく、日本のファンは世界一だと感じた。
もうひとつは、想像以上にアロンソ・ファン、F1ファンが集まってくれたことだ。マレーシアGPでイベントについてアロンソ側と話していたとき、彼らは「だれも来なかったら、どうしよう?」と心配していた。それが「行けば、なんとかなる」という甘い気持ちにつながったのかもしれないが、ハチ公の前に集まった人たちをどこからか見ていたアロンソは、その数に驚いていたことだろう。
F1は日本でしっかりと根付いている。だからこそ、次回このようなイベントをやるときは、もう少し入念な計画を立ててほしい。アロンソなら、きっと素晴らしいイベントができるはずだから。