更新日: 2017.11.17 08:16
今宮純によるF1ブラジルGP採点:ラスト10周の攻防戦でハミルトンに競り勝ったベテランの技
☆☆☆ ダニエル・リカルド
若いチームメイトと違い、しぶとさが取り柄。渋いオーバーテイクを連続、ハミルトンのような直線アドバンテージはないので、リアルなブレーキング殺法を駆使。縁石を果敢にまたぎ、インから刺しこむプレーを誉めたい。6位は今季完走レースのワーストでも、リカルドここにあり。
☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン
予選で起きたスピン・アウトについては『決勝分析』で触れたように、車体のボトミング症状がきっかけだった。W08が発生する強いダイナミック・ダウンフォースのバランスが崩れ、リヤから滑った。天性のテールスライド・コントロール感覚を有する彼がああなったのは、「魔が差した(?)」としか言いようがない。
自分のそのミスを自分で償うメンタルパワーでオーバーテイクレースを披露。ハイペースを維持しつつ、タイヤもケアする4冠王のスキルが光る。
☆☆☆☆ キミ・ライコネン
62周目からハミルトンが1分11秒台連続で追ってきたとき、キミは1分12秒台でギャップがみるみる目減りしていた。焦点は67周目。12秒台ペースでも1コーナー減速で奥まで踏ん張り、フロントタイヤのロックアップを誘った。おそらくハミルトンには細かな振動が発生、それを見極めファイナルラップでは逆に0.359秒速いラップで3位フィニッシュ。このラスト10周の攻防戦でハミルトンに競り勝ったベテラン。
☆☆☆☆☆ セバスチャン・ベッテル
2位ポジションから1コーナーまでは340m。第9戦オーストリアGPのリベンジ、“最前列スタート対決”に勝つと逃げを打ったベッテル。レッドブルリンクでは「フライングだろ」と猛抗議、ある意味で因縁の対決だった。
スタートがすべてと言える展開ではあるが、路面温度59度に高まり、フェラーリ二人はタイヤ温度管理の苦しさから解放された。ベッテルが勝ったハンガリーGPは55度、モナコGPは50度、コース特性もさることながら今年の跳ね馬は熱い馬場を好む。フェラーリのシーズン5勝は2010年以来、あと1戦、チーム通算230勝がかかっている。