毒舌パドック裏話:FIAに同情する日がくるとは……
ちょっと毒舌なF1ジャーナリストがお届けするF1の裏話。カナダ&ヨーロッパGP編です。
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カナダGPの舞台、ジル・ビルヌーブ・サーキットは、セント・ローレンス川のノートルダム島に位置するサーキット。船が並んでいる景色が見えるという点では前戦モナコと同じだが、その雰囲気は対照的。モナコの海には超金持ちが所有する最新式のおもちゃが浮かんでいるのに対し、カナダで目に入るのは、錆のついたコンテナや釣り船といった業務用の地味なものばかりなのだ。
そんな具合に、モナコとはあらゆる面で性格が正反対のモントリオールだが、どちらも訪れるのが楽しみな街であることには変わりない。
カナダのビッグニュースといえば、ハイネケンとFOMの契約発表。バーニー・エクレストンが、火葬されるまでは引退しないと宣言したに等しい出来事だ。
その日のモントリオールはかなり寒くて、持ってきた衣類をすべて身につけないと耐えられないほどだった。しかし発表会が開催されたホスピタリティーは、メディアセンターよりもさらに寒かった。予想外の寒波に見舞われ、全世界のメディア史上初めての出来事が起こった。なんと、ジャーナリストたちが無料で振る舞われるビールを断ったのだ! ハイネケンがトマトスープを提供してくれていたら大歓迎だったんだがね。
チーム関係者やF1界の重鎮が招待され、我々ジャーナリストも出席したハイネケンの発表会を、FIAは欠席していた。安全運転キャンペーンを積極的に行っているFIAだが、F1でのアルコール広告について、ヨーロッパ・アルコールポリシーアライアンスから昨年批判を受けた。だがFIAは同情に値する(そんなことは初めてかもしれない)。F1での金の稼ぎ方に発言権がないのだし、アルコール広告への批判は、ナイフは人を刺す道具だと言って料理番組でナイフを使ったシェフを叱るようなものではないか。
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