投稿日: 2018.02.23 14:00
更新日: 2018.02.23 14:04
更新日: 2018.02.23 14:04
【F1新車分析】ザウバーC37:フェラーリ型を踏襲せず独自に進化したサイドポッド
Translation:Kunio Shibata
・独創的なサスペンション
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昨年のC36に比べ、フロントサスペンションのアッパーアームはホイール側がかなり高い位置に付いている。湾曲したサポートパーツを用いた手法は、昨年のメルセデスW08、トロロッソSTR12にも見られたものだ。さらにアッパーアームには小さな整流板が見えるが(緑色矢印)、これもSTR12が先鞭を付けている。
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驚くべきは、操舵力を車体からホイールに伝えるトラックロッドの位置が、上がっていることだ。去年型ではロワーアームの前側と高さを揃えていたのが、新車では上下のアームの中間辺りに置かれ、前方からの気流を邪魔しているように思える。
しかしフランス人空力エンジニアのニコラ・エネル・ドボープローはサイドポッド開口部を実に独創的なデザインに仕上げており、トラックロッドの配置もその兼ね合いで決められたようだ。
C37はホイールベースが、より長くなった。「フロントアクスルを前方に移動させ、空いたスペースにさまざまな空力パーツを置くためだ」と、ゾンダーは意図を説明している。
・コンパクトな開口部
サイドポッドの空気取り入れ口は、2017年モデルを発展させたデザインである。それ自体すでにメルセデスW01(2010年)、フォース・インディアVJM04(2011年)、ケイターハムT128(同)の影響を受けたものだった。
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一方でサイドポッド自体の形状は、まったく新しい設計だ。他の多くのニューマシンのように、昨年型フェラーリを踏襲したものではない。サイドインパクトバーは去年同様、空気取り入れ口の上端に位置している。
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ただしサイドポッド自体がかなり下げられており、その結果サイドインパクトバーもおそらく400mm以上低くなっている。
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開口部自体の面積は、極限まで縮小された。しかも垂直方向に細くなっているのが特徴的だ。空気抵抗を減らすには確かに効果的だが、空気取り入れ口下の気流が乱れる恐れもある。
その点、ウイリアムズ、ハース、レッドブルは、気流の最適化を優先している。それぞれ長所と短所があり、デザイナーの哲学の違いが形となって出やすい部分といえる。