更新日: 2018.02.26 22:34
【F1新車分析】メルセデスW09:チャンピオンマシンの基本コンセプトは継続し、さらに最適化
(5)暫定的な空力処理
W09の細長いノーズは、今季の新車では今のところ唯一の存在となりそうだ。今回発表されたターニングベインやバージボードなどの空力パーツは、マシン下部へいかに多くの空気を流すかに腐心した結果に見える。とはいえこれらはあくまで暫定的なデザインで、バルセロナテストを経て開幕戦までには大きく変更されるはずである。
バージボード下の丸みを帯びたデフレクターの形状は、昨年型フェラーリの影響を大きく受けたもの。昨年型のメルセデス独自のアイデアを捨てて、ライバルのデザインに追随した事実は非常に興味深い。
(6)控えめなミニウイング
モンキーウイングとTウイングの禁止を受け、メルセデスも他チーム同様にさまざまな工夫を凝らしている。たとえばウイリアムズがミニTウイングを投入したのに対し、メルセデスはかなり幅の狭いミニウイングで対処している。取り付け位置も、極力後方だ。とはいえこのパーツも、今後どんどん形状進化して行くはずである。
(7)弱点を強化し、長所を伸ばす
昨年型W08はエキゾーストが2本のウェストゲートと密着していたのに対し、W09ではカーボン製の筒で分離させている。
メルセデス製パワーユニットの信頼性の高さは、メルセデスのみならずフォース・インディアやウイリアムズなどのカスタマーにとっても、非常に大きな武器である。年間3基という極めて大きなハードルも、彼らだけはそれを逆にアドバンテージにできるかもしれない。
車体に限っていえば、メルセデスW09の勝利のカギは、去年いくつかのレースで苦しんだ気紛れな挙動が、いかに改善されたかにかかっている。