更新日: 2019.05.15 12:40
「もっとF1を知ってもらいたい」ハースF1小松エンジニアによる初の著作『エンジニアが明かすF1の世界』に込められた思い
エンジニアを目指し、大学進学を機に渡英した小松エンジニアは、母国レースである日本GPに関してこんなエピソードを明かしてくれた。
「僕が日本GPの時に一番嬉しいなと感じるのは、木曜日に地元の子供たちが来てくれることです。チームに応援の旗を作ってきてくれたり、一生懸命英語を勉強してチームの人に声をかけようとしてくれたりというのは、世界中を見ても日本だけです。毎年、感動しています」
「以前、イベント後に引率の先生から手紙をもらったのですが、子供たちが学校に戻ってから『初めて外国人に英語で話しかけた』、『将来は英語を使う仕事をしたい』と、とにかくポジティブに先生に話してくれるみたいです」
「すごく嬉しいですし、こちらの刺激にもなりますよね。F1や国際的なスポーツなら、もっとそういうことができると思うので、そういうことの助けになればという思いもあります」
「だからこそ、もともとF1に興味を持っている人たちの自己満足だけで終わってはいけないと思います。F1のような国際的なスポーツもなかなか他にありません。F1には、これからの世の中がそうなるべきだというのが凝縮されている部分もあると思うので、こういうスポーツがもう少し一般社会のためにできることもたくさんあるのかなと考えていました」
上述の通り、この本は決して難しい技術解説書ではない。「技術的なことにしか興味のない人だけが読めるような専門書は書きたくなかったんです」と語る小松エンジニアが、幅広い層の人たちに向けて「もっとF1を知ってもらいたい」という思いを込めて製作したものだ。
構成・編集を担当したF1ジャーナリストの尾張正博氏も、「この本には私たちジャーナリストには書けず、F1のレースエンジニア経験者だけが書くことのできる内容がぎっしり詰まっていますので、貴重な一冊となるはずです」と太鼓判を押している。
『エンジニアが明かすF1の世界』は、東邦出版よりすでに全国の書店や通販などで発売中だ。シーズンの忙しい合間を縫って2017年から執筆が始まり、2シーズンを費やして完成したこの著作には、小松エンジニアの熱意が込められている。長年F1を追いかけている玄人ファンにも、F1を見始めたばかりの方にも、もちろんこれからF1を見てみようと考えている方にも、ぜひ手に取っていただきたい。