更新日: 2019.09.18 17:56
【あなたは何しに?】開幕戦のレッドブル・ホンダF1表彰台を機内アナウンスで祝福したJALの名物機長
その山田機長は現在、JALが保有するボーイング787機の国際線の機長を務めている。JALの787機が就航している都市のひとつにメルボルンがあり、今年の3月中旬に担当した。ちょうどメルボルンではF1オーストラリアGPが開幕しており、山田機長の次のフライトは3月18日(月)。つまり、オーストラリアGPのレース翌日。こんなチャンスは滅多にない。山田機長はアルバートパーク・サーキットへ観戦チケットを買いに行った。
その目の前で、ホンダが11年ぶりに表彰台を獲得。86年からホンダを応援してきた山田機長が歓喜したのは、言うまでもない。
成田へのフライトには、日本からF1観戦に来ていた乗客が大勢乗っていた。そこで山田機長は、機長によるウェルカムアナウンスに、ホンダF1の話題を採り上げることを決断。あとはそのタイミングだった。通常であれば、離陸した後、機体が安定飛行に入ってからというのが一般的だ。
しかし、メルボルン発成田行のJL774便は、深夜発。飛行前の先任客室乗務員とのミーティングで「安定飛行に入ったときには、すでに就寝したしている乗客が大勢いるので、ウェルカムアナウンスはメルボルン離陸後ではなく、成田着陸前の早朝のタイミングにしよう」ということになったという。目覚めとともに、スピーカーから流れてきた山田機長によるウェルカムアナウンスは、大勢のF1信者にとって、ご来光ならぬ、ご来声となったわけだ。着陸後、JALに乗客から好意的なメッセージも寄せられたという。そのひとりがホンダの山本雅史F1マネージングディレクターだった。
残念ながら、山田機長の今回のイタリアGP訪問は機長としての仕事ではなく、完全なプライベートということと、ホンダもイタリアGPでは表彰台に上がることはできなかったので、私たちが山田機長による名ウェルカムアナウンスを聞くことはなかった。しかし、JALの787機が就航している都市はメルボルン以外にもあり、そのいくつかの国はF1を開催している。再び山田機長による名ウェルカムアナウンスを、私たちが聞くチャンスが訪れる日は、そう遠くないかもしれない。