更新日: 2016.03.29 12:00
ライコネン観察日記・第2回「奇妙な経験だったけど、やるしかない」
個性の強いF1ドライバーのなかでも唯一無二の存在感を放つ、キミ・ライコネン。彼の「番記者」であるフィンランド人ジャーナリストのヘイキ・クルタ氏が見た、ライコネンの姿を綴ります。第2回は、いろいろあった2016年シーズン開幕戦の現場より。
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どうやら、勝てるチャンスはありそうだ
どうやらキミ・ライコネンは、まず不運に見舞われてからでないと、幸運には恵まれない星の下に生まれている。2016年シーズンの開幕戦も、そうだった。キミは新車のフェラーリで好成績をあげるかと思われたが、結局はチャンスを奪われた。またしても、だ。
「自分なりにベストは尽くした。時には、こういうこともあるさ。まだエンジンは回っていたけど、突然パワーを失ってレースをあきらめるしかなかった」
アルバートパークのポディウムに上がったメルセデスのふたりとチームメイトのセバスチャン・ベッテルを眺めながら、キミはため息まじりに言った。だが、彼の表情はひどく落ち込んでいるようには見えない。何が起きようと感情のバランスを保てるのが、アイスマンと呼ばれるゆえんだ。
プレシーズンテストの段階から、キミは新車SF16-Hのパフォーマンスに勇気づけられていた。
「なかなか出来の良い、しっかりしたクルマであることは確かだ。昨年よりパフォーマンスのレベルが高いことも明らかだった。ただテストの時点ではメルセデスと比べて、どのくらい速いのかはわからなかったんだ。ここへ来て、それもだいぶ見えてきた。予選は、いつもと違う状況になって本来の力を出し切れなかったけど、レースでは優勝を争えることが証明された。それだけにフィニッシュできなかったのが残念だね」
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開幕に向けて、2.5kgほど絞り込んだアイスマン
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