更新日: 2020.10.10 12:42
【気になる一言】活動終了の決定打はカーボンニュートラルの研究開発。一方で「F1との両立も検討した」 と山本MD
次の質問は、まさにそんな疑問から出てきたものだ。その質問とは、「F1は2030年にカーボンニュートラルを目指しています。なぜそのF1からホンダは撤退するのか。またアメリカのインディカーはハイブリッドではないのに、なぜ継続するという発表をしたのか」というものだ。ホンダはF1活動終了を発表した翌日の10月3日に、インディカー・シリーズに対してエンジンを供給する複数年の契約延長に合意したことを発表した。
これに対して山本MDはこう回答した。
「ホンダは、FIAとF1が目指すカーボンニュートラルをリスペクトしています。カーボンニュートラルという大きな目標に向かって、ホンダもF1と同じ方向を向いていると思っています。ただ、ホンダは四輪だけでなく、二輪も含めて世界中に多くのカスタマーがいるので、加速度的にやってくるカーボンニュートラルの時代に向けて、早くトップエンジニアを投入し、新たな開発を行う必要があった考えています」
「インディ参戦の継続が発表されたことについてですが、インディはアメリカのHPD(ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント)が独自に活動しているのに対して、(F1は)多くの研究開発で日本(の研究所)が中心になっているので、F1のトップエンジニアを投入せざるを得ないという結論となりました」
海外のメディアからも育成ドライバーの角田裕毅の今後を心配する声が少なくない。「角田選手がF1のシートを獲得するうえで、今回のホンダの決定はどのような影響を与えると思うか」という質問に対して、山本MDはこう回答した。
「個人的にはホンダの撤退は関係ないと思っています。レッドブルは厳しい目でジュニアドライバーを見ているので、F2の成績次第ですが、彼の努力に期待したいと思っています。もちろん、ホンダとしては最大限、彼をバックアップしたいと思っています」
ホンダの関係者がFIA会見でこれだけの質問を受けたのは今年は初めてであり、トロロッソとパートナーを組んだ2018年以降でも記憶にない。それだけホンダのF1活動終了はF1界にとっても大きなインパクトがある発表だった。
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