更新日: 2021.12.18 07:48
メルセデスF1代表、上訴断念も怒りは消えず「エンターテインメントを優先させるスポーツを続けることはできない」
ウォルフは、いつもより低いトーンで、センテンスとセンテンスの間に大きなインターバルを入れながら、非常に慎重に言葉を選んで話し続け、実に40分にもわたって会見を続けた。
この件をFIA国際控訴審判所ではなく通常の法廷に持ち込んでいれば、メルセデスが勝利していたことは間違いないと、ウォルフは語った。
「法的な側面から見れば、もし通常の裁判所でこの件が裁かれていたら、我々が勝利していた可能性が非常に高い。自分たちが勝つだろうことはほとんど保証されていた」
「だが、FIA国際控訴審判所には、その構造に問題がある。FIAは自身に有利な判断を下してはならない。また、正しいことと、正義を得ることとは違うのだ」
「この経験から学ばなければならない。今後、あのような状況において、正しい判断がなされ、スチュワードの裁定がレギュレーションに応じたものになり、それが国際控訴審判所であろうとCAS(スポーツ仲裁裁判所)であろうと、法廷での判決が、すべての参加者に対して公平かつ中立な方法で下されるようにするには、どうすればよいのかだ」
「彼ら(FIA)は正しいステップを踏んだと思う。会長は世界モータースポーツ評議会に働きかけ、アブダビのレースで起きたインシデントを調査し、今後このような事態を避けるために委員会を設置することを決定した。我々全員がその決定を歓迎している。簡単なことではなかったと思う」
「FIAの声明は、おそらく統括団体の性格を理解した上で見れば、強力で堅実なものだと思う」
「レーサーとしては、全面的に過ちを認めてほしいと思っているが、それは今の段階では不可能だ。我々は一歩正しい方向に踏み出したと思う。日曜夜の失敗の大きさを考えれば、ささやかな一歩ではあるが、それでも前進であることには変わりない」
上訴手続きを進めないという判断は、ハミルトンの意向によるものでもあったと、ウォルフは言う。
「彼も我々も、法廷で世界チャンピオンになりたいとは思っていない。だが、我々は日曜に極めて不当な扱いを受けた。単にまずい判断が下されただけの話ではない。規則を自由に解釈し、それによってルイスが犠牲になったのだ」
「彼にとっても、我々チームにとっても、上訴を取りやめることはとてつもなく辛い決断だった。我々は不当な扱いを受けたのだから」
この件で、レースディレクターのマイケル・マシに批判が集まっている。ウォルフは「レースディレクターには極めて大きなプレッシャーがかかっており、その一部は我々の責任だ」と認める一方で、今もマシに対する怒りが消えていないことを示唆した。
「マイケル・マシと(この件について)会話することに興味はない。レースの最後の4分に下された判断によって、ルイスは手にするはずの世界タイトルを奪われたのだ」