更新日: 2021.06.17 13:51
TOYO TIRESニュル24時間耐久レース、2年目の挑戦。 過酷な悪天候を乗り越え、確かな“手応え”を掴む
昨年に続き、今年も悪天候により長時間のレース中断を余儀なくされたニュル24時間。やはり、ひと筋縄ではいかないのが“ニュル”なのだと、誰もが実感したことだろう。
そんな波乱の24時間を乗り切ったRING RACINGのウーヴェ・クレーン代表は、安堵の表情を見せながら語った。「コロナ禍での厳しい制限の下でレースに参戦することは、必ずしも容易ではありませんでした。しかし、まずは2台ともに完走するという今年の目標が達成できたことをとてもうれしく思います」
「テクニカルトラブルやクラッシュなどのハプニングも起こりましたが、昨年に比べると、スリックタイヤのパフォーマンスの向上には目を見張るものがありました。また、ウェットタイヤに関しても改善点を見出せたのは大きな収穫です。一歩ずつ着実にステップアップできていると思いますから、今後もTOYO TIRESと共に、より良いリザルトを目指していきたいですね」
ダブルエントリーで2台をドライブした朝日ターボも、2年目の挑戦の手応えを感じていた。「タイヤもマシン(GRスープラ)も初めてだった昨年は、自分にも余裕がありませんでした。しかし、今年はオフシーズンに日本でGRスープラをテストしてマシンとタイヤに向き合うことができましたし、TOYO TIRESもドライバーからのフィードバックを真摯に聞いてもらい、改善に努めてくれました」
「そのおかげで、今回のニュル24時間では走り始めから昨年とは大きな違いを実感しました。何よりもレースディスタンスをしっかりと走りきれるタイヤが作れたこと、それが今年の一番の成果ですね。来年に向けて楽しみがさらに増えました」
Novel Racingの渡邊 卓代表は、クラス優勝を逃した悔しさを滲ませつつ、来年のリベンジを意気込む。「前半戦は非常に順調なレース展開でした。今年こそはクラス優勝という目標を掲げていただけに、レース再開後の予想外のクラッシュは本当に残念でした。これからもニュルで戦うためのタイヤ開発の研鑽を重ね、ニュル24時間の50回目となる記念すべき2022年大会に活かしたいと思います」
とはいえ、TOYO TIRESのニュル24時間への再挑戦はまだ始まったばかりだ。10年間のブランクを埋めるのはたやすいことではない。日本のモータースポーツタイヤ開発チームの視線も遠くを見据えている。「完走という最低限の目標をクリアできたことに、まずは安心しています。しかし、この結果で満足しているわけではありません。今後も、ニュルでさらにコンペティティブなタイヤを完成するための課題を着実にこなしていくつもりです」
TOYO TIRESが目指しているのは、レースの上位に入ることだけではない。レーシングカーだけでなくロードカーも含めた、すべてのタイヤの基本性能向上という目的がその根底にはある。ニュル24時間に挑むことは、いわばタイヤメーカーとしての“覚悟”の顕れなのだ。
日本のモータースポーツタイヤ開発チームの言葉からは、スピードを重視するのではなく、たとえ緩やかでも深く、確かな手応えを得て、タイヤ開発に向き合う真摯な姿勢がうかがえた。
「TOYO TIRESがニュルに集う数多くの自動車メーカーやタイヤメーカー、チームやドライバーの中で、ゲストという存在ではなく、“ファミリーの一員”となれる日がくるまで、挑戦を決して諦めません」と、今後も不断の努力を続ける決意を述べた。
TOYO TIRESの今後のニュル24時間での活躍と、その経験がフィードバックされたより完成度の高いロードタイヤの誕生が楽しみだ。ニュルブルクリンク。この地がクルマやタイヤ、そして人を強くする場であることは間違いないのだから。