更新日: 2021.10.18 17:05
セダン勢躍進の週末。ミューラー今季初ポールに、アウディとヒュンダイが勝利/WTCR第6戦
後方では選手権首位の王者ヤン・エルラシェール(リンク&コー03 TCR/シアン・レーシング・リンク&コー)に“回された”ティアゴ・モンテイロ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE・ミュニッヒ・モータースポーツ)がバリアに激突し、いきなりのセーフティカー(SC)出動が宣言される。
その同じタイミングでもう1台のシビック、アッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE・ミュニッヒ・モータースポーツ)と絡んでいたミューラーはサスペンションにダメージを負い、ここでピットへの帰還を余儀なくされる。
7周目のリスタートで20周に延長されたレースは、そのままバービッシュがビョークとのマージンを維持。鉄人ガブリエル・タルキーニ(ヒュンダイ・エラントラN TCR/BRCヒュンダイN・ルクオイル・スクアドラ・コルセ)を従えてのポディウム獲得となった。
「予選ではスピードがなかったが、正直に言えばマシンの軽さがすべてだった」と、最低車両重量1275kgのアウディRS3 LMSで勝利を飾ったバービッシュ。
「レースではその軽量さゆえ、フロントタイヤの摩耗でアドバンテージがあった。軽さによって競争力を取り戻した結果だね。ただ選手権を考えれば、予選でのスピードを取り戻すことが急務になるだろう」
続いて雪辱を期すミューラーを先頭に12時15分に開始されたレース2は、蹴り出しでわずかに競り負けたリンク&コーがベルネイのヒュンダイに先行を許してしまう。そのまま10周以上2番手を守り続けたミューラーだが、一旦は背後のミケリスから攻撃を受けポジションを譲るものの、17周目には再び2番手を奪還。さらに僚友ウルティアもヒュンダイを攻略し、ミケリスはその後も次々と順位を奪われ“アクシデントの渦中”に引きずり込まれる厳しいレース展開となる。
そのハンガリー出身ドライバーの背後に迫った王者エルラシェールだが、ヒュンダイのテールに張り付いた隙を突き、さらに後方から迫ったエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE・ミュニッヒ・モータースポーツ)が19周目にオーバーテイクを試みると、選手権リーダーのリンク&コー03 TCRはシケインでコースオフし、グエリエリのシビックはタイヤバリアをヒット。この緩衝材がトラック上に転がり出たことで再びのSC導入が宣言される。
迅速な作業により1周後にはリスタートが切られ、22周となったレースは“ラスト1ラップ・スプリント”の展開となり、5番手を争う3台が再びの肉弾戦を展開。結果、グエリエリと接触したミケリスがエルラシェールの先行を許す決着に。
約1.5秒のマージンを築いて首位でチェッカーフラッグを受けたベルネイに続き、ミューラー、ウルティアのリンク&コーが続く表彰台。レース1勝者バービッシュが巻き返しの4位フィニッシュを果たし、5位に続いたエルラシェールが160点まで獲得ポイントを伸ばし、選手権首位を堅持。ベルネイが16点差でランク2位に浮上し、22点差でグエリエリが追うかたちとなった。
「ニュル以来の大量ポイント獲得で全体的に良い1日になった。リンク&コーがレース1で苦戦していたのを見て“OK”と思ったし、スタートでイバンを仕留めたのがすべてだった。これで戦いの場に戻ることができたね」と勝者ベルネイ。
終盤戦に突入し、残すは2戦となった2021年のWTCRシーズン。新規追加のロシア・ソチでの最終戦を前に、続く第7戦は11月5~7日の週末に工期遅れによる延長が続いていたイタリアのアドリア・レースウェイでの開催が予定されている。