更新日: 2018.02.23 15:27
琢磨「とてもエキサイティングでいいレースだった」
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第5戦 インディ500(決勝5月25日)
レースを台無しにしたカーボンパーツ
2014年インディ500が残り32ラップとなったターン4でスコット・ディクソンがウォールに接触したとき、このレースが残念な結果に終わったドライバーはディクソンひとりだけでは済まなかった。
クラッシュしたマシーンの破片が、その数台後方を走行していた佐藤琢磨が駆る#14 AJフォイト・レーシング・ダラーラに突き刺さってしまう。さらにアクシデントが発生して残り21周で再スタートが切られたとき、琢磨は5番手につけており、フィニッシュまで力強くレースを戦うことが期待されていた。ところが、マシーンに突き刺さった破片がブレーキのような役割を果たしたことでライバルたちに抜かれ、きわめて残念な19位でレースを終えることになったのだ。
もっとも、19位という順位は、琢磨がもともとスタートしたポジションとそう変わらない。予選でスピードが伸び悩んだ琢磨は、33台が3列に並んでスタートを切るインディ500の伝統的なスターティンググリッドにおいて、8列目中央のグリッドに並んでいたのである。
「昨年のレースで到達した位置から継続する形で今年のテストプログラムを始めることになりました」
インディアナポリスでのプラクティスが始まった当初、琢磨はそう語っていた。
「そして開発する必要のある領域について取り組みました。プラクティスは7日間、クォリファイは2日間ありましたが、そのうちの数日は雨が降ったので、自分たちが思ったとおりの距離を走れたわけではありません」
予選が行われる週末を迎えると、ポールポジション獲得を賭けて9台だけが出走できる“シュートアウト”に琢磨が進出するのは困難に思われてきた。
「クルマは徐々によくなっていきましたが、それでも予選に向けて十分なスピードが手に入ったとは思えませんでした。ファスト・フライデイ”では、スピードの伸びがいまひとつで、バランスにも満足できませんでした。しかし全体のレベルは高く、230mphを越えるドライバーが多くいたことを驚異的に思いました」
ホンダ勢で予選最高位に入ったのはジェイムズ・ヒンチクリフで、実際、彼は230.839mph(約369km/h)をマークしていた。いっぽう、琢磨のベストは229.201(約367km/h)で、ほんのわずかな差しかなかったことになるが、これこそ、今年のインディ500の予選がいかに熾烈な争いだったかを示しているといえる。
「ホンダとHPDはツインターボ・エンジンの開発を見事にやり遂げたと思います。だから、自分もこのレベルで戦えなかったことはとても残念です。土曜日は気温も低くコンディションが良かったので、もう1度アタックすることを希望していましたが、セッションは雨のため1時間半にわたって中断されました。この結果、僕たちは記録を更新することができませんでした」