更新日: 2018.02.16 00:52
2011年プジョー・スポール活動計画。耐久レースに重点
2011年2月3日 プジョー・スポール発
新しい1年に向けて
2011年、今年もプジョー・スポールはレース及びラリーに邁進、さらなるタイトル獲得とそれぞれのイベントでの勝利を狙います。一方、チーム・プジョー・トタルの耐久レースプログラムは、今年もル・マン24時間を目標に発進します。
2011年の目標:
先頃おこなわれたモンテカルロラリーでプジョーは勝利をおさめ、2011年シーズンを最高の形でスタートしました。今年100周年となる伝統のモンテカルロで勝利を収めたのは、プジョー・フランスのサポートを受けた「207 S2000」を駆るブライアン・ブフィエ/サビエ・パンセリ組です。プジョー・スポールは子会社や顧客の皆様と共に、インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ(IRC)はもちろんのこと、各国ラリー選手権でも活発に活動を行います。また、プジョーのスポーツ部門では、ラリーとサーキットで熱い支持を頂いているワンメイク・シリーズの運営にも力を注ぎ、アマチュア参加者やチャンピオン候補者、プジョーファンのみなさまの熱意に応えて参ります。
一方、プジョー・スポールでは耐久レースに重点的に力を注ぎます。昨年、スタートしたばかりの「インターコンチネンタル・ル・マン・カップ(ILMC)」で、マニュファクチャラーズ・タイトルを獲得するなど、素晴らしい年となりました。今年はタイトル防衛を目指す一方、ル・マン24時間 (6月11〜12日)に照準を合わせます。今年のILMCは7レース、うちル・マン24時間ではダブルポイントが加算されます。何と言っても今年は、テクニカル・レギュレーション変更を受けた新世代マシンで臨む初のサルテ・サーキット(訳注:ル・マン24時間の開催サーキット)。待ち遠しいかぎりです。
90Xから908へ:
908HDiFAPは、2007年ル・マン・シリーズのタイトルや2009年のル・マン24時間でのワンツーフィニッシュ、2010年新設されたILMCでのタイトル獲得など、プジョーの輝かしい歴史の一翼を担ってきました。「私たちが新しいマシンの名を908としたのは、勝利の歴史をしっかりと引き継ぎたいとの思いからなのです」と、プジョーのマーケティング&コミュニケーション・ディレクター、クザビエ・プジョーは述べています。
「同時に、このマシンは、時代の要請に応えるプジョーのコンセプトにパーフェクトに合致しています。南米への進出過程にある「408」、各ディーラーにデリバリーされつつある「508」、そして近々もう少し詳しい情報をご提供することになる新型「308」、プジョー初のディーゼル・ハイブリッド車である「3008ハイブリッド4」。プジョーはモータースポーツと実社会のかかわりを常に意識し、ニューモデルを展開してきました。そして今回、私たちが自信を持って送り出すのが908なのです。」
「905」そして908HDiFAPのあとを受ける908は、プジョー・スポールが耐久レースのために開発した3世代目のマシンとなります。先代と同じく、課せられた使命は1992年、1993年、2009年と挙げたル・マン24時間レースにおける勝利を重ねることです。908は、最新のテクニカル・レギュレーションを満たし、「シャークフィン」と呼ばれるエンジンカバーを装着。クローズド・ボディに4つの同一タイヤ、最大出力550馬力、3.7リッターV8 HDi FAPディーゼル・エンジン採用です。プジョー・スポールは、粒子フィルターをつけたディーゼル・エンジンで耐久レースを走って5年目になります。(FAPとは「粒子フィルター」の頭文字)。1998年以来、世界中で700万台を超えるHDiエンジンを販売し、プジョーはクリーンなディーゼル・エンジン領域における、メインプレーヤーとしての地位を確立してきました。
908はプジョーのロードカーと同じテクノロジーを採用しています。プジョー・スポールとロードカー部門のエンジニア、スペシャリストたちが協力しあって燃料効率性などの研究を進め、環境への配慮と高いパフォーマンスを両立させたマシンをロードカーにおいても、モータースポーツにおいても提供しているのです。
プジョー・スポールの最新耐久ニューマシンに選ばれた技術:
2009年のル・マン24時間が終わるとすぐ、新テクニカル・レギュレーションに備え、プジョー・スポールのエンジニアたちはニューマシンの設計にとりかかりました。908HDiFAPにおける経験を生かそう、と彼らは考えました。「レギュレーションは大幅に進化しましたが、私たちには蓄積がありました」とプジョー・スポールのテクニカル・ディレクター、ブルーノ・ファマンは述べています。「この4年間で培った経験のおかげで進むべき方向性とやり方は明確に見えていました。もっとも、前のマシンから引き継いだデザインは、結局フロントガラスのワイパーだけでしたけどね! 何より難しかったのは、レースを戦いながら全く新しい車のデザインも考えなくてはならなかった点です。エンジン性能、空力、重量配分のベストな組み合わせを見いだすことを目標に頑張ってきました。そして私たちがどこにたどりついたか、その成果を是非レースで見て頂きたいと思います」
クローズド・ボディ:
「以前のテストから、オープン・ボディでもクローズド・ボディでも、空力の点ではほとんど違いがないことがわかっていました。クローズド・ボディにするとレースの際に圧迫感は強まる一方、ドライバーの安全性は高まります。そこで、これまで通りで行くことにしました」
エンジン:
「V12の経験もフルに生かしました。結局、ターボ搭載ディーゼルV8にしましたが、その特性はV12に非常によく似ています。「V」のアングルはバランスを考えて90度(V12の場合は100度)です。総排気量3.7リッターで最大出力は550馬力。最初にシャシーダイナモの上で走らせたのは、2010年1月25日でした」
4本の同一タイヤ:
「今のLMPマシンの弱点は、フロントのグリップ力でした。それを補うにはタイヤの接地面積を増やすことです。レギュレーションの許容範囲内で、より大きなフロントタイヤを履くことが求められます。この点に関してはパートナーであるミシュランと密な連携のもと、開発が進められました」
空力:
「2011年のレギュレーションでエンジンパワーの大きな削減が求められている為(ほぼ150hpのダウン)、空力、空気抵抗、ダウンフォース(下向きの力)の関係を改めて見直す必要が生じました。その結果、高いレベルの最高速を維持する為に、ダウンフォースを大幅に抑えることとなりました」
ニューマシンが初走行を果たしたのは、2010年7月27日でした。「これは自分たちで課したデッドラインでした。全くのニューマシンですから、走らせてみてトラブルが出ることも予想していました。確かに問題は生じましたが、テストが進むに従って、一つ一つ、解決することができました。何より心強かったのは、マシンのハンドリングが期待に恥じない、素晴らしいものだとわかったことです。ともあれ、このマシンの真価がわかるのは、最初のレースでライバルと走る時。私たちは、ライバルが何をしているかに気を取られることなく、粛々と準備を進めていきます。目標に向かっていくのみ。2010年の初走行から2011年のル・マン24時間までに、複数のサーキットで計12回のテストを敢行する予定です」とブルーノ・ファマンは締めくくりました。
ILMCの拡大:
2010年に3戦だったILMCは、今シーズンは7戦へと拡大します。
アメリカでの2レース(セブリングとプチ・ル・マン/ロード・アトランタ)、ヨーロッパでの3レース(スパ-フランコルシャン、イモラ、シルバーストーン)、中国での1レースに、伝統のル・マン24時間です。「もちろんILMCタイトルは防衛したいと思っています」と、プジョー・スポールのディレクター、オリビエ・ケネルは強調します。「2010年は全3戦で優勝しましたが、今年は特に狙っているラウンドがあります、それがル・マン24時間レースです。
伝統のル・マンがILMCに組み込まれましたが、それは必要な、いや必要不可欠なことだと思います。ル・マンが組み込まれた事は、ILMCにとって非常にメリットが大きいのです。プジョーのような自動車メーカーが、その最高のノウハウと技術を集めたショーケースとも言える耐久レースに、より注目が集まることになるからです。プジョーでは各戦に2台エントリーするべくACO(フランス西部自動車クラブ)に申し込みました。例外はスパ-フランコルシャンで、ル・マン24時間直前の実戦練習を兼ね、3台をエントリーします」
すばらしいドライバー:
今シーズンは、去年よりもバランスのとれたカレンダー、テクニカル・レギュレーションの変更、ニューマシンの登場と新しいことずくめですが、チームを支えるドライバーはおなじみの顔ぶれです。「2010年のル・マン24時間が終わり、本拠地ベルジーに戻ったとき、私はドライバーのみんなに言ったんです、2011年も頼むぞ、と。」とオリビエ・ケネルは締めくくりました。
「彼らはひとりひとりが真のプロフェッショナルであり、世界を代表する9人のドライバーです。去年と同じ顔ぶれで戦う、これこそが最強の作戦です」と。
ル・マンに参戦する3チーム
●908 7号車:アレクサンダー・ウルツ/アンソニー・デイビッドソン/マルク・ヘネ
●908 8号車:フランク・モンタニー/ニコラ・ミナシアン/ステファン・サラザン
●908 9号車:セバスチャン・ブルデー/ペドロ・ラミー/シモン・パジュノー