攻めの世界観。即断し、作って、参加して、勝つ──実行ありきのキャロッセの“現在地”
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WRCの2年連続王者、カッレ・ロバンペラが今年もFDJ(フォーミュラドリフトジャパン)に出場。開幕戦となった富士で、今回も“世界の走り”を見せた。ロバンペラがドライブするレッドブルGRカローラは、クスコ・ブランドで知られるキャロッセが開発。カローラ、スープラ、86、ヤリスという4車種のGR車両で参戦するFDJの一大勢力だ。ラリーの名門キャロッセがなぜドリフトに? と思う読者も少なくないだろうが、長瀬努社長は次のように述べる。
「最大の理由は、メイドインジャパンのパーツ、タイヤ、クルマで挑む自分たちの活動が世界にも発信されるからです。昔のドリフトと違い、使われるパーツはレーシングカーとほぼ変わらなくなってきているので、それだったらやろうと。車種は違っても足まわりなどのコンポーネンツは全車同じようなものを使っているので、どのようなクルマにも対応できます。エンジン以外は自分たちがラリーなどで開発してきたパーツの延長線上にあるものです」
ロバンペラが乗るGRカローラは、サスペンションなどすべて競技専用に開発されたパーツで構成される。リヤサスペンションはサブフレームにデフ、アップライト、アーム、ダンパー&スプリングなどが組み込まれたアッセンブリーとなっており、クラッシュ等でダメージを負っても5分程度でごっそり交換可能な作りになっている。
「昨年からカッレが自分たちのクルマに乗ってくれたことで、さらに将来につながる活動になりましたし、中学1年生のときから乗せている箕輪大也が本場アメリカのFDに行ったことも次につながることだと思います。レーシングカートなどは子供が乗っても違和感を覚える人はいないですが、ドリフトやラリーもそうなってほしいという思いがあります。だから、若いドライバーにもチャンスを提供して、世界を目指してもらいたいと思っています」と長瀬社長。製品のプロモーションもさることながら、世界で通用するドライバーを育てる一助になりたいという気持ちがその言葉から伝わってくる。
開幕戦富士でのロバンペラは、コースとクルマの相性や、セッティングの違いによりクスコのチームメイトであるGR86の草場裕介に敗れた。孤高のWRC王者であってもそう簡単には勝てないという事実は、FDJのモータースポーツとしてのレベルの高さを示すものである。(KK)
■株式会社キャロッセ https://www.cusco.co.jp