更新日: 2024.08.01 15:14
イタリアン“スペシャリスト”の饗宴。地元クルニョーラが超接近戦から抜け出し大会連覇/ERC第5戦
明けた日曜はSS総距離93.66km、6つのステージで雌雄を決する一日となり、オープニングステージで首位を奪ったのがヤレーナだったこともあり、トップ6の差は9.1秒差に縮小。さらにテンペスティーニとフランチェスキーニはまったくの同タイムを刻んでみせる。
続くSS9では、このラリー初出場で前日午前にポップオフバルブの問題に悩まされたマッズ・オストベルグ(シトロエンC3ラリー2)が、SS3での右フロント損傷に続き、スタート地点から21.8kmで大クラッシュを喫し、ステージは赤旗中断に。
この時点で総合9番手だったオストベルグは、幸い待機していた救急車に自力で乗り込むことが可能な状況で、優勝争いはSS10からの仕切り直しに。ここから正午のサービスに向け11.0秒にリードを拡大したクルニョーラは、残る全ステージを制覇する“ゾーン”に入ったドライブで、パワーステージを前に20.4秒のマージンを獲得。この最終SSも制してさらに22.3秒差とし、約1年前のERC初優勝と同じく焼けつくようなイタリアの太陽の下で完璧なパフォーマンスを披露した。
「素晴らしい気分だ。イタリア選手権のことも考えていたから、ラリーをコントロールするのは非常に大変だった」と安堵の表情を見せたクルニョーラ。
「確かにかなりハードにプッシュしたが、シトロエンとピレリのタイヤには本当に満足している。とても暑い天気だったが、最初からプッシュしてギャップを管理することができたからね」
「このラリーは将来(の選手権争い)にとって非常に重要になるかもしれない。僕らは非常に良いポイントを獲得したし、素晴らしい仕事をしてくれたピエトロ(・オメット/コドライバー)とチーム、そして僕らの身近で僕らがここまで来られるように助けてくれたすべての人々に感謝したい」
この日はインターコムのトラブルにもかかわらず、カンペデッリが2位に続いて地元イタリア勢がワン・ツーフィニッシュを達成。ヤレーナは昨季5月以来となるERC表彰台帰還の3位となり、ルーマニア王者テンペスティーニと今季のERCタイトル候補フランチェスキーニを挟んで、王者パッドンが6位となった。
「我々はベストを尽くしてうまくやろうとしたが、答えは見つからない」と舗装路に苦戦した様子のNZ出身チャンピオン。「今はそういう状況で、小さなポジションを争っているだけさ」
これでランキング首位パッドンと2位フランチェスキーニの差が7点へと縮まった2024年のERCシーズン。続く第6戦もフルターマックの名物イベント『Barum Czech Rally Zlín(バルム・チェコ・ラリー・ズリン)』が8月16~18日に予定されている。